【2021/1/9(土)~1/15(金)】『mid90s ミッドナインティーズ』+『KIDS/キッズ』

今週の早稲田松竹は90年代ストリートカルチャーたっぷりな二本立て。2度のオスカーノミネートを果たし、実力派俳優としても人気のジョナ・ヒルの初監督作品『mid90s』と、写真集『タルサ』『ティーンエイジ・ラスト』が高く評価され、一躍有名になった写真家ラリー・クラークの初監督作品『KIDS/キッズ』を上映します。

ふたつの作品に共通することは、90年代半ばのアメリカが舞台であり、それぞれこの時代に青春時代を過ごしたティーンエイジャーたちが登場するということ。この頃、キース・ヘリングやフレディー・マーキュリーがHIVで、リヴァー・フェニックスやバスキアがオーバードーズで若くして死んだ。HIV感染が世界の脅威となり、ドラッグの蔓延、貧困…様々な問題が背景にある。インターネットもスマホもない時代。行き場のない彼らはストリートでひと時の青春時代を過ごす。

『mid90s』は90年代半ばのロサンゼルスを舞台に、13歳の主人公スティーヴィーが仲間と出会い成長していく青春映画。この映画の魅力はなんといっても90年代を彷彿とさせる空気感。監督の半自伝というこの作品にはあらゆる90年代の要素が至るところに散りばめられている。主人公が着ているストリートファイターⅡのTシャツや、スーパーファミコンをはじめとする懐かしいアイテムの数々は、ここ近年の90'sリバイバルブームも相まってか全く古さを感じさせないから不思議。16ミリのざらっとした質感の映像に、ニルヴァーナやモリッシーなど当時を代表するアーティストの劇中曲もまた90年代の空気感を演出している。

一方、『mid90s』がノスタルジックでまばゆい青春劇とすれば、『KIDS/キッズ』は青春とは言い難いあまりにもストレートで生々しい彼らの日常だ。この作品を一言でいうならば、NYのストリートキッズたちがドラッグ、セックス、暴力に明け暮れる日々をひたすら追っていく。ただそれだけ。ラリー・クラークは90年代のティーンエイジャーの現実を撮りたいと、当時19歳だったハーモニー・コリンが書いた脚本をもとに、キャスティングも俳優ではなくストリートで出会った実際のスケーターキッズたちを起用した。目を背けたくなるような彼らの日常はあまりにも退廃的で生々しい。飾り気のない会話やファッションに至る隅々まで、それは紛れもない現実で、彼らがそこにいた証しなのだ。

どちらかを語る上でどちらもハズせない『mid90s』『KIDS/キッズ』の2本立て。どこまでも自由で刹那的に生きる彼らの空気を味わってみてはいかがだろうか。

KIDS/キッズ
Kids

ラリー・クラーク監督作品/1995年/アメリカ/92分/ブルーレイ/R-15/ビスタ

■監督 ラリー・クラーク
■製作総指揮 ガス・ヴァン・サント/パトリック・パンツァレッラ/マイケル・チャンバース
■脚本 ハーモニー・コリン
■撮影 エリック・エドワーズ
■音楽 ルー・バーロウ/ジョン・デイヴィス

■出演 レオ・フィッツパトリック/クロエ・セヴィニー/ジャスティン・ピアース/ロザリオ・ドーソン/ハロルド・ハンター/ヤキーラ・ペゲエロ/ハヴィエル・ヌネズ

■1995年カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品

『KIDS』提供:TOMORROW Films. 協力:ディメンション

意味も理由も不安もないキッズたちの日常、その24時間――

ある夏の暑い目の午後。場所はNY。テリーはいつものようにバージンの女の子を守備よくモノにし、いつものように親友キャスパーにそれを自慢げに話しながら街をブラついている。仲間がたむろしているポールの家へ向かうと、ビールを飲み、ドラッグを決め、陽気にとりとめもなくSEXの話で盛り上がっていた。

一方、ルビーの家では、ジェニーたち女の子5人がやはりSEXの話で盛り上がっている。ジェニーは、バージンを奪いあとは知らんぷりを決め込むデリーを許せない。そして、経験豊富なルビーの付き添いで受けたHIV検査の結果を聞きにいくのだが…。

「これが現実だ。黙ってちゃんと見ろ! 」―――ラリー・クラーク

ティーンエイジャーの「リアル」な姿を撮り続けてきた写真家ラリー・クラークの映画監督デビュー作『KIDS/キッズ』。意味も理由も不安もないキッズたちの日常、その24時間――SEX、ドラッグ、暴力、スケートボード…ストリートに常に存在するリアルをドキュメンタリータッチで描き、90年代インディペンデントフィルムシーンに一大ムーブメントを巻き起こした。

マーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』、ガス・ヴァン・サント監督の『ドラッグストア・ カウボーイ』にも影響を与えたラリーが写真の次の表現方法として選んだのが映画である。後に映画作家として名を上げるハーモニー・コリン(当時高校生)の脚本に衝撃を受けたラリーはとことん「ストリートの現実」にこだわった本作を誕生させた。

製作総指揮をガス・ヴァン・サントが担当。後にスターとなるクロエ・セヴィニー(『デッド・ドント・ダイ』)、ロザリオ・ドーソン(『シン・シティ』)のデビュー作であることでも知られる。他のキャスティングもレオ・フィッツパトリック、ジャスティン・ピアースといった実際のスケーター・キッズを起用。当時のスーパースタースケーター、ハロルド・ハンターやハヴィエル・ヌネズも出演しており、若者たちが長い間「見たい! 」と渇望し続けてきた作品である。

mid90s ミッドナインティーズ
Mid90s

ジョナ・ヒル監督作品/2018年/アメリカ/85分/DCP/PG12/スタンダード

■監督・脚本 ジョナ・ヒル
■製作 スコット・ルーディン/イーライ・ブッシュ/ケン・カオ/ジョナ・ヒル/リラ・ヤコブ
■撮影 クリストファー・ブローヴェルト
■編集 ニック・ホウイ
■音楽 トレント・レズナー/アッティカス・ロス

■出演 サニー・スリッチ/ルーカス・ヘッジズ/キャサリン・ウォーターストン/ ナケル・スミス/ オーラン・プレナット/ ジオ・ガリシア/ライダー・マクラフリン/アレクサ・デミー

■2018年インディペンデント・スピリット賞編集賞ノミネート/放送映画批評家協会賞若手俳優賞ノミネート ほか多数受賞・ノミネート

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君と出会って、僕は僕になった

1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィーは兄のイアン、母のダブニーと暮らしている。小柄なスティーヴィーは力の強い兄に全く歯が立たず、早く大きくなって彼を見返してやりたいと願っていた。

そんなある日、街のスケートボード・ショップを訪れたスティーヴィーは、店に出入りする少年たちと知り合う。彼らは驚くほど自由でかっこよく、スティーヴィーは憧れのような気持ちで、そのグループに近付こうとするが…。

ジョナ・ヒル×A24が贈る、90年代への愛と夢が詰まった青春映画のマスターピース!

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など、2度のオスカーノミネートを果たした実力派俳優ジョナ・ヒルが、監督としての才能を開花させたデビュー作『mid90s ミッドナインティーズ』。『ミッドサマー』をはじめ『レディ・バード』『ムーンライト』などアカデミー賞の候補作を続々と送り出す気鋭の映画スタジオA24とタッグを組み、ジョナ・ヒル自身の半自伝的な10代の想い出をもとに珠玉の青春映画を作り上げた。

懐かしくて新しい90年代への愛情と夢をたっぷりに描いた少年たちの成長物語はあらゆる世代の共感を呼び、ナショナル・ボード・オブ・レビューのトップ10インディペンデント映画にも選出、全米4館からスタートしたにも関わらず1200スクリーン超まで拡大するスマッシュヒットを記録。当時の雰囲気を再現するため、全編16mmで撮影され、スーパー・ファミコンやカセットテープなど時代を象徴するような懐かしいアイテムが盛り沢山で登場する。

主人公スティーヴィーを演じるのは、『ルイスと不思議の時計』『聖なる鹿殺し』のサニー・スリッチ。母親ダブニー役に『ファンタスティック・ビースト』シリーズのキャサリン・ウォーターストン、兄のイアンに『ある少年の告白』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のルーカス・ヘッジズと脇には人気・実力を兼ね備えた俳優陣が揃う。スティーヴィーが出会うスケーターたちには、アディダスやシュプリームに所属するナケル・スミスをはじめ、本物のスケーターたちが起用された。