3/29(土)・31(月)・4/2(水)・4(金) | |||
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ノーウェア | 10:00 | 13:20 | 16:40 |
ドゥーム・ジェネレーション | 11:40 | 15:00 | 18:20 ~19:45 |
【レイトショー】クルージング | 20:00 ~21:45 |
3/30(日)・4/1(火)・3(木) | |||
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エニバディズ・ウーマン+エンプティ・スーツケース | 12:50 | 16:25 | |
ヴァラエティ | 10:50 | 14:25 | 18:00 ~19:45 |
【レイトショー】クルージング | 20:00 ~21:45 |
▼チケット販売時刻▼
【3/29(土)・31(月)・4/2(水)・4(金)】
・10:00『ノーウェア』からの二本立て >>>9:20
・それ以降の回/ラスト1本 >>> 各回その直前の回が始まって10分後
・レイトショー>>>9:20
【3/30(日)・4/1(火)・3(木)】
・10:50『ヴァラエティ』からの二本立て >>>10:10
・それ以降の回/ラスト1本 >>> 各回その直前の回が始まって10分後
・レイトショー>>>10:10
☆レイトショーは二本立てとは別料金(一律1200円)です。
☆4/1(火)は映画ファンサービスデー!どなた様も二本立て1000円(レイトショーも1000円)でご鑑賞いただけます。
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★指定席でご案内しております。チケットの販売は窓口のみとなります。受付にお時間がかかることが予想されますので、ご来場の際はお時間に余裕を持ってお越しください。
★そのほか、ご入場システムに関する詳細は、「劇場案内」ページをお読みください。
おまる
グレッグ・アラキ監督は、自身がゲイであることをオープンにして映画を撮り、90年代に「ニュー・クィア・シネマ」というムーヴメントを牽引した存在。また「ティーンエイジャーは一日に10回生きては死ぬような興味深い題材」と語っているように、長年若者たちにまなざしを向けてきた映画作家でもある。
今回上映する『ドゥーム・ジェネレーション』『ノーウェア』も、90年代のL.A.で暮らすティーンたちを描いているのだが、まるで夢の中を猛スピードで乱暴なジェットコースターに乗せられているよう。極彩色でポップな吉夢かと思えば、ゾッとする暴力が突然襲ってくる悪夢に変貌したりと、若者たちの激しく揺れ動く内面が刺激的なビジュアルとなって押し寄せてくる。80年代のエイズ流行直後を生きていた彼らならではの不安、孤独、欲望、絶望、曖昧なセクシュアリティが見えてくる。アラキ監督は、そんな時代にも息づくクィアな愛に寄り添い、危なかしいティーンのリアルな生の感触を活写している。
一方ベット・ゴードン監督は、70年代後半からニューヨークで発展したアート・ムーヴメント「ノー・ウェイヴ」周辺に身を置いていた。音楽、パフォーマンス・アート、ファッションなど多岐にわたるジャンルのアーティストたちが創作活動をしており、今回上映する『ヴァラエティ』にもキャスト・スタッフとして、ナン・ゴールディン、ジョン・ルーリー、トム・ディチロと、長編1作目と思えない豪華な顔ぶれが並んでいる。
そんな『ヴァラエティ』は、ニューヨークのポルノ映画館のチケット売り場で働く女性クリスティーンのお話。劇場前の小さな売り場に入って、やってくる男たちから好奇の視線を浴びつつ1枚2ドルのチケットを売る。ある日一人の男性客と言葉を交わすと、それ以来彼女はその男性を尾行するようになる。どうして彼を追いかけるのか。チケット売り場で“見られる側”だった彼女が、その狭い箱から出て“見る側”となったとき、妙な爽快感がある。彼女の欲望が解放されたからだろうか。そして彼女とともに“見る側”である私たち観客は、ともに尾行をしながら当時の猥雑で美しいニューヨークの情景の数々に酔いしれる。
グレッグ・アラキ監督とベット・ゴードン監督。私はどちらもリマスター版や修復版で再公開されるまで知らなかったインディペンデント映画監督です。それぞれの時代のムーヴメントの中で生まれた作品と、こうしていま出会えた喜びをぜひみなさんにも感じてもらいたい。
ノーウェア デジタルリマスター版
Nowhere
■監督・脚本・編集 グレッグ・アラキ
■製作 グレッグ・アラキ/ニコル・アルビブ 他
■撮影 アルトゥーロ・スミス
■衣装デザイン サラ・ジェーン・スロトニック
■出演 ジェームズ・デュバル/レイチェル・トゥルー/ネイザン・ベクストン/キャスリーン・ロバートソン/キアラ・マストロヤンニ/デビー・マザール
■オフィシャルサイト
https://greggaraki-movie.com/
■物販情報
・2作共通パンフレット(1100円)
©1997. all rights reserved. kill.
最果てに生きて愛にさまよう
「世界の終わり」と「真実で永遠の愛」を見つけることに夢中の孤独な18歳の青年ダーク・スミスは、自分の死の瞬間を記録するためにいつもカメラを抱えている。恋人のメルは彼のことを深く愛しているが、恋人をひとりに絞ることができず、紫色の髪が特徴的なルシファーとも愛を深めている。一方ダークも、美しい目をもつ青年モンゴメリーに心を惹かれ始める。カフェが皆のたまり場で、ダークの親友でクィアなバンドマンのカウボーイがバンド仲間のバートのことを悩んでいたり、女子3人組がスイーツの早食い競争をしながらガールズトークを繰り広げる。そんな中、ダークの周りに奇妙なことが起こり始め…
クィアでカオスでロマンチック――真実の愛を求めて街をさまよう若者たちの青春群像
色彩豊かでポップカルチャーをこよなく愛する『ノーウェア』。独自のスタイルで20世紀後半の若者の1日を描く本作は、若さゆえの疑念や不安、思春期の恋愛、SM、ドラッグ、カージャック、殺人、エイリアンによる誘拐など、ジェットコースターのように高揚感とどん底を駆け抜ける若者たちの姿を描きだす。
1990年代にグレック・アラキが10代の若者たちを描いた“ティーン・アポカリプス・トリロジー”。第1作『トータリー・ファックト・アップ』は、ゲイとレズビアンの若者たちの感情をリアルに描いた衝撃的な作品で、続く『ドゥーム・ジェネレーション』は、性の進化と変容を大胆かつ独創的に描き、高い評価を得た。そして『ノーウェア』は、これまでで最も親しみやすい作品で、3部作の最後を締めくくる。本作は、思春期の混乱と永遠の愛の探求を描いた、人種、セクシュアリティが多様なキャラクターが登場し、ワイルドでありながらもキュートな群像劇である。
「私にとって、3部作の中で『ノーウェア』は間違いなく最も野心的な作品だ」とアラキは語る。「何でも起こりうるこの世界を、混乱した18歳の視点から描きたかった。その年齢になると、すべてが生か死かのように極度に強調されて見える。コメディから危機、躁から鬱へと、トーンの変化が顕著なのだ」。
ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版
The Doom Generation
■監督・脚本・編集 グレッグ・アラキ
■製作 グレッグ・アラキ/ニコル・アルビブ/アンドレア・スパーリング 他
■撮影 ジム・フィーリー
■衣装デザイン キャサリン・クーパー・トマン
■出演 ローズ・マッゴーワン/ジェームズ・デュバル/ジョナサン・シェック
■オフィシャルサイト
https://greggaraki-movie.com/
■物販情報
・2作共通パンフレット(1100円)
©1995 UGC and the teen angst movie company
セックス ドラッグ バイオレンス 若者のぜんぶ
ロサンゼルスのクラブでの狂乱の夜を終え、若いカップルジョーダン・ホワイトとエイミー・ブルーが車で愛し合っていると、暴漢に襲われたハンサムで危険な流れ者グザヴィエ・レッドがフロントガラスに飛び込んでくる。急いで車を出し彼を助け出すが、グザヴィエは感謝の素振りがなく、エイミーは嫌悪感を抱いていた。しかし、途中立ち寄ったコンビニで店員とトラブルになり、グザヴィエが揉み合いの中で店員を殺してしまうと、彼らは 共犯者として一緒に逃亡を余儀なくされる。道中、エイミーをなぜか過去の浮気相手と勘違いする男など、暴力的でサイコな人間達に出会う悪夢のような逃避行を続けるが、エイミーは徐々にグザヴィエに性的な魅力を感じ始め、ジョーダンを含む彼らの三角関係に変化が起きていく。
パンクでシュールでロマンチック かつてなく刺激的な逃避行
グレッグ・アラキの長編5作目である本作『ドゥーム・ジェネレーション』は、“ティーン・アポカリプス”3部作の第2弾。異質なティーンエイジャーのための、異質なティーン・エイジャー映画といえる。『理由なき反抗』や『地獄の逃避行』のような過去の映画たちのエッセンスから生まれ、ブラック・コメディの要素と価値観を揺るがす性表現が混ざり合い、独自のエッセンスを加えることで、3人のティーンエイジャーたちがどこか知らない場所へと進んでいく姿を、独創的に描いている。
『リビング・エンド』や『トータリー・ファックト・アップ』で、アラキは同性愛やセクシュアリティをストレートに扱い、画期的な<ニュー・クィア・シネマ>の先駆者となった。『ドゥーム・ジェネレーション』をアラキは“異性愛映画”と銘打ちつつも、意図的にそれまでの彼の作品と同じくセクシュアリティの進化を探求し続けている。
本作についてアラキは、「『ドゥーム・ジェネレーション』は、私にとって最も面白い映画であると同時に、最も暗く、最も悲観的な映画でもある。しかし、私の映画はすべて不確かなもので終わると思う。『ドゥーム~』のラストシーンのイメージ、先までまっすぐ続く道路の象徴とその可能性は、まさに曖昧さを象徴している」と語る。
エンプティ・スーツケース + エニバディズ・ウーマン
Empty Suitcases + Anybody’s Woman
『エンプティ・スーツケース』
■監督 ベット・ゴードン
■撮影補 デヴィッド・ワーナー
■録音補 ヘレン・カプラン
■脚本補 カリン・ケイ
■出演 ローズマリー・ホックシールド/ロン・ヴォーター/ヴィヴィアン・ディック/ナン・ゴールディン/ヤニカ・ヨーダー/ジェイミー・マクブレイディ/ベット・ゴードン
■声の出演 リン・ティルマン/カリン・ケイ/アネット・ブレインデル/ドロシー・ザイドマン/マーク・ハイドリッヒ
『エニバディズ・ウーマン』
■監督 ベット・ゴードン
■ナレーション カリン・ケイ
■出演 ナンシー・レイリー/スポルディング・グレイ/マーク・ハイドリッヒ/トム・ライト
■オフィシャルサイト
https://punkte00.com/gordon-newyork/
■物販情報
・パンフレット(1000円)
・阿部周平デザイントートバッグ付きパンフレット(1900円)
・B2ポスター(1000円)
★『エニバディズ・ウーマン』→『エンプティ・スーツケース』の順に上映いたします。
『エンプティ・スーツケース』
職場のあるシカゴと恋人がいるニューヨーク。2つの都市を行き来する女性が抱える疎外感と孤立感が考察される実験的で闘争的な作品。国際映画祭などで上映され高い評価を得た。
『エニバディズ・ウーマン』
長編『ヴァラエティ』に先駆けて、ニューヨークのポルノ映画館「Variety」を舞台に作られた短編作品。タイトルは、サイレント期から活躍した女性映画監督ドロシー・アーズナーによる1930年製作の同名のハリウッド映画作品に由来する。
ヴァラエティ
Variety
■監督・原案 ベット・ゴードン
■製作 ルネ・シャフランスキー
■脚本 キャシー・アッカー
■撮影 トム・ディチロ/ジョン・フォスター
■編集 イラ・フォン・ハスペルク
■音楽 ジョン・ルーリー
■出演 サンディ・マクロード/ウィル・パットン/リチャード・デヴィッドソン/ルイス・ガスマン/ナン・ゴールディン/クッキー・ミューラー
■オフィシャルサイト
https://punkte00.com/gordon-newyork/
■物販情報
・パンフレット(1000円)
・阿部周平デザイントートバッグ付きパンフレット(1900円)
・B2ポスター(1000円)
©1983 Variety Motion Pictures. All Rights Reserved.
©Kino Lorber,Inc. All Rights Reserved.
photo by Nan Goldin
タイムズ・スクエア近くのポルノ映画館「Variety」。チケットを売るクリスティーンは、ある日一人の男性客と言葉を交わす。以来、彼女はその男を追いかけるようになる……。
アルフレッド・ヒッチコック『めまい』に想を得た物語。脚本は実験的な小説家のキャシー・アッカー(『血みどろ贓物ハイスクール』)が担当。撮影をジム・ジャームッシュ監督『ストレンジャー・ザン・パラダイス』などで知られるトム・ディチロ。写真家のナン・ゴールディン、ルイス・ガスマン(『ブギーナイツ』)、ジョン・ウォーターズ作品常連のクッキー・ミューラーらが出演。そして、音楽を当時「ラウンジ・リザーズ」で活動していたジョン・ルーリーが担当している。ニューヨークのアンダーグラウンドなアートシーンから生まれた、ゴードンの代表作。
【レイトショー】クルージング
【Late Show】William Friedkin's Cruising
■監督・脚本 ウィリアム・フリードキン
■原作 ジェラルド・ウォーカー
■撮影 ジェームズ・コントナー
■編集 バド・スミス
■音楽 ジャック・ニッチェ
■出演 アル・パチーノ/ポール・ソルヴィーノ/カレン・アレン/リチャード・コックス/ドン・スカルディーノ/ジョー・スピネル/ジェイ・アコヴォーネ
■物販情報
・リバイバル上映記念雑誌「80年代アメリカ犯罪映画の世界:特集クルージング」(1300円)
■オフィシャルサイト
https://cruising2024.com/
★本作品は特別レイトショー上映です。
☟入場料金
一律1200円(割引なし ※ただし4/1はサービスデーのため1000円均一)
★チケットは、朝の開場時刻より受付にて販売いたします。
©2024 WBEI
闇を覗き込めば、闇もまたお前を覗き返す
夜のニューヨーク。ゲイ男性ばかりが狙われる連続殺人事件が発生。密命を受けた市警のバーンズは、同性愛者を装い、“ストレート”立入禁止のSM クラブへの潜入捜査を開始する。毎夜、男たちの性の深淵を彷徨い、身も心も擦り減らすバーンズは、遂に犯人の手がかりをつかむが―。
NYアンダーグラウンドの猟奇連続殺人事件に斬り込んだ衝撃のクライム・サスペンス
1973年から79年にかけ、ニューヨークで実際に発生した猟奇連続殺人事件。ゲイの男たちが惨殺され、バラバラ死体の一部はハドソン川に投げ捨てられていた。被害者たちの多くは、男同士が毎夜ハードなセックスを求めて集うSM クラブに出入りしていた―。事件に興味を抱いたウィリアム・フリードキン監督は、逮捕された容疑者( 自作『エクソシスト』の出演者だった)への面会体験、ゲイ・コミュニティに潜入した捜査官の談話、そして自ら目にした想像を絶するSMクラブ内の狂態を脚本に盛り込み、NYアンダーグラウンドのゲイ・カルチャーを背景にした、かつてないクライム・サスペンスを完成させた。
結果的にハリウッド映画史上初めて男同士のSMセックスを正面から描いてしまったこの作品は、同性愛差別を助長するとして猛烈な抗議活動を受け、当時は批評も興行も振るわなかった。だが近年、クエンティン・タランティーノ、ニコラス・ウィンディング・レフン、セリーヌ・シアマといった名監督たちが本作をフェイバリットに挙げただけでなく、世界各国のクィア映画祭では、HIVウイルスが世界に蔓延する前のゲイ・カルチャーを記録した貴重な作品として再上映/再評価される機会が増えている。『クルージング』は、後の『羊たちの沈黙』や『セブン』などに先駆けた、80年代サイコ・サスペンスの重要作であり、SMゲイ・カルチャーの洗礼を受けて揺らぐ男の性的アイデンティティと精神の闇に迫った、今なお先鋭的な野心作だ。