ブギ−ナイツ
BOOGIE NIGHTS
(1997年 アメリカ 155分 R-15
2004年1月17日から1月23日まで上映 ■監督・脚本・製作 ポール・トーマス・アンダーソン
■出演 マーク・ウォールバーグ/バート・レイノルズ/ジュリアン・ムーア/ヘザー・グラハム/ジョン・C・ライリー/ウィリアム・H・メイシー/ドン・チードル/フィリップ・シーモア・ホフマン

■1997年アカデミー賞助演男優(バート・レイノルズ)・助演女優(ジュリアン・ムーア)・脚本賞ノミネート

(C)ギャガ・コミュニケーションズ

1970年代、ポルノ映画がフィルムからビデオに移行する時期、バート・レイノルズ演じるポルノ映画監督ジャック・ホナーは17歳の高校生エディ(マーク・ウォーレンバーグ)をスカウトする。

picアンバー(ジュリアン・ムーア)やリトル・ビル(ウィリアム・H・メイシ−)などに導かれ、エディはダーク・ディグラ−と名を改め、主演作はヒットを連発、各賞を総ナメにする。このあたりのサクセスストーリーは実に小気味よいテンポで気持ちいい。しかし徐々にエディは傲慢な男となっていき、おきまりの薬物に手を出し、一気に転落していく。

裏ハリウッドを舞台に70年代〜80年代のディスコミュージックで贈る、世界中で絶賛された90年代青春映画の傑作である。同時期の公開に『ベルベット・ゴールドマイン』があり、音楽と映画というジャンルの違いこそあるが、二作品とも実在の人物を題材にした作品で、栄光と挫折をテーマとしているところが描写も実にリアルで面白い。

picレイノルズはこの役が気に入らなくてエージェントを解雇するなどして抵抗したそうだが、1997年のゴールデングローブ賞、NYとLAの批評家協会員賞で助演男優賞と数々の賞に輝いた。

(WING)


このページのトップへ

パンチドランク・ラブ
PANCH-DRUNK LOVE
(2002年 アメリカ 95分)
pic 2004年1月17日から1月23日まで上映 ■監督・脚本・製作 ポール・トーマス・アンダーソン
■出演 アダム・サンドラー/エミリー・ワトソン/ルイス・ガスマン/フィリップ・シーモア・ホフマン/メアリー・リン・ライスカブ

■2002年カンヌ国際映画祭監督賞受賞・パルムドールノミネート

(C)東宝東和

ダイナミックな群像劇で世界的に評価を得ているポール・トーマス・アンダーソン(以下PTA)監督が『ブギーナイツ』『マグノリア』と、たて続けに2時間を越す長編映画を撮り終えた時、次の目標を掲げた。それは「苦悩に満ちていなくて、野心的でもないシンプルでコンパクトなストーリー」。

そして完成したのが、この『パンチドランク・ラブ』だ。それはPTA監督の過去作品やどんな映画とも違う作品となった。

女性が苦手で精神不安定なバリーは、心優しいけれど時折ものすごい勢いでキレる。仕事に関しては真面目だが、食品会社のマイレージが貯まるキャンペーンのスキをつき、一生無料で飛行機旅行をしようとしていた。

そんなバリーと、離婚歴のあるインテリ女性リナの“PANCH-DRUNK LOVE<強烈な一目惚れ>”を描いた“一生に一度の恋に向かって暴走する”ラブ・ストーリー。

それまで愛に不器用で、身体に満ち溢れるエネルギーをかんしゃくで消耗してきたバリーが、リナと出会ってそれを愛のエネルギーに変えていく。リナはバリーに包み込むような愛を注ぎ、バリーも恋をすることでめきめき男らしくなる。まるでポパイとオリーブを彷彿させる作品だ。

PTA監督は数年前、TIME誌に掲載されたひとつの仰天エピソードからひらめき、ハワイで脚本を書いた。彼は初めからアダム・サンドラーとエミリー・ワトソンを主役に想定していたという。

パンチの効いた音楽が重要な役割を果たしていたり、テクニカラーをフル活用した映像で、バリーとリナのロマンチックな現実逃避にぴったりな雰囲気を作り出している。タイトルデザインやインターミッション的にはさまるサイケデリックな映像は、ベックのCDジャケットなども手掛けた、現代アート作家のジェレミー・ブレイクが担当。これまでにないまったく新しいビジュアルを提供している。

とてもピュアで甘いラブ・ストーリーだけど、ただそれだけじゃない。観終わった後にはきっと幸せな気分になれるはず。

(fct)



このページのトップへ