ベルベット・ゴールドマイン
VELVET GOLDMINE
(1998年 イギリス 124分)
2003年7月19日から7月25日まで上映 ■監督・脚本 トッド・へインズ
■出演 ユアン・マクレガー/ジョナサン・リース・マイヤーズ/クリスチャン・ベール/トニ・コレット/エディ・イザード

■1998年カンヌ国際映画祭芸術貢献賞受賞・パルムドールノミネート

(C)日本ヘラルド映画

1984年ニューヨーク。新聞記者のアーサーは、70年代初頭のロンドンで人気を誇っていた失踪中のロック・ミュージシャン、ブライアン・スレイドの追跡調査を依頼される。

バイセクシャルを公言し、妖しく艶めかしいメイクと奇抜なコスチュームにカリスマ性と官能的な魅力で若者たちを熱狂の渦に巻き込んだブライアンは、74年、公演中に暗殺されるが、やがてそれが偽装殺人であることが判明。スターの座を引きずり降ろされたのだった。

70年代初頭のロンドンは、その煌びやかさと黄金期ハリウッド女優のようなグラマラスなイメージで華々しく誕生し、スキャンダラスな旋風を巻き起こしながら閃光のごとく輝き消えていったグラム・ロックの時代。

pic本作のブライアン・スレイド役はかつてのデヴィッド・ボウイ(タイトルも彼の曲からとられている)を、ブライアンと宿命的な絆で結ばれるロッカー、カート・ワイルド役はイギー・ポップをモチーフにしているといわれているが、物語は完全にフィクション。

今回ボウイ自身は曲を提供していないが、70年代グラムロックを代表するT・レックス、ロキシー・ミュージックらの曲が盛り込まれ、映画製作総指揮をつとめるのはアメリカ・ロック界の大物R.E.Mのマイケル・スタイプ。レディオヘッドのトム・ヨークなど新旧を代表する大物ミュージシャンたちがサントラ作りに参加した。

新作『エデンより彼方へ』が公開される鬼才トッド・へインズ監督が、ポップ・スターとして自らが作り上げたイメージを生き、頂点を極めた時代のあだ花ブライアン・スレイドと、彼に影響を受け、最も輝いていた時代を生きた若者たちの夢と憧れ、葛藤を鮮烈に描く。

98年カンヌ国際映画祭最優秀芸術貢献賞受賞作。


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ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
HEDWIG AND THE ANGRY INCH
(2001年 アメリカ 92分)
pic 2003年7月19日から7月25日まで上映 ■監督・原作戯曲・脚本・主演 ジョン・キャメロン・ミッチェル
■原作戯曲・作詞・作曲・出演 スティーブン・トラスク
■出演 マイケル・ピット/ミリアム・ショア/セオドア・リスチンスキー/ロブ・キャンベル

(C)ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ

全米各地を旅して巡る売れないロックシンガー、ヘドウィグ。今日も彼女はステージの上で歌を通して、自らの半生を語る。

1960年代後半。東ドイツ生まれの少年ハンセルはアメリカに渡り、ロックシンガーになる夢をもっている。ある日、彼は厳格だった母親から「愛の起源」についての物語を聞かされる。それはプラトンの魅惑的な物語だった。

人間は元来、2組の手足、神の頭部を模倣した2つの顔を持つ、2対の身体が一つになった生き物だった。しかし、神は力をつけた人々を恐れ、地上に稲妻を放ち、つながっていた人々の身体を2つに引き裂いた。そして、人間は寂しい2本足の生き物となってしまう。以来、自分の失われた‘カタワレ’を求めてさまよい、そして出会った時に芽生える感情、それが「愛」なのだと。

その日以来、ハンセルは、自分の‘カタワレ’を見つけようと心に決めた。ある日、キャンディのようにやさしいアメリカ兵と出会う。結婚を決意した彼は、性転換手術を受けることとなる。しかし、股間には手術ミスで「怒りの1インチ(アングリーインチ)」が残ってしまう。

渡米するも離婚し、しがないロックバンドを組むヘドウィグ。(本名がハンセル)。やがて17歳の少年トミーに出会うが、彼はヘドウィグのオリジナル曲すべてを盗んで、ビルボードNO.1のロックスターになってしまう。裏切られたへドウィグは自らのバンド「アングリーインチ」を引き連れ、トミーの全米コンサートを追い、大会場の脇の、場末のレストランを巡業する。

果たしてヘドウィグは、自分の魂である歌をとりもどし、捜し求めていた「愛」に出会うことができるのか…。

セレブリティやニューヨーカーを熱狂させた幻のロックミュージカルが、舞台と同じく、監督・脚本・主演のジョン・キャメロン・ミッチェルによって、ついに映画化された。喪失感を胸に、自分の失われた‘カタワレ’を求め、さまようへドウィグの心の旅は、性別や、人種、宗教、生い立ちを超えた普遍的な物語として、人の心に強く訴えかける。

2001年サンダンス映画祭最優秀監督賞、最優秀観客賞をはじめ数々の賞を獲得した衝撃の傑作。



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