【2022/5/14(土)~5/20(金)】『ラストナイト・イン・ソーホー』『マリグナント 狂暴な悪夢』

もっさ

今週の早稲田松竹は、お久しぶりのホラーWEEK。とはいえ、今回お届けする作品は単に「ホラー」と一括りにしてしまうにはもったいない! 「コレ」といった型にはハメられない新感覚の恐怖と面白さが満載なんです!

これまで数々のホラー作品を手がけてきたジェームズ・ワン監督の『マリグナント 狂暴な悪夢』は、見るからに怖そうなメインビジュアル通り、しっかりと怖いです。だけど、それを上回るほどの見せ場があり、複雑につくり込まれたストーリーはどんどん展開し、「怖い」なんて言ってられないほどのスピードで客席を一気に魅了します。

近年はワイスピ(『ワイルド・スピード SKY MISSION』)やアメコミ作品(『アクアマン』)でエンタメアクション大作を監督してきたワン監督。彼の手にかかれば、こんなに恐ろしくて複雑で…正直なんか変な内容なのに、クスっと笑えるシーンから思わず吹き出しちゃうアクション(え、アクション?)までも挟みながら、最後にはホロリとしてしまうのです! もはや、ホラーの域を完全に超えています。

「ホラー映画の巨匠たちのスタイルを踏襲しつつ、自分らしいかたちで描きたいと思った」というワン監督の想い、しかと受け止めました!!

一方、エドガー・ライト監督の『ラストナイト・イン・ソーホー』は、これまでのコメディー色の強い作風から一転してかなりダークでシリアスなストーリー。

前作『ベイビー・ドライバー』で音楽とアクションの融合を見事にやってのけたライト監督ならではの演出は、本作でも健在です。今回もまた使用されている楽曲は歌詞や時代背景が複雑に絡みあっておりセンス抜群。ダンスシーンでは感情を表現するような振付がされ、更にホラーのシーンにまで振付要素が取り入れられているそうで、「まるで新種のミュージカル!」という呼び声にも納得です。そして、ライト監督の思い入れが強いという60年代への愛が溢れており、音楽はもちろん、当時を再現したソーホーの街並み、華やかなファッションに、ひとたび恐怖を忘れて惚れ惚れしてしまいます。

しかし、その煌びやかな世界の裏にある悲劇に、背筋の凍るような恐怖が再来します。ライト監督はインタビューで「語られていなかった人々についての映画でもある」と明かしているように本作には「古き良き時代」だと、単に昔を美化することへの警告が込めているのです。

ざっくり言うと、どちらも主人公の悪夢からはじまるミステリーを追っていく内容なのですが、どうにもこうにも、ネタバレ厳禁。これからご鑑賞の方はぜひ、主人公たちと共に恐怖に振り回されながら謎解きに挑み、目の前に広がる世界を楽しんでいただきたいと思います。面白さにハマっちゃったリピーターの方々は、答え合わせをしながらさらなる発見をお楽しみくださいね!

もちろん、残酷描写がないわけではありませんので、苦手な方に無理にお勧めはいたしませんが…。もしも興味があって、ホラー映画を初体験したいという方や、新しいホラー映画に出会いたいという方には、「ピッタリな二本立てありますよ!」と、強くお勧めいたします!

それでは、夢のあるホラーの旅をお楽しみください♪

マリグナント 狂暴な悪夢
Malignant

ジェームズ・ワン 監督作品/2021年/アメリカ/111分/DCP/R18+/シネスコ

■監督 ジェームズ・ワン
■製作 ジェームズ・ワン/マイケル・クリアー
■原案 ジェームズ・ワン/イングリット・ビス/アケラ・クーパー
■脚本 アケラ・クーパー
■撮影 マイケル・バージェス
■編集 カーク・モッリ
■音楽 ジョセフ・ビシャラ

■出演  アナベル・ウォーリス/マディー・ハッソン/ジョージ・ヤング/ミコレ・ブリアナ・ホワイト

© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

【2022年5月14日から5月20日まで上映】

ヤツは【一番近く】にいる。

ある日を境に、目の前で恐ろしい殺人を目撃するという「悪夢体験」に苛まれはじめるマディソン。予測不能な素早い動きと超人的能力で、人々を殺していく漆黒の殺人鬼。彼女が夢の中で見た殺人の数々は、現実世界でも起きてしまう――

殺人が起きる度、マディソンはリアルな幻覚かのように殺人現場を類似体験し、少しずつ自身の秘められた過去に導かれていく。そして、ついにその邪悪な手がマディソンの元へ届くとき、その“狂暴な悪夢”の正体=Gが明らかに……!?

恐怖が熱狂に変わる――ジェームズ・ワン監督が仕掛ける、ジャンルを超越した【恐怖の最終進化形】

誰もが潜在的に恐れている日常的な“恐怖”を増幅させながら、ホラーの定石をことごとく覆すことで、全世界を震え上がらせてきたホラー界の異才ジェームズ・ワン監督。『ソウ』、『インシディアス』、『死霊館』など、予想できない驚きと未知の恐怖が記憶に残り続ける数々の傑作ホラーを生み出してきた。

ホラー映画で培った抜群のカメラワークと圧倒的なスピードと迫力で、『ワイルド・スピード SKY MISSION』ではシリーズ史上最高興行収入を記録、『アクアマン』では世界中で大ヒットを記録と、今や映画界の大ヒットメーカーになったジェームズ・ワン監督が自ら書き下ろした完全オリジナルストーリーの最新作『マリグナント 狂暴な悪夢』で、観る者を新次元の恐怖へと誘う!

ラストナイト・イン・ソーホー
Last Night in Soho

エドガー・ライト監督作品/2021年/イギリス/118分/DCP/R15+/シネスコ

■監督 エドガー・ライト
■製作 エドガー・ライト/ニラ・パーク/ ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー
■脚本 エドガー・ライト/ クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
■撮影 チョン・ジョンフン
■衣装 オディール・ディックス=ミロー
■編集 ポール・マクリス
■音楽 スティーヴン・プライス

■出演 トーマシン・マッケンジー/アニャ・テイラー=ジョイ/マット・スミス/ダイアナ・リグ/シノーヴ・カールセン/マイケル・アジャオ/テレンス・スタンプ/リタ・トゥシンハム/ジェシー・メイ・リー/カシウス・ネルソン

©2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

【2022年5月14日から5月20日まで上映】

魅惑的で恐ろしい、60年代ロンドンへようこそ。

ファッションデザイナーを夢見るエロイーズは、ロンドンのデザイン学校に入学する。しかし同級生たちとの寮生活に馴染めず、ソーホー地区の片隅で一人暮らしを始めることに。新居のアパートで眠りに着くと、夢の中で60年代のソーホーにいた。そこで歌手を夢見る魅惑的なサンディに出会うと、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。夢の中の体験が現実にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズは、タイムリープを繰り返していく。

だがある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。その日を境に現実で謎の亡霊が現れ始め、徐々に精神を蝕まれるエロイーズ。そんな中、サンディを殺した殺人鬼が現代にも生きている可能性に気づき、エロイーズはたった一人で事件の真相を追いかけるのだが……。

60年代に愛をこめて――鬼才エドガー・ライトが贈るタイムリープ・サイコ・ホラー

『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ホットファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』
『ベイビー・ドライバー』――これまで全く異なるジャンルを手がけてきたエドガー・ライト監督の最新作『ラストナイト・イン・ソーホー』は、ロンドンのソーホー地区を舞台に、60年代と現代、2つの時代が交錯するタイムリープ・サイコ・ホラー。自身の思い入れが深いと語る、60年代イギリス文化を再現したポップでスタイリッシュなビジュアルとは裏腹に、そのフィルモグラフィ史上、最もダークでシリアスな本作で新境地に挑む。

ヒロインのエイローズ役を演じるのは『ジョジョ・ラビット』『オールド』などの話題作への出演が続くトーマシン・マッケンジー。エイローズが夢の中で出会うもう一人の主人公サンディに扮するのは『ウィッチ』、「クイーンズ・ギャンビット」などで存在感を示すアニャ・テイラー=ジョイ。そのほか「ドクター・フー」『モービウス』のマット・スミス、『コレクター』のテレンス・スタンプ、『女王陛下の007』のダイアナ・リグ、『密の味』のリタ・トゥシンハムら、イギリス映画界の大物俳優たちが脇を固め、物語を妖しく彩る。