【2021/12/11(土)~12/17(金)】『オールド』『ライトハウス』

今週の早稲田松竹は、M.ナイト・シャマラン監督『オールド』、そしてロバート・エガース監督の『ライトハウス』の2本立てです。この2本に共通するのは、どちらも海辺の密室劇ということ。監督の名前を見れば、どちらもただの海辺ではないことに気づくでしょう。

『オールド』では天国のような美しい島にバカンスにやってきた家族が描かれます。楽しい時間も束の間、浜辺で女性の死体を見つけてしまいます。それだけでもびっくり仰天の出来事ですが、事態はそれだけに留まりません。そこはなんと異常なスピードで人が老いていく恐怖のビーチだったのです!

一方、『ライトハウス』は、ニューイングランドの孤島にやってきた2人の灯台守のお話。狭く汚い灯台に、そりの合わない男2人。険悪な雰囲気の中、やっとのことで任期を終えるものの、とある不吉な掟を破ってしまうことから物語は一変してしまいます。
 
逃げ場がないという密室劇は、映画の中で数多く描かれてきた鉄板ネタです。大抵はミステリー、ホラーもしくはスリラーと称され、なにか恐怖の対象に追われることが多いですが、この2つの作品が他の作品と違うことは、定石通りの殺人鬼も幽霊も一切出てこないこと。その上、これらのジャンルのエッセンスを十分に含みながら、どのジャンルとも言い切れない不思議な作品であるということです。

『オールド』と『ライトハウス』に出てくる人々は、作品の毛色さえ違えど、どちらも得体のしれない恐怖に直面し、逃げたくても逃げられない究極の状態に立たされてしまいます。海は美しく、癒しの源でもありますが、時に恐ろしい障壁となって人々の目の前に立ちはだかるのです。

人は極限状態になった時、一体どんな景色を見るのでしょうか。断崖絶壁の海辺で、私たちは狂気の連続を目撃することになるでしょう!

ライトハウス
The Lighthouse

ロバート・エガース監督作品/2019年/アメリカ/109分/DCP/スタンダード/R15+

■監督・脚本 ロバート・エガース
■共同脚本 マックス・エガース
■撮影 ジェアリン・ブラシュケ
■美術 クレイグ・ラスロップ
■編集 ルイーズ・フォード
■音楽 マーク・コーベン

■出演 ロバート・パティンソン/ウィレム・デフォー

■2020年アカデミー賞撮影賞ノミネート/2019年カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞受賞 ほか多数受賞・ノミネート

© 2019 A24 Films LLC. All Rights Reserved.

【2021年12月11日から12月17日まで上映】

謎が、満ちてゆく

1890年代、ニューイングランドの孤島に2人の灯台守がやって来る。彼らにはこれから4週間に渡って、灯台と島の管理を行う仕事が任されていた。だが、年かさのベテラン、トーマス・ウェイクと未経験の若者イーフレイム・ウィンズローは、そりが合わずに初日から衝突を繰り返す。険悪な雰囲気の中、やってきた嵐のせいで2人は島に孤立状態になってしまう。

『ウィッチ』の監督が2大スターを主演に迎え描く、“人間の狂気と恐怖”の根源に迫った傑作スリラー!

謎めいた孤島にやって来た“2人の灯台守”が外界から遮断され、徐々に狂気と幻想に侵されていく、人間の極限状態を恐ろしくも美しい映像で描いた本作。 北米ではA24の製作・配給で公開され、わずか8スクリーンでスタートしたミニシアター系の映画としては異例の興行収入1,000万ドル以上の大ヒットを記録した。監督を務めるのは、長編デビュー作『ウィッチ』がサンダンス映画祭で圧倒的高評価を受けたハリウッド異端の才能、ロバート・エガース。1801年にイギリス・ウェールズで実際に起きた事件をベースに、神話や古典文学などのエッセンスが幾重にも織り込まれ、唯一無二の謎めいた世界に観る者を誘っていく。

2人の灯台守を演じるのは、言わずと知れた世界の名優ウィレム・デフォーと、最新シリーズの『ザ・バットマン』主演に決定しているロバート・パティンソン。ほぼ全編に渡って主演の2人しか登場せず、極度の緊張感が強いられる空間の中で繰り広げられる壮絶な演技合戦はまさに圧巻の一言! さらに、緊迫感を増大させる繊細かつダイナミックな音響デザイン、モノクロームの映像や、サイレント映画からトーキーへの移行期に隆盛した正方形に近い画面サイズなど、監督のこだわりによる“シネマティックな映像美”は世界でも絶賛されている。

オールド
Old

M.ナイト・シャマラン監督作品/2021年/アメリカ/109分/DCP/シネスコ

■監督・脚本 M.ナイト・シャマラン
■原案 ピエール・オスカル・レヴィ/フレデリック・ペータース「SANDCASTLE(原題)」
■撮影 マイケル・ジオラキス
■編集 ブレッド・M・リード
■プロダクション・デザイン ネイマン・マーシャル
■作曲 トレヴァー・ガレキス

■出演 ガエル・ガルシア・ベルナル/ヴィッキー・クリープス/ルーファス・シーウェル/アレックス・ウルフ/トーマシン・マッケンジー/アビー・リー/ニキ・アムカ=バード/ケン・レオン/エリザ・スカンレン/アーロン・ピエール/アレクサ・スウィントン/キャスリーン・チャルファント/ノーラン・リバー

© 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

【2021年12月11日から12月17日まで上映】

そのビーチでは、一生が一日で終わる。

休暇で人里離れた美しいビーチを訪れた複数の家族。楽しいひと時を過ごしていた矢先、ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している——

「私の息子を見かけませんでしたか?」
「ママ、僕はここにいるよ!」

母親が息子の姿に気付かないのも無理はなかった。なんと6歳だった息子は、少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだ。一体このビーチで何が起こっているのか?

海岸に打ち上げられた女性の死体、次々に意識を失う人々、砂浜に残された謎のメッセージ――不可思議な出来事に直面する彼らは、やがて自らが急速に年老いていく事に気付く…。果たして、極限状態に追い込まれた彼らの運命は?

鬼才 M.ナイト・シャマラン監督が“時間の謎”を仕掛ける、待望の最新作!

たった一日で老いて朽ち果てるバカンスに隠された衝撃の真実とは? 『シックス・センス』『スプリット』など、予測不可能なストーリー展開と衝撃の結末で、世界を震撼させてきたスリラーの鬼才M.ナイト・シャマラン監督待望の最新作。そんなシャマランが、本作で挑んだのは“時間”。異常なスピードで時間が加速し身体が老いていく不可解な現象に見舞われ、謎を解かなければ脱出できないという極限状態に陥った家族を描く。

出演は、『モーターサイクル・ダイアリーズ』のガエル・ガルシア・ベルナル、『ファントム・スレッド』のヴィッキー・クリープス、『ジョジョ・ラビット』のトーマシン・マッケンジー、『ヘレディタリー/継承』のアレックス・ウルフ、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のエリザ・スカンレンらが名を連ねる。