パズー
「来るよ来るよ~、胸騒ぎってやつが。」
『子供はわかってあげない』のニクいセリフからはじめさせていただきました。胸騒ぎ、イコール青春。今週の早稲田松竹は、青春映画3連発! 高校生の女の子の成長と、周りの人たちとのくすりと(たまにガハハと)笑えてほろっとさせる物語です。
あ~それにしても私はいつから、「青春してるぜ~」側から「青春ていいよねぇ」側になってしまったのでしょう。映画を観ながらちょっと切なくなってしまいました。いやいや、何歳になっても青春! 確かにそうですね。でも今週の3作品には、10代の一瞬、この時だけしか体験できない、胸の高鳴り、不安、焦燥、達成感といった真っすぐな感情が詰まっているのです。それこそ、まごうことなき「青春」というもの。『いとみち』のいと、『子供はわかってあげない』の美波、『サマーフィルムにのって』のハダシ。人生で一度きりしかないようなドキドキとひりひり、そしてわくわくを経験し、戸惑いつまづきながら、あっという間に成長していく彼女たちは、最高に素敵で輝いています。
あぁ、青春いいなぁ~!!!!! 心からそう思える珠玉の作品たちが揃いました。
子供はわかってあげない
One Summer Story
■監督 沖田修一
■原作 田島列島「子供はわかってあげない」(講談社モーニングKC刊)
■脚本 ふじきみつ彦/沖田修一
■撮影 芦澤明子
■編集 佐藤崇
■音楽 牛尾憲輔
■出演 上白石萌歌/細田佳央太/千葉雄大/古舘寛治/斉藤由貴/豊川悦司
■劇中アニメ声の出演 富田美憂/浪川大輔/櫻井孝宏/鈴木達央/速水奨
©2020子供はわかってあげない」製作委員会 ©田島列島/講談社
【2022年3月5日から3月11日まで上映】
あの夏の出会いが私を変えた
ひょんなことがきっかけで意気投合した美波ともじくん。美波のもとに突然届いた「謎のお札」をきっかけに、2人は幼い頃に行方がわからなくなった美波の実の父を捜すことになった。探偵をしているというもじくんの兄・明大の協力により、実の父・藁谷友充はあっさりと捜し当ててしまった。美波は今の家族には内緒で、友充に会いに行くが……。
沖田修一監督最新作。田島列島の傑作コミック、待望の映画化!
原作は、長編デビュー作ながら「マンガ大賞2015」2位にランクインした、軽やかで味わい深い傑作として熱烈な支持を集める田島列島の「子供はわかってあげない」。監督は『南極料理人』『横道世之介』の沖田修一が初の漫画原作映画化で、高校生の青春物語を生き生きと描く。
主人公の美波役には、『未来のミライ』など話題作に次々と出演し、瑞々しい魅力と確かな演技力で引っぱりだこの上白石萌歌。相手役のもじくん役には、超新人ながら石井裕也監督作『町田くんの世界』の主演に大抜擢され話題を呼んだ細田佳央太。そんなふたりを取り巻く個性豊かな大人たちには、豊川悦司、千葉雄大、斉藤由貴、古舘寛治ほか名優陣が物語を彩る。
本作の全編に流れるのは、肯定のまなざし。なにげに「ワケあり」だったりする人々の事情も、ゆるやかに優しく受け止めていく。今だからこそ届けたい、ユーモアあふれる温かな傑作が誕生した。
いとみち
Ito
■監督・脚本 横浜聡子
■原作 越谷オサム「いとみち」(新潮文庫刊)
■撮影 柳島克己
■編集 普嶋信一
■音楽 渡邊琢磨
■出演 駒井蓮/豊川悦司/黒川芽以/横田真悠/中島歩/古坂大魔王/宇野祥平/ジョナゴールド(りんご娘)/西川洋子
■第16回大阪アジアン映画祭グランプリ・観客昌受賞/第35回高崎映画祭最優秀監督賞・助演俳優賞・新進俳優賞受賞
©2021「いとみち」製作委員会
【2022年3月5日から3月11日まで上映】
「なんで人生って簡単じゃないんだべね」
青森県に暮らす16歳の女子高生・相馬いと。幼い頃から祖母の隣で弾いてきた津軽三味線が特技だが、濃厚な津軽弁なまりのせいで人見知りをこじらせ、なかなか心を開くことができない。とはいえ根は“じょっぱり”(=津軽弁で「意地っ張り」)。そんないとが、地元から離れた青森市内まで電車で通い、メイド喫茶で初めてのアルバイトを経験する――。
青森出身、横浜聡子監督の最高傑作! 先の見えない時代に贈る、至上の人間賛歌
心を震わす日本のソウル・ミュージック、民謡。津軽地方に起源をもつ津軽三味線がつむぐ珠玉の人間ドラマが完成した。越谷オサムのベストセラー青春小説「いとみち」を原作に、祖母、父と共に三世代で暮らし、家族愛に包まれていた少女が、社会の荒波をたくましく生きる人たちとふれあい、成長してゆく。脚本・監督は『ウルトラミラクルラブストーリー』『俳優 亀岡拓次』などで知られる青森出身の鬼才・横浜聡子。
ぶっきらぼうな中に、凛とした意志の強さを感じさせるヒロイン・いとを演じたのは主演2作目の駒井蓮。シングルファーザーで民俗学者の耕一役には名優、豊川悦司。父娘それぞれが不器用に生き方や愛の形を探り、すれ違いながらも、再び親子の絆を結びなおしていく。
シングルマザーの生活困窮、女性の地位、地域格差といった現代的な社会問題も盛り込みながら、投げかけられるメッセージはシンプルだが熱を帯び、「けっぱれ」(津軽弁で「がんばれ」)という言葉がストレートに胸に迫る。人情味溢れる越谷ワールドと、横浜監督の風刺精神が融合し、先の見えない時代に生きる市井の人々を温かいまなざしをもって描いた最高傑作。
【特別レイトショー】サマーフィルムにのって
【Late Show】It's a Summer Film!
■監督 松本壮史
■脚本 三浦直之/松本壮史
■撮影 岩永洋/山崎裕典
■編集 平井健一
■主題歌 Cody・Lee(李)「異星人(エイリアン)と熱帯夜」
■出演 伊藤万理華/金子大地/河合優実/祷キララ/板橋駿谷/小日向星一/池田永吉/篠田諒/甲田まひる/ゆうたろう
★レイトショー上映はどなた様も一律1000円でご鑑賞いただけます。
★チケットは、朝の開場時刻より受付にて販売いたします(当日券のみ)。
©2021「サマーフィルムにのって」製作委員会
【2022年3月5日から3月11日まで上映】
私たちの青春は、傑作だ。
勝新を敬愛する高校3年生のハダシ。キラキラ恋愛映画ばかりの映画部では、撮りたい時代劇を作れずにくすぶっていた。そんなある日、彼女の前に現れたのは武士役にぴったりな凛太郎。すぐさま個性豊かな仲間を集め出したハダシは、「打倒ラブコメ!」を掲げ文化祭でのゲリラ上映を目指すことに。青春全てをかけた映画作りの中で、ハダシは凛太郎へほのかな恋心を抱き始めるが、彼には未来からやってきたタイムトラベラーだという秘密があった――。
「眩しくて愛おしい」「超爽快で感動的なラスト」映画祭で絶賛された話題作!
日本映画界に彗星のごとく現れた『サマーフィルムにのって』。第33回東京国際映画祭で上映されるやいなや話題を集め、世界各国の映画祭での上映が続々と決定。青春映画には欠かせない恋と友情に加え、時代劇、SF、全ての要素が華麗にシンクロ。物語は奇跡的なラストシーンへと向かい、唯一無二の魅力を放つ。ここに新時代を代表する青春映画が誕生した。
主役には、猫背・がに股を披露し勝新オタクを熱演、殺陣にも挑戦している元乃木坂46の伊藤万理華。共演に金子大地、河合優実、祷キララと、今後の活躍が期待される新星が勢揃いした。監督はドラマやCM、MVなど幅広く手掛ける松本壮史が務め、数々の映像作品を共に作り上げてきた盟友、劇団「ロロ」主宰・三浦直之が脚本を担当。気鋭の若手クリエイターの元に次世代俳優たちが集結、瑞々しくスクリーンに輝く。