2025.09.04
【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

『ベルヴィル・ランデブーの音楽』
8月半ばに上映しましたシルヴァン・ショメ監督作のアニメーション映画『ベルヴィル・ランデブー』。劇場では初めて観たのですが、やはり素晴らしく、まだまだ興奮冷めやらぬ状態です! 映画の冒頭の極端なデフォルメと音楽に合わせて伸び縮みするキャラクター、発展していく街の陰鬱な雰囲気、ツール・ド・フランス、マフィアなど、どの細部を切り取っても監督のこだわりを感じることができ、目を離すスキがありません。それに加え、劇場ならではの音量だったり、スクリーンだったりと、ソフトで観たときの過去の記憶を大きく上書きする映画体験となりました。
そして何より音楽も素晴らしく、この映画のテーマ曲である「Belleville Rendez-Vous」に心奪われています。エンドロールで流れるのですが、そこでは字幕もついていて、トンブクトゥ、アカプルコ、シンガポール、ホノルルといった各都市についての歌詞も世界旅行感があり大好きな要素です。作曲はカナダ出身のミュージシャンBenoit Charest、ボーカルはフランス出身のミュージシャンで「-M-」ことMatthieu Chedidが担当しています。
Matthieu Chedidは、早稲田松竹でも2019年に上映したアニエス・ヴァルダとJRの監督作である『顔たち、ところどころ』(2017)で音楽を担当しています。知らず知らずのうちに彼の音楽を聴いていたようです。作曲のBenoit Charestは、数々の映画の音楽を担当していますが目についたのは、同じく2019年に早稲田松竹で上映したドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『静かなる叫び』(2009)。正直に言えば、この映画の音楽の印象を思い出すことはできません。改めて確認しなければと思ってはいますが、映画の内容があまりにも惨かったので…。
余談ですが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の実の弟であるマーティン・ヴィルヌーヴも映画監督であり、いくつかの作品でBenoit Charestが音楽を担当しています。長編デビュー作『Mars et Avril』もその一作なのですが、残念ながら配信も含め日本では観ることができなさそうです。
と、脱線してしまいましたが『ベルヴィル・ランデブー』のサントラは配信で聴くことができます。公式ホームページでは各曲の冒頭を聴くことができたり、音楽ストリーミングサイトのSpotifyへのリンクがあったりするので、是非確認していただければ幸いです。ちなみにテーマ曲「Belleville Rendez-Vous」の英語verなどもあり、個人的にこちらも良いなあと感じています。
『Les Triplettes De Belleville』(2003)
(ジャック)
©Les Armateurs / Production Champion Vivi Film / France 3 Cinéma / RGP France / Sylvian Chomet