2026.03.12
【スタッフコラム】わが職場の日常 by KANI-ZO
「早稲田松竹と着物」
早稲田松竹には時折、着物でいらっしゃるお客様がいます。年始の成瀬巳喜男特集では親子がそろいの着物でお越しいただいた姿もありました。特集でフィルム上映した『女の歴史』では、雨の中傘を差した高峰秀子さんの着物姿が、今も頭から離れません。実は映写の際にも、私は着物のディティールが見えてくるようにフォーカスを意識しています。ちなみに大昔の話ですが、当時私がお付き合いしていた人がサプライズで着物を着て、早稲田松竹に見に来てくれた甘酸っぱい思い出もあります。それもあり、早稲田松竹で着物姿を見かけると人一倍ノスタルジーを感じてしまいます(笑)。
さて、受付で副支配人と新年の空気を纏う早稲田通りを眺めて来客を待っていると、着物雑誌『七緒』の撮影スタッフの人と着物姿のモデルさんがいらっしゃいました。モデルさんは上品な淡いグレーの着物に、桜をあしらった帯と帯留め姿。早稲田松竹のレトロな雰囲気ともマッチした、春爛漫な装いです。副支配人と私は思わず「わー、素敵~!」と感嘆の声を漏らしてしまうほどでした。話を聞くとモデルさんは、学生時代に早稲田松竹へ映画を見に来てくれていたお客さんだったということで、またしても我々は大喜びです。
撮影が始まるとカメラマンがシャッターを切る「カシャカシャ」という音。今のご時世珍しい、フィルムの巻き取りやフィルムを入れ替える作業をしているではありませんか。しかも、照明をたかずに自然光のみでの撮影というストイックなスタイル。フィルムに目がない映写技師ですので、「おーこれはドグマ95みたいだなぁ」と見入っていました。時間が許すならカメラマンさんに映写機とフィルムを見てもらいたいなぁなどと思っていました。
撮影が終わるとスタッフの方が受付で副支配人と挨拶していたので、「フィルム撮影なんですね」と声をかけてみると「小鳥さんはいつもフィルムですよー。今、引っ張りだこで大河のメインビジュアルも彼なんですよ」と教えてくれました。私が大好きな池松壮亮さんと仲野太賀さんダブル主演で放送が始まったばかりの『豊臣兄弟!』だ! とテンションが上がります。
撮影隊を見送り、ふと小鳥さんって…どこかで聞いたことあるなと思い、調べてみると川島小鳥さんでした。私が学生時代、母のニコンの一眼フィルムカメラを引っ張りだして、カメラに熱心だった頃がありました。そんな時に本屋さんで被写体を魅力的に生き生きと捉える写真集があったのです。お財布と相談しつつ悩んだその写真集が、小鳥さんの作品だったと記憶が蘇ったのです。早稲田松竹で小鳥さんが撮影しに来た話をすると、韓国まで個展を見に行ったスタッフもいて小鳥さんのファンがいっぱいでした。
そして先日、雑誌『七緒』の最新号が届きました。なんと早稲田松竹での写真が、表紙で採用されているではありませんか。特集「マネしたいお手本たっぷり 映画が教科書。おしゃれ手帖」と銘打って着物の着こなし、しぐさ、考え方などのヒントを昭和~令和の映画から学んで、ふだんも着物を着てみたくなるような内容が盛りだくさんです。
雑誌を読んだら、着物で映画を楽しみたくなること間違いなし! 素敵な映画体験がきっと待っているかもしれません。
(KANI-ZO)










