「仕事」と「家族」。
多くの人にとって生活から切っても切り離せない、非常に大きな関心事だと思います。
だからこそ手を変え、品を変え、これらをテーマにした映画が数多くつくられてきました。
『WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜』は、
林業という仕事の世界に飛び込んだ青年の奮闘を描いた青春エンターテインメントです。
脚本・監督は『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』など、良質な娯楽作品を生み出し続けている矢口史靖監督。
取材のため、舞台となる三重県に何度も足を運び、
林業家の方にインタビューを行うなど徹底的なリサーチをして脚本を練り上げたそう。
劇中には林業にまつわる「へえ〜!」と驚くようなトリビアが満載です。
また、笑いたっぷりの「矢口ワールド」は本作でも健在。
見どころは主演の染谷将太が見せる、文字通り「体を張った」壮大なスケールのクライマックス。
そのあまりのスゴさに爆笑は必至です。何がスゴいのかは、ここでは書けません。ぜひ劇場でお確かめください!
一方、「家族」というテーマを真正面から描いたのが『ぼくたちの家族』です。
母親の余命がわずか1週間という、突然の宣告を受けた若菜家の面々。
うろたえ、諦めそうになりながらも、何とか母親を助けようと一致団結して奔走する家族の姿を描いています。
このあらすじから「よくあるお涙ちょうだいのベタな映画でしょう?」と思われた方もいるかもしれません。
しかし『舟を編む』で日本アカデミー賞を総ナメにした石井裕也監督が、ベタなだけの映画をつくるはずがありません。
このシンプルな物語を圧倒的な力強さで描き切ります。
母親の病気が発覚するシーンから、
「これは自分の家族にあってもおかしくない話だ」とわたしたち観客に共感させ、ぐいぐいと引き込みます。
そして一大事だというのに気持ちがバラバラであるこの家族にあきれ、やがて応援するうち、
あっという間に約2時間の上映時間が過ぎてしまうのです。
幕切れも鮮やかで余韻を残します。
「仕事」と「家族」をテーマにしたこの2作品には、誰しもきっと共感できる部分があるのではないでしょうか。
少しでも多くの方に、ぜひとも観てほしい作品です。
ぼくたちの家族
(2013年 日本 117分 ビスタ)
2014年10月4日から10月10日まで上映
■監督・脚本 石井裕也
■原作 早見和真「ぼくたちの家族」(幻冬舎文庫刊)
■撮影 藤澤順一
■編集 普嶋信一
■音楽 渡邊崇
■出演 妻夫木聡/原田美枝子/池松壮亮/長塚京三/黒川芽以/ユースケ・サンタマリア/鶴見辰吾/板谷由夏/市川実日子
二人の息子は社会人と大学生。父と母は郊外の一軒家に住んでいる。だがある日、母・玲子に脳腫瘍が見つかる。すでに末期症状で、余命一週間を宣言されてしまう。父は取り乱し、長男の浩介は言葉を失くし、二男の俊平は冷静を装う。
母の記憶は脳の腫瘍のせいで曖昧になっていき、息子の浩介さえも誰かわからなくなるほどだ。振る舞いも少女のようになっていき、ひた隠しにしていた家族の不満や本音を暴露し、男たちはぐうの音も出ない。さらに、父の多額のローンと母のサラ金通いが発覚、浩介は自分たちの家族がとっくに壊れていたことを思い知る…。デビュー作『川の底からこんにちは』、米アカデミー賞外国語映画賞日本代表作品にもなった『舟を編む』など、今や世界から注目される存在となった石井裕也監督が最新作に選んだテーマ、それは自身が描き続けてきた【家族】だ。だが、私たちはオープニングからほんの数分で気づく――今まで観てきたどの【家族映画】とも、全く違うということに。監督が「本気で家族と向き合い、描きたかった」と、家族がもつ“業”に全力でぶつかった渾身の一作。これまで描かれることのなかった、けれど誰もが知っている真の家族の姿がここにある。
長男の浩介を演じるのは、幅広い層から支持を得、日本映画界を代表する実力派俳優の妻夫木聡。次男の俊平には、『愛の渦』『海を感じる時』など出演作が続々と公開され、今最も期待されている若手俳優の池松壮亮。そして、見栄っ張りで頼りない父親を長塚京三、だんだんと少女のように天真爛漫になっていく母親を原田美枝子が扮している。
WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜
(2014年 日本 116分 ビスタ)
2014年10月4日から10月10日まで上映
■監督・脚本 矢口史靖
■原作 三浦しをん「神去なあなあ日常」(徳間書店刊)
■脚本協力 矢口純子
■撮影 芦澤明子
■編集 宮島竜治
■音楽 野村卓史
■主題歌 マイア・ヒラサワ「Happinest Fool」
■出演 染谷将太/長澤まさみ/伊藤英明/優香/西田尚美/マキタスポーツ/有福正志/近藤芳正/光石研/柄本明
チャランポランで毎日お気楽に過ごしていた18歳男子・勇気は、大学受験に失敗、彼女にもフラれ、散々な状態で高校の卒業式を迎える。そんなとき、ふと目にしたパンフレットの表紙でほほ笑む美女につられ、街から逃げ出すように1年間の林業研修プログラムに参加することに。
ローカル線を乗り継ぎ降り立ったのは、ケータイの電波も届かぬ“超”が付くほどの田舎・神去(かむさり)村。鹿やら蛇やら虫だらけの山、同じ人間とは思えないほど凶暴で野性的な先輩・ヨキ、命がいくつあっても足りない過酷な林業の現場…。耐え切れず逃げ出そうとする勇気だったが、例の表紙の美女・直紀が村に住んでいると知り、留まることを決意する――。
『ウォーター・ボーイズ』や『ロボジー』など、数々のヒット作を世に送り出してきた、矢口史靖監督の最新作。これまでユニークなモチーフに目をつけ、日本中に笑いと感動を届けてきた監督が次に選んだのは、なんと【林業】! 原作は、2010年度本屋大賞第4位を獲得した三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」。矢口監督が丹念な取材の成果を加味して脚本を起こし完成した作品は、アクションあり、ラブあり、感動あり、ちょっぴりエッチもあり、もちろん、笑いはテンコ盛り!
主人公・勇気には、今やもっともオファーの多い若手俳優といわれる染谷将太。ヒロイン・直紀には、美しさにますます磨きのかかる長澤まさみ。さらに、“林業の天才”で“荒ぶる山の神”ことヨキ役には様々なキャラクターを巧みに演じる伊藤英明。その他、優香、光石研、西田尚美、マキタスポーツ、柄本明など、実力派俳優陣が集結。名実ともに日本を代表する最強のキャストで贈る、爆笑と感動と衝撃のノンストップ大木(たいぼく)エンタテインメントが誕生した!