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ベルナルド・ベルトルッチ

監督■ベルナルド・ベルトルッチ

イタリア・パルマ出身。

早くから詩人として才能を発揮。ローマ大学を中退後、『ソドムの市』等で知られるピエル・パオロ・パゾリーニの助監督を務め、62年の監督処女作『殺し』がヴェネツィア国際映画祭で高く評価されたことから、世界的な映画監督としての道を歩みはじめる。以後、『暗殺のオペラ』、『ラストタンゴ・イン・パリ』など問題作を発表。

87年の『ラストエンペラー』でアカデミー賞9部門を受賞、世界の巨匠としての地位を築いた。03年に『ドリーマーズ』を発表後、病魔に蝕まれ現場から遠ざかるが、『孤独な天使たち』で10年ぶりの復活を果たした。

filmography

・殺し('62)監督/脚本
・革命前夜('64)監督/脚本
・ベルトルッチの分身('68)監督/脚本
・暗殺のオペラ('69)監督/脚本
・愛と怒り('69)<未>監督
・暗殺の森('70)監督/脚本
・ラストタンゴ・イン・パリ('72)監督/脚本
・1900年('76)監督/脚本
・ルナ('79)監督/脚本
・ある愚か者の悲劇('81)<未>監督/脚本
ラストエンペラー('87)監督/脚本
・シェルタリング・スカイ('90)監督/脚本
・リトル・ブッダ('93)監督/原案
・魅せられて('96)監督
・シャンドライの恋('98)監督/脚本
10ミニッツ・オールダー イデアの森('02)監督/脚本
ドリーマーズ('03)監督
・孤独な天使たち('12)監督/脚本

 

マルコ・ベロッキオ

監督■マルコ・ベロッキオ

イタリア・ボッビオ出身。

ミラノで哲学を学んでいたが、映画に転向。1965年に『ポケットの中の握り拳』で映画監督としてデビュー。長編2作目の『中国は近い』はヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞と国際映画批評家連盟賞を受賞する。

68年に共産党に入党し、その作品はより政治的、戦闘的なものとなっていく。86年にはレイモン・ラディゲの小説『肉体の悪魔』を大胆な解釈で映画化。

03年に『夜よ、こんにちは』でヴェネツィア国際映画祭芸術貢献賞を受賞。カンヌ国際映画祭では、これまで6回コンペティション部門に出品されている。

11年、その業績を讃え、ヴェネツィア国際映画祭より生涯功労賞を受賞した。

filmography

・ポケットの中の握り拳('65)監督/脚本
・中国は近い('67)<未>監督/脚本
・肉体の悪魔('86)監督/脚本
・サバス('88)監督/脚本/原案
・蝶の夢('94)監督
・母の微笑('02)<未>監督/脚本/製作
・夜よ、こんにちは('03)監督/脚本
・ブラックバード・フォース('03)<未>脚本
愛の勝利を ムッソリーニを愛した女('09)監督/脚本
・眠れる美女('12)監督/脚本/原案
*主に日本公開作のみ

ベルトルッチとベロッキオは、共にイタリアの巨匠監督で、活躍し始めた時期も60年代初めの同時期だけれど、日本での受け入れられ方はだいぶ違う二人なんじゃないかと思います。

ベルトルッチは、そのほとんどの作品が日本でも公開され、フィルモグラフィには『暗殺の森』『ラストタンゴ・イン・パリ』『ラストエンペラー』といった問題作、大作が華々しく並びます。とはいえ03年の『ドリーマーズ』以来、病気により監督作品が途絶えていた、まさに生ける伝説という感じの人です。

一方のベロッキオといえば、昔からポツリポツリと公開作はあるものの、多岐にわたる創作活動は日本で十分に紹介されているとは言い難く、近年になって『夜よ、こんにちは』『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』と、イタリアの近現代史を扱った力作が続けさまに公開されて、ようやく名前が広く定着したという感じだと思います。

ここ30年イタリア国内では映画をつくらなかったベルトルッチと、近年は歴史的事件に題材をとることの多かったベロッキオ。それぞれ独自の活動をしていた2人の新作は、偶然にもどちらも現代のイタリアの物語です(とはいえ『眠れる美女』は2009年の物語ではありますが)。

『孤独な天使たち』で、ベルトルッチが描くのは孤独癖の少年の物語です。母親にスキー合宿に行くと偽り、アパートの地下室に閉じこもって音楽や読書にふける主人公ロレンツォ。かねてから計画していた彼にとっての天国の日々は、2日目に偶然闖入してきた異母姉オリビィアによりかき乱されていきます。薬物中毒を断ち切ろうと必死な彼女との関わりを通して、人間として一歩成長する少年のドラマを、70歳を超えるベルトルッチは驚くほどナチュラルなタッチで描きます。そこには年長者が現代の若者を頭で理解した気になったような、説教臭さなど微塵もありません。現代の若者の孤独感に丁寧に寄り添った姿勢が感じ取れると思います。ほんの少しだけ、以前よりも前向きに生きようとする少年と少女に希望をたくしたエンディングには、彼らに共鳴するベルトルッチのエールが聴き取れるようです(とはいえ、彼らの前途に待ち受ける困難もまた、同時に提示されてはいるのですが)。

ベロッキオ監督の『眠れる美女』は、2009年に実際に起こった安楽死事件を題材にしています。人間にとってどこからが死なのか。延命治療を中断することは倫理的に許されるのか。イタリア国内を二分するほどの激しい論争を起こした事件の経過は、イタリア国内で起こった事件ではあっても、日本に生きる私たちに無縁の問題ではありません。そして、報道を通じて事件に心痛め、それぞれの想いを重ねながら生きる人々の姿もまた、(事件のスケールはだいぶ違いますが)3.11以降を生きてきた私たちの姿と重なるものがあるように思います。

『眠れる美女』は、登場人物たちが事件を通じて他者と関係していくことで、自らの生を見つめなおす過程を丁寧に描きます。事件自体は悲劇的ですが、そのニュースを受け止める人々には、それを通して生まれるそれぞれの人生の決断があり、出会いもあれば、別れもある。ベロッキオはそんな多様な人生を静かに、繊細に描き出します。『眠れる美女』が、その題材の深刻さにも関わらず、不思議とポジティブな感触を残すのはそのためだと思います。

両作品に共通するのは、現代の人々の孤独や不安に向き合おうとする真剣な姿勢です。そしてその真剣さゆえに、そこには様々な人生を肯定する力強さと、軽妙といっていい程の瑞々しさがつまっているのです。

(ルー)

孤独な天使たち
pic (2012年 イタリア 97分 35o ビスタ/SRD)
2014年3月22日から3月28日まで上映
■監督・脚本 ベルナルド・ベルトルッチ
■脚本 ニッコロ・アンマニーティ/ウンベルト・コンタレッロ/フランチェスカ・マルチャーノ
■原作 ニッコロ・アンマニーティ「孤独な天使たち」(河出書房新社刊)
■撮影 ファビオ・チャンケッティ
■編集 ヤコポ・クアドリ
■音楽 フランコ・ピエルサンティ
■出演 ヤコポ・オルモ・アンティノーリ/テア・ファルコ/ソニア・ベルガマスコ/ヴェロニカ・ラザール/トマーゾ・ラーニョ/ピッポ・デルボーノ

■2012年カンヌ国際映画祭特別招待作品

アパートの地下倉庫で過ごした秘密の1週間。
ふたりにとっては忘れられないあの場所、あの時間。

pic口うるさい母親や学校に問題児扱いされているロレンツォは、単独行動を好む14歳の少年だ。あらゆる世間のしがらみから解き放たれたいと願う彼は、秘密の計画を実行に移す。学校のスキー合宿に参加すると母親に嘘をつき、自宅のあるアパートメントの地下室にこもって一週間を過ごすつもりなのだ。食料も寝床も暖房も確保されたその空間には、ロレンツォの大好きな本と音楽、そして誰にも邪魔されることのない静寂が完璧に揃っていた。

ところがロレンツォの至福の時間は、2日目にして意外な闖入者にかき乱されてしまう。美しくも奔放な異母姉オリヴィアが転がり込んできたのだ。こうして波乱含みで始まった孤独な姉弟の“共同生活”は、ロレンツォの内に潜む思いがけない無垢な感情を呼び覚ましていくのだった…。

「この映画を撮影した私は、
また自分が走り出したことを感じている。」
         ――ベルナルド・ベルトルッチ

pic長らく創作活動が途絶えていたイタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチが、ついに映画界への完全復帰を果たした。『ドリーマーズ』発表後、重い病に苦しみ一時は引退さえ覚悟したベルトルッチだが、車椅子とともに生きる自らの現実を受け入れたことで映画作りへの意欲が再燃。そんな時『ぼくは怖くない』で知られるニッコロ・アンマニーティの小説に触れ、迷うことなくその映画化を決意した。かくして完成した10年ぶりの新作『孤独な天使たち』は、ベルトルッチが30年ぶりに母国のイタリア語で撮った映画であり、くしくも監督デビュー作『殺し』から50周年の節目を飾るメモリアル作品となった。

2012年カンヌ国際映画祭で大きな反響を呼んだ本作は、思春期まっただ中の少年と腹違いの姉がふたりきりで過ごす7日間の物語だ。主役には新人俳優ふたりを抜擢し、不安定なエモーションが全編にみずみずしく揺らめく、齢70を超えたベルトルッチの新境地にして“らしさ”も全開の一作に仕上がった。劇中で流れる、デヴィッド・ボウイの「スペイス・オデッセイ」のイタリア語版「ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール」が、本編を一層盛り上げている。


眠れる美女
pic (2012年 イタリア/フランス 115分 35mm シネスコ/SRD)
2014年3月22日から3月28日まで上映
■監督・原案・脚本 マルコ・ベロッキオ
■脚本 ヴェロニカ・ライモ/ステファノ・ルッリ
■撮影 ダニエーレ・チプリ
■編集 フランチェスカ・カルヴェリ
■音楽 カルロ・クリヴェッリ
■出演 トニ・セルヴィッロ/イザベル・ユペール/マヤ・サンサ/アルバ・ロルヴァケル/ピエール・ジョルジョ・ベロッキオ/ミケーレ・リオンディーノ/ファブリツィオ・ファルコ/ジャン・マルコ・トニャッツィ

■2012年ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品・ブライアン賞・マルチェロ・マストロヤンニ賞受賞(ファブリツィオ・ファルコ)/サンパウロ国際映画祭批評家賞受賞/トロント国際映画祭正式出品

■オフィシャルサイト http://nemureru-bellocchio.com/

声に出せない思いが、夢に響く。
愛すればこそ、生かそうとするのか。
それとも――

pic重病の妻を安楽死させた経験を持つ国会議員のベッファルディは、17年間昏睡状態の女性エルアーナの延命措置を続行する法案に票を投じるかで悩んでいた。延命停止に反対する彼の娘マリアは、ある兄弟と衝撃的な出会いを果たす。マリアは兄ロベルトに恋をするが、彼の弟はマリアとは反対のデモ団体に所属していた。

昏睡状態の娘を持つ伝説的な女優は、看病に専念するため女優のキャリアを捨て、奇跡を信じて神への祈りを捧げ続けていた。一方役者を目指す彼女の息子は母の愛に飢えていた。

薬物中毒の女ロッサは自殺未遂を繰り返し、今度こそ死ぬ決心をしていたが、医師のパッリドによってそれを阻止される。医師は薬によって昏睡状態になったロッサの覚醒をひたすら待つのだが…。

巨匠ベロッキオが2年の歳月を費やした新たな傑作。
眠り続ける女を巡る、三つの愛の物語。

pic 2011年ヴェネチア国際映画祭でその業績を讃えられ栄誉金獅子賞を授与されたイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ。『夜よ、こんにちは』『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』など、実在の事件を独自の解釈で描き、世界を熱狂させてきた監督が、イタリア全土を揺るがした尊厳死事件を基に、瑞々しく鮮烈な愛のオリジナルストーリーを完成させた。大切な人の命が生と死の狭間を彷徨っているとき、あなたならどうするだろうか。ベロッキオは、そんな永遠の命題への答えを、深く温かい洞察力で示唆に富む物語へと結実させた。

物語を支えるのは、イタリアの至宝トニ・セルヴィッロ、カンヌで2度の女優賞に輝いたフランスの大女優イザベル・ユペールら豪華俳優陣だ。また、ベロッキオの女神マヤ・サンサは本作の熱演でダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(イタリアアカデミー賞)助演女優賞を受賞。即興を取り入れた演技の応酬は、本作に圧倒的な説得力と臨場感をもたらしている。



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