ぼくは怖くない
IO NON HO PAURA
(2003年 イタリア 109分)
2005年1月22日から1月28日まで上映 ■監督 ガブリエーレ・サルヴァトーレス
■原作・脚本 ニコロ・アンマニーティ『ぼくは怖くない』

■出演 ジョゼッペ・クリスティアーノ/マッチア・ディ・ピエッロ/アイタナ・サンチェス=ギヨン/ディーノ・アップレーシャ/ディエゴ・アバンタントゥオーノ

(C)ニューセレクト

穴の中の少年はその穴を「悲しみ」だとおもうことにした。自分のいる場所は麦畑のまんなかの暗い穴の中じゃなくて、ひとびとの「悲しみ」の中なんだ。

pic「自分は今この穴に閉じ込められているけれど、誰だって悲しみを感じたとき自分自身のなかに閉じこもるから」

これは撮影終了後のインタビューでフィリッポ役のマッチア・ディ・ピエッロが本作の役作りについて語った言葉。彼は撮影当時9歳。インタビュー終了後、彼は近況についてこう言う。 「今カフカの“変身”を読んでいるんだ」

大人が想像できないような力を子供たちは持っている。大人たちはそれを忘れてしまった。すべての大人たちがかつて子供だったはずなのに。

pic本作はイタリアで最も優れた文学作品に贈られるヴァレッジョ賞を受賞した、ニコロ・アンマニーティの同名小説を原作に、彼自身の手で脚本化された。監督は『エーゲ海の天使』でアカデミー外国語映画賞を受賞したガブリエーレ・サルヴァトーレス。

『ニューシネマ・パラダイス』『ライフ・イズ・ビューティフル』に続く天才子役の出現として話題になったのは、上記のマッチア・ディ・ピエッロと主役のジョゼッペ・クリスティアーノ。彼らは1200人のなかから、オーディションによって選ばれた。

雄大に続く麦畑を舞台にした誘拐事件。少年たちは大人たちの本当の姿を知る。大人たちも彼らの本当のチカラを知る。すべての人に懐かしくてミステリアスな、勇気と感動の成長物語。

(Ben)


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ぼくセザール 10歳半 1m39cm
MOI CESAR, 10ANS 1/2, 1M39
(2003 年 フランス 99分)
pic 2005年7月9日から7月15日まで上映 ■監督・脚本 リシャール・ベリ
■脚本 エリック・アスス

■出演 ジュール・シトリュク/ジャン=フィリップ・エコフェ/ジョゼフィーヌ・ベリ/マリア・デ・メディロス/マボ・クヤテ/アンナ・カリーナ

(C)EUROPACORP-TF1 Film Production

「大人の世界」を、じーっと観察しながら、子供であることを利用し、そのくせ子ども扱いされると怒る・・・。10歳とは、デリケートでムズかしいお年頃なのだ。

picフランスから、シャイで好奇心いっぱいで、甘いものに目がないヒーロー、セザールがやってきました。大人になると、どうって事の無いような日常の小さな出来事も、子供たちにとっては毎日が冒険の連続なのです。学校、習い事、おつかい、パパの出張、田舎でのお泊り、そしてサラのこと。

ついには両親に内緒で、親友のモルガンの父親探しにサラと三人でロンドンへ行っちゃいます。ちょっと小太りであることへの「羞恥心」と甘い物への「執着心」、モルガンとの「友情」とサラへの「愛情」、そんなさまざまな葛藤に板ばさみになりながらも、悩み、行動し、変わっていこうとするセザール。そんなセザールを見ていると、自分にも1m39cmの頃があったんだなぁ、と思います。

セザールの視点から語る事にこだわった本作は、一貫して1m39cmのカメラポジションからの撮影になりました。大人は実際よりも大きく見え、部屋も戸外の場所も実際の大きさでは映りません。カメラをセザールの立ち位置に捉えることによって、主観性をより高めることも。この撮影法は、平手打ちのシーンやパン屋の奥さんなどの会話のシーンにおいて、より効果を発揮しています。

picさらに、時折挿入されるナレーションによってセザールの本音が表現されます。この声はセザールの本心であり、また大人の勝手な解釈や、子供が口にする僅かな言葉と実際に子供が思っていることとの間にあるズレの証明でもあるのです。このような効果によって私達は、よりセザールに近くなり、一緒に笑ったり、自分もこうだったな、とうなずいたり、ジーンとしたりしながら忘れてしまっていたあの頃に戻って行くのです。

(cotd)



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