海を飛ぶ夢
THE SEA INSIDE
(2004年 スペイン 125分)
2006年1月28日から2月3日まで上映
■監督・脚本・編集・音楽 アレハンドロ・アメナーバル(『オープン・ユア・アイズ』『アザーズ』)
■脚本 マテオ・ヒル
■出演 ハビエル・バルデム(『ライブ・フレッシュ』) / ベレン・ルエダ / ロラ・ドゥエニャス
■2004年アカデミー賞外国語映画賞受賞/ヴェネチア国際映画祭男優賞・審査員特別賞受賞/インディペンデント・スピリット賞外国語映画賞受賞ほか多数
配給:東宝東和
ラモン・サンペドロにとって、生きることは自由を謳歌することだった。太陽の光に照らされ、青くまばゆくきらめく故郷ラ・コルーニャの海。19歳でノルウェー船のクルーとなり、世界中の国々を旅した彼にとって、海は世界へ開かれた広大な扉だった。――25歳の夏。彼の青春時代は唐突に終わりを告げる。皮肉にも海で起きた事故によって、首から下が不随の身となってしまうのだった。肉体の自由を完全に奪い取られてしまったラモンにとって、それ以来ベットの上だけが生きる世界となった。
『海を飛ぶ夢』は、ラモン・サンペドロの手記「LETTERS FROM HELL」を元に、作られたストーリー。生と死を見つめながらも、優しさに溢れている。
尊厳死(Death with Dignity) …不治かつ末期の患者が自分の意志により、人間としての尊厳を保って死に至ること。
事故から26年目を迎えた時、ラモンはひとつの結論に達する。自らの選択によって人生に終止符を打つことが、自分にとって最も尊厳のある生き方ではないか、と。
ラモンはユーモアがあり、とてもチャーミングな人。そして、愛する家族と共に暮らしている。なぜ、こんなたくさんの人に愛されているのに、死を選びとるのか。でもきっとそれはずるい考えで、何ひとつ理解できていないのだと思う。
生きるために、死を選択したラモン。そして、彼を愛する人々の葛藤。ラモンの生涯を通して“生きる”を見つめ直します。
(ロバ)
ミリオンダラー・ベイビー
MILLION DOLLAR BABY
(2004年 アメリカ 133分)
2006年1月28日から2月3日まで上映
■監督・製作・音楽・出演 クリント・イーストウッド
■原作 F・X・トゥール『テン・カウント』(早川書房)
■脚本 ポール・ハギス
■出演 クリント・イーストウッド / ヒラリー・スワンク(『ボーイズ・ドント・クライ』) / モーガン・フリーマン
■2004年アカデミー賞4部門受賞(作品/監督/主演女優/助演男優)、3部門ノミネート
(C)2004 Lakeshore International. All Rights Reserved.ボクシングを題材にした映画は数あれど、今作ほど「ボクシング映画」でないものはないだろう。これはイーストウッドも言うように「ラブストーリー」なのだ。それも、まさに全身全霊を伴った愛の話である。
老トレイナー、フランキー(クリント・イーストウッド)は23年の付き合いになる雑用係のスクラップ(モーガン・フリーマン)と昔ながらのジムでボクサーを育成している。過去の出来事が原因で、「自分を守れ」を信条にして選手に無理をさせないフランキーの方針は、有望株の選手の流出を招いてしまう。
ある時、31歳のボクサー志望の女性・マギーがフランキーにトレーナーになって欲しい、とやって来る。だがフランクには女性ボクサーを育てる気はなく、にべも無く彼女を追い返す。それでも諦めないマギーはフランキーのジムに入り々と練習を重ねる。トレイラー育ちで若い頃からウエイトレスの仕事をしながら残りの全ての時間をボクシングの練習についやす彼女のひたむきさに、フランキーの心もついには動かされる。何も質問せず、泣き言も言わないことを条件にトレーナーを引き受けたフランキーの指導で、マギーはめきめきと力をつけていく。そして連勝を重ね、瞬く間に世界タイトル戦に望むことになるのだが…。
フランキーには修復不可能な関係になってしまった娘がいるが、彼女への手紙は送り返されてくるばかり。マギーもまた家族の愛に見放さている。孤独な魂が二つより添い、やがて同じ目標に向っていく過程で、互いを父と娘として見いだし、暖かな愛情が芽生える。予告編では、一見「ロッキー」のようなサクセスストーリーのように思えるかもしれない。しかし、今作の終盤における重要な転調のみならず、全編に渡って静謐に映し出される非類型の奥深い人物造詣と名優たちの演技力が今作を重厚なドラマとして成立させている。
イーストウッドは今作で『ミスティック・リバー』に次ぐ二回目のアカデミー監督賞を受賞。3ヶ月のトレーニングを経て全編吹き替え無しでボクシングシーンを演じきったヒラリー・スワンクは『ボーイズ・ドント・クライ』に次いで2回目のアカデミー主演女優賞。スクラップ役のモーガン・フリーマンは4度目のノミネートにして今作で初のアカデミー助演男優賞を受賞した。
(Sicky)