ホン・サンス監督特集 presented by JAIHO・ミモザフィルムズ

10/19(土)・22(火)・25(金)
あなた自身とあなたのこと10:3014:1518:00
映画館の恋12:2016:0519:50
~21:25
10/20(日)・23(水)
川沿いのホテル10:3014:2018:10
リスト + 草の葉12:2516:1520:05
~21:40
10/21(月)・24(木)
小説家の映画10:3014:2018:10
WALK UP12:2016:1020:00
~21:40

▼チケット販売時刻▼

・各プログラム、初回10:30からの二本立て >>> 9:50
・二本目以降の回/ラスト1本 >>> 各回その直前の回が始まって10分後

☆『リスト』『草の葉』【上映日:10/20(日)・23(水)】は連続上映となります。
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★指定席でご案内しております。チケットの販売は窓口のみとなります。受付にお時間がかかることが予想されますので、ご来場の際はお時間に余裕を持ってお越しください。
★そのほか、ご入場システムに関する詳細は、「劇場案内」ページをお読みください。

ミ・ナミ

今週の早稲田松竹は、韓国映画界を独立独歩で開拓してきたホン・サンス監督の特集といたしまして、『あなた自身とあなたのこと』『映画館の恋』『川沿いのホテル』『草の葉』『小説家の映画』『WALK UP』、短編『リスト』を上映いたします。

ここ数年、芸術の伴走者・キム・ミニとのタッグで語られることが多いホン・サンス監督ですが、そうした近年のセオリーと少しだけ外れている今週のラインナップは何か興味深いものがあります。すれ違い、まどろみの中の夢、そして韓国焼酎。ホン・サンス監督自身の作風のキーワードを極端に挙げるとすればこうしたところですが、しかしその一方で、差異と同調を繰り返しながら実に多彩に富むもので、いかに変化を遂げてきていたかがありありと理解できる並びだからです。

男女が他愛もないことでケンカ別れし、再会したはずの彼女が全くの別人のように振舞うさまから物語が動く『あなた自身とあなたのこと』のように、不条理な展開を何度でも出会い直すことのロマンティックな喜びに変えてしまうのも、彼の他の作品ではあまり見られないものです。人間観察を好む脚本家の皮肉なト書きかと思いきや切実な心が言葉で露わになる『草の葉』、生活をスケッチしそのまま提示するようなやり方で映画作りのセオリーを軽々飛び越えてしまった『小説家の映画』、芸術を志す者たちの俗人ぶりをしかし愛おし気に映し出した『WALK UP』など、端的に言えば作品を重ねるごとに優しさが増しているようなのです。『3人のアンヌ』のスピンオフのような短編『リスト』も、“明日すること”を紙に書くという主軸はミニマムなものですが、むしろそんな些細な行為をよすがにする人間の切実さもまたあぶり出されているように感じます。こうして『映画館の恋』を見返すと、近年のホン・サンスの作風からすれば、生々しく足が絡むような性描写や男性の視線をはじめとする不埒なムードはあるものの、誰もが歩む繰り返しと変奏の人生を撫でさするようなホン・サンスの手つきが見えてくるような思いがします。

やっぱりホン・サンスが好き。何度目かの再見を経て、こんな思いを新たに抱くのでした。

あなた自身とあなたのこと
Yourself and Yours

開映時間 【10/19(土)・22(火)・25(金)】10:30 / 14:15 / 18:00
ホン・サンス監督作品/2016年/韓国/86分/DCP

■監督・脚本 ホン・サンス
■撮影 パク・ホンニョル
■編集 ハム・ソンウォン
■音楽 タル・パラン

■出演 キム・ジュヒョク/イ・ユヨン/キム・ウィソン/クォン・ヘヒョ/ユ・ジュンサン

■第64回サン・セバスチャン国際映画祭監督賞受賞

■パンフレット販売なし

©2016 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

恋人のミンジョンが男と酒を飲み、喧嘩をしたという噂を聞いた画家ヨンス。その夜、二人は口論になりミンジョンが出ていってしまう。ヨンスはミンジョンの行方を探すが見つからない。一方ヨンスが住む延南洞では、ミンジョンにそっくりな女性がミンジョンを知る男たちと出会い、酒を飲み、言い寄られていた。だが彼女は自分はミンジョンではないと言い張り続ける。

最新作『A Traveler's Needs(英題)』が第74回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞したことでも話題の、現代韓国映画界屈指の映画作家ホン・サンス監督。本作は2016年に発表した、不条理でスリリングな恋の駆け引きを描いた辛口の恋愛喜劇。『コンフィデンシャル/共助』(2017)、『毒戦 BELIEVER』(2018)などで活躍した故キム・ジュヒョクがホン・サンス作品に初出演。ヒロインは『アトリエの春、昼下がりの裸婦』(2014)のイ・ユヨン。キム・ウィソン、クォン・ヘヒョ、ユ・ジュンサンらサンス作品の常連が脇を固める。第64回サン・セバスチャン国際映画祭で監督賞を受賞。

映画館の恋
Tale of Cinema

開映時間 【10/19(土)・22(火)・25(金)】12:20 / 16:05 / 19:50(~終映21:25)
ホン・サンス監督作品/2005年/韓国/89分/DCP

■監督・脚本 ホン・サンス
■撮影 キム・ヒョング
■音楽 チョン・ヨンジン

■出演 キム・サンギョン/オム・ジウォン/イ・ギウ/ケ・ソンヨン

■第58回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品/2005年「カイエ・デュ・シネマ」誌ベストテン第8位

■パンフレット販売なし

<第1部>大学の入学試験を終えたばかりのサンウォンは、兄からお小遣いをもらい1人で鐘閣の街を歩いていると、偶然中学時代の初恋の相手ヨンシルと再会する。一夜を過ごした2人は、“一緒に死のう”と約束するのだが…。

<第2部>先輩が監督した映画を観たばかりのドンスは、映画館から出たところでちょうど観ていた映画の主演女優ヨンシルと出会う。ヨンシルの大ファンであるドンスは、自分の映画に出演して欲しいと頼み込む…。

ホン・サンス監督が2005年に発表した長編第6作。映画内映画とそれを観終えた男女の恋の行方を2部構成で綴る異色のラブ・ストーリー。主演は『殺人の追憶』のキム・サンギョンと『呪呪呪/死者をあやつるもの』(2021)のオム・ジウォン。カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品。2005年「カイエ・デュ・シネマ」誌ベストテン第8位に選出された。日本ではソフト化されていない幻の人気作。

川沿いのホテル
Hotel by the River

開映時間 【10/20(日)・23(水)】10:30 / 14:20 / 18:10
ホン・サンス監督作品/2018年/韓国/96分/DCP

■監督・脚本 ホン・サンス

■出演 キ・ジュボン/キム・ミニ/ソン・ソンミ/クォン・ヘヒョ/ユ・ジュンサン/シン・ソクホ

■第68回ロカルノ国際映画祭最優秀男優賞/第56回ヒホン国際映画祭最優秀作品賞・脚本賞・最優秀男優賞/2020年「カイエ・デュ・シネマ」誌ベストテン第6位

■パンフレット販売なし

© 2018 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

漢江沿いにある静かなホテルに長らく逗留している老詩人ヨンファン。ある冬の日、彼は自分が死ぬような気がして、疎遠となっていた 2 人の息子をホテルに呼び出した。だが、親子は同じホテルの違う場所で待っていてなかなか出会えない。ようやく互いを発見した親子はホテルのコーヒーショップで久々に話をするが、うまく嚙み合わない。ホテルの別の部屋には傷心の美女サンヒが滞在しており、ヨンファンは彼女を気に入ってその後を追う。やがてサンヒを慰めるために先輩の女友達がやってくる。

『草の葉』(2018)に続きモノクロ映像で描くホン・サンス監督の長編第23作にして、ホン・サンス監督とキム・ミニの6本目のコラボレーション作品。漢江沿いのホテルでのある冬の一日を舞台にした会話劇。2020年「カイエ・デュ・シネマ」誌ベストテン第6位に選ばれ、第68回ロカルノ国際映画祭ではキ・ジュボンが最優秀男優賞、第56回ヒホン国際映画祭では最優秀作品賞と脚本賞、最優秀男優賞を受賞。

リスト
List

開映時間 【10/20(日)・23(水)】12:25 / 16:15 / 20:05(~終映21:40)★『草の葉』と連続上映
ホン・サンス監督作品/2011年/韓国/28分/DCP

■監督 ホン・サンス

■出演 チョン・ユミ/ユ・ジュンサン/ユン・ヨジョン

■パンフレット販売なし


★『草の葉』と連続上映

親族の金銭トラブルから逃れるため、海沿いの町のペンションに母と2人で泊っているミヘは、気晴らしに“明日すること”を紙に書く。「近所を散策」「誰かとバドミントンをする」「お母さんにマッサージ」など12つをリストアップしたミヘは、やがてそのリストに導かれるように行動する…。

韓国の名匠ホン・サンス監督が2011年に発表した日本未公開の28分の短編。『82年生まれ、キム・ジヨン』(2019)のチョン・ユミと、『ミナリ』(2020)で韓国人俳優として初めてアカデミー賞助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンが母娘を演じる。

草の葉
Grass

開映時間 【10/20(日)・23(水)】12:25 / 16:15 / 20:05(~終映21:40)★『リスト』と連続上映
ホン・サンス監督作品/2018年/韓国/66分/DCP

■監督・脚本 ホン・サンス

■出演 キム・ミニ/チョン・ジニョン/キ・ジュボン/ソ・ヨンファ/キム・セビョク/アン・ジェホン/コン・ミンジョン/イ・ユヨン

■パンフレット販売なし

© 2017 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED.


★『リスト』と連続上映

ある路地裏の喫茶店。何組かの男と女が言葉を交わしている。そのほとんどは俳優や作家たち。自殺した女性のことを話す売り出し中の俳優とその友人女性、若い後輩女優に家の一室を貸して欲しいと頼むベテラン俳優。若い脚本家に数日間一緒に同じ部屋で共作しないかと持ちかける脚本家…。そんな会話を聞きながらパソコンに向かう 1 人の女性のもとへ、彼女の弟が年上の恋人を連れて現れる。店内では、身勝手でたわいもなく気恥ずかしい会話が続いていく。

ホン・サンス監督が2018年に発表した監督第22作となるモノクロ、66分の中編。ホン・サンス監督と公私にわたるパートナーである女優キム・ミニの、5本目のコラボレーション作品。 ミニマルな音楽使いが多い同監督作のスタイルとは違い、シューベルトやワーグナーなどのクラシック曲がBGMとして多彩に使用されている。第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門でプレミア上映され、日本では第19回東京フィルメックスで監督第23作『川沿いのホテル』(2018)とともに上映された。

小説家の映画
The Novelist's Film

開映時間 【10/21(月)・24(木)】10:30 / 14:20 / 18:10
ホン・サンス監督作品/2022年/韓国/92分/DCP

■監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽 ホン・サンス

■出演 イ・へヨン/キム・ミニ/ソ・ヨンファ/パク・ミソ/クォン・ヘヒョ/チョ・ユニ/ハ・ソングク/キ・ジュボン/イ・ユンミ/キム・シハ

■第72回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞/2022年ヒホン国際映画祭作品賞ノミネート/2022年フィルム・コメント誌年間ベスト映画9位/国際シネフィル協会賞2022年ベスト映画16位

■オフィシャルサイト
https://mimosafilms.com/hongsangsoo/syousetsuka.html

■物販情報
・パンフレット(800円)

© 2022 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED

「私たち、一緒に映画を作りませんか?」小説家と女優、彼女たちの第二章。

長らく執筆から遠ざかっている著名作家のジュニが、音信不通になっていた後輩を訪ね、ソウルから離れた旅先で偶然出会ったのは、第一線を退いた人気女優のギルス。初対面ながらギルスに興味を持ったジュニは、彼女を主役に短編映画を撮りたい、と予想外の提案を持ち掛ける。かつて名声を得ながらも内に葛藤を抱えたふたりの思いがけないコラボレーションの行方は…。

迷いを抱えながら、人生の新たな可能性に向かって共に歩み出す女性たちの友愛と連帯の物語

世界を席巻する韓国映画界の中で、独自のスタイルと映像表現で魅了し、日本でも新たなファンを獲得し続けている名匠ホン・サンス。長編第27作目となる本作は2022年の第72回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員大賞)に輝き、3年連続4度目の銀熊賞受賞を果たした記念すべき注目作。

主演にはパク・チャヌク監督の『お嬢さん』(16)で世界を魅了し、ホン・サンス監督の公私にわたるパートナーとして『逃げた女』(20)以来の主演を果たしたキム・ミニ、そして前作『あなたの顔の前に』(21)でホン監督作品に初出演し、絶賛を博したベテラン女優イ・ヘヨンを迎え、韓国を代表する二大女優の夢の共演が実現。主人公のふたりをはじめ、彼女たちの行く手に現れるのは、創作活動に行き詰まったり、何かに挫折した女性たちだ。アーティスト/表現者として成功を収めながらも、共に人知れず迷いを抱えたふたりの女性が偶然の出会いを通して、人生の新たな可能性に向かって共に歩み出していく姿を映し出し、女性たちのめぐり合い、友愛と連帯の芽生えをほのかな幸福感にくるんで紡ぎ上げた。

WALK UP
Walk Up

開映時間 【10/21(月)・24(木)】12:20 / 16:10 / 20:00(~終映21:40)
ホン・サンス監督作品/2022年/韓国/97分/DCP

■監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽 ホン・サンス
■プロダクションマネージャー・スチール写真 キム・ミニ

■出演 クォン・ヘヒョ/イ・ヘヨン/ソン・ソンミ/チョ・ユニ/パク・ミソ/シン・ソクホ

■第70回サン・セバスチャン国際映画祭オフィシャル・コンペティション部門ノミネート/第47回トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門ノミネート/第60回ニューヨーク映画祭メインスレート部門ノミネート/第32回釜日映画賞最優秀作品賞・監督賞ノミネート

■物販情報
・パンフレット(800円)

■オフィシャルサイト
https://mimosafilms.com/hongsangsoo/

© 2022 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED.

それはモノクロームの儚い夢か、それともパラレルワールドか――迷える映画監督と4人の女たちが織り成す映像世界

映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンスと一緒に、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れる。そのアパートは1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場になっている。3人は和やかに語り合い、ワインを酌み交わすが、仕事の連絡が入りビョンスはその場を離れる。ビョンスが戻ってくると、そこには娘のジョンスの姿はなく…。

国内外の批評家絶賛! 人生の摩訶不思議さを紡ぎ上げた4階建てのアパートを舞台にした、芸術家たちの4章の物語

ベルリン国際映画祭で銀熊賞を5度受賞した名匠ホン・サンス監督の長編第28作目となる本作は、都会の一角にたたずむ地上4階・地下1階建ての小さなアパートを舞台にした人間ドラマである。アパートの階をひとつずつ上がるごとに、いつしか物語は4つの章へと枝分かれし、ビョンスと彼を取り巻く女性たちの人間模様は予測不能な方向へとねじれていく。果たしてこれは“もしもの人生”を提示したパラレルワールドなのか、それとも…? ユーモア溢れるトリッキーな仕掛けから、芸術家たちの葛藤やささやかな喜び、そしてままならない人生の本質が浮かび上がっていく。

映画監督ビョンスに扮するのは、ドラマ『冬のソナタ』(02)のキム次長役で知られ、Netflixドラマ『寄生獣 ―ザ・グレイ―』(24-)などで活躍するクォン・ヘヒョ。ホン・サンス作品では『それから』(17)以来の単独主演を務めた。さらに韓国を代表する名優イ・ヘヨンや、ホン・サンス監督常連俳優のソン・ソンミ、チョ・ユニらが脇を固め、迷走中のビョンスの人生を揺らめかせる。