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ポン・ジュノ

1969年、大韓民国出身。
延世大学、韓国映画アカデミー卒業。卒業作品『支離滅裂』の独特のユーモアとセンスが大きな話題を呼び、バンクーバー国際映画祭、香港国際映画祭に招待され、その名を知られるようになる。

2000年に劇場映画長編デビュー作となる『ほえる犬は噛まない』を発表。監督・脚本を務めた本作で高い評価を受け、一躍注目を浴びる。03年、実際の未解決事件を題材にした『殺人の追憶』を手掛け、大ヒットを記録。完璧と評される構成力と類まれなる才能が高く評価され、カンヌ国際映画祭をはじめ、その名は世界へと広がっていく。

そして06年、韓国歴代動員史上1位を獲得した『グエムル−漢江の怪物−』を発表。同年のカンヌ国際映画祭をはじめ、世界各国の映画祭でも絶賛され、韓国を代表する監督としての地位を確立した。

filmography

・『White Man』(短編/'95)
・『フレームの中の記憶』(短編/'95)
・『支離滅裂』(短編/'95)
・『ほえる犬は噛まない』('00)
『殺人の追憶』('03)
・『Sink and Rise』(『20のアイデンティティ/異共』内の一話/'04)
・『インフルエンザ』(『三人三色』内の一話/'04)
・『グエムル−漢江の怪物−』('06)
・『TOKYO!<シェイキング東京>』(『TOKYO!』内の一話/'08)
『母なる証明』('09)

今、最も勢いのある映画を発表し続ける国、韓国。
キム・ギドク、イ・チャンドンなど世界に誇る巨匠たちを筆頭に、
ナ・ホンジン、チャン・フンなど若手の監督も次々と輩出。
隣の芝生は青く見える…どころか本当に青々としています。
そんな若手監督の中でも、
群を抜く完成度と国際的評価で一歩抜きんでている人物。
それがポン・ジュノです。

ポン・ジュノは2000年に『ほえる犬は噛まない』で長編映画デビュー。
二作目の『殺人の追憶』で国内外から高い評価を得て、
更に06年の『グエムル −漢江の怪物−』が韓国歴代動員史上1位を記録。
その名声を確固たるものにしました。

ポン・ジュノ監督の完成度の高い作品を支えているもののひとつに、
役者陣の存在があります。
洗練されたハリウッドやヨーロッパ映画の登場人物たちとは一味違う、
“泥臭さ”が印象的です。
スターや芸能人芸能人している人をあまり好まない、と言うポン・ジュノ。
韓国では出演するたびに作品がヒットするソン・ガンホや
大女優のキム・ヘジャに感じるのは、
彫刻のような美しさではなく、血の通った人間の体温です。

飾り立てられ、構築された美。ポン・ジュノは、その偽りの美しさを拒みます。
彼の選ぶ“泥臭さ”とは、剥きだしの感情でしょうか。
或いは、その感情に反応し、縦横無人に駆け回る肉体でしょうか。
愛憎、光と影、善悪…決して分け隔てることができない、
ない交ぜになった、渾然としたものたち。
ポン・ジュノは、洗練さとは程遠い混沌の中に、
“人間の真実”を映しだそうとします。

ポン・ジュノの“泥臭さ”はしかし、驚くほど綿密に描かれています。
その完璧な構成力は時に「黒澤明の孫」と称されるほど。
その2人に共通しているのは綿密な絵コンテです。
「本当は漫画家になりたかった」と言うポン・ジュノの絵コンテには、
カットのリズム、人物がどのタイミングで画面に入るか、
目線の動き、カメラや人物の移動などが詳細に描き込まれているのです。

ポン・ジュノのきめ細やかな演出。
それに敏感に反応する役者陣。
今回上映する『殺人の追憶』『母なる証明』は、
この見事な化学反応の結果生まれた、傑作の二本です。
この機会に是非、劇場でご覧になって下さい。


殺人の追憶
MEMORIES OF MURDER
(2003年 韓国 130分 PG-12 ビスタ/SR) 2010年5月29日から6月4日まで上映 ■監督・脚本 ポン・ジュノ
■脚本 シム・ソンボ
■撮影 キム・ヒョング
■音楽 岩代太郎

■出演 ソン・ガンホ/キム・サンギョン/パク・ヘイル/キム・レハ/ソン・ジェホ/ピョン・ヒボン/パク・ノシク/チョン・ミソン/イ・ジェウン

■東京国際映画祭アジア映画賞/サン・セバスチャン国際映画祭最優秀監督賞・新人監督賞/トリノ映画祭脚本賞・監督賞/韓国アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞・照明賞 ほか多数

6年間で10人の女性が殺された
3000人の容疑者が取り調べを受け、
180万人の警官が動員されたが
たった1人の犯人はまだ捕まっていない…

黄金色の稲穂揺れる田園風景広がる穏やかな農村。そこで発見される手足を拘束され、強姦された裸死体。そのコントラストにまず我々は、事件の残酷さを鮮烈に脳裏に焼き付けられます。

pic現場では特別捜査本部が設置され、犯人を追う二人の刑事が物語の主人公です。昔ながらの足を使った捜査が信条の愚鈍な地元刑事のパク(ソン・ガンホ)。事件解決のためにソウルから派遣されてきたソ刑事。彼はパク刑事とは反対に資料を読み込んで独自の推理を働かせる知性派。ぶつかり合う二人の意地とプライド。容疑者は浮かび上がっては消えてゆき、同じ手口で繰り返される犯行。増える女性被害者。見えざる犯人に対する怒りと焦燥が、しだいに二人の冷静さを失わせ、捜査は荒々しく、理性を欠いたものになってゆきます…。

著しい経済成長、ソウル五輪開催など、黄金時代が到来した80年代の韓国。その深い影として、今でも国内では鮮烈なイメージとして刻まれている「ファンソン連続殺人事件」。この未解決の事件をモチーフとした本作は、当時、軍事政権であった韓国政府の無能さを暴き出します。ポン・ジュノは入念な事件の調査に加え、自身が多感な十代の時期に遭遇した記憶が映画に色濃く反映されてます。先進国への道を邁進していた当時の韓国。その光と影が見事にとらえられています。


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母なる証明
MOTHER
(2009年 韓国 129分 PG12 シネスコ/SRD) 2010年5月29日から6月4日まで上映 ■監督・原案・脚本 ポン・ジュノ
■脚本 パク・ウンギョ
■撮影 ホン・クンピョ
■音楽 イ・ビョンウ

■出演  キム・ヘジャ/ウォンビン/チン・グ/ユン・ジェムン/チョン・ミソン

■日刊スポーツ映画大賞外国作品賞/香港国際映画祭アジアン・フィルム・アワード最優秀作品賞・最優秀主演女優賞・最優秀脚本賞

ヒューマンミステリーの最高傑作!
30分に及ぶ衝撃のラストが、観る者の心を圧倒する

pic“人間の真実”を追及するポン・ジュノ。その眼差しは、優しさや愛情の象徴的存在として描かれることの多い、美徳に綾どられた“母親”の存在に向けられます。

漢方薬店で働きながら一人息子のトジュン(ウォンビン)を育て上げてきた母(キム・ヘジャ)。二人は貧しいながらも、母ひとり子ひとりで懸命に生きてきました。息子は内気だが朗らかな“小鹿のような目をした”純粋な青年。そんな息子が、ある日、殺人事件の第一容疑者として警察に身柄を拘束されてしまいます。怠慢な捜査をする警察もやる気のない弁護士もまるで頼りにはなりません。息子の無実を信じる母親は、その疑惑を晴らそうと自ら立ち上がります。

pic主役を演ずるキム・ヘジャは“韓国の母”と称される大女優。ポン・ジュノは“母”に表される美徳のイメージに、心理的な激しさ、感情的な繊細さをつかみ、ヘジャの中に潜む破壊的な力に光をあて、『母なる証明』の物語を紡ぎ出しました。

そして今回、監督にとって初めてといってもいい二枚目スターの起用。韓国四天王の一人と呼ばれ、これが兵役後の復帰作となるウォンビン。シナリオ完成の3ヶ月前に彼と出合った時、監督は「トジュンが来た!」と思ったといいます。ポン・ジュノは「とても美しい“小鹿のような目”」をしたウォンビンの中に、純粋さと何か含みを感じさせるアンビバレンスなイメージを抱き、ウォンビンもその難しい役どころを見事に演じきっています。

(ミスター)



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