パズー
お待たせしました! 珠玉のワールド・アニメーション特集開幕いたします!
選りすぐりの海外アニメ映画を、一気に上映しちゃいますよ~。
ところで、当館ではこれまで、数多くの海外アニメ映画を上映してきました。たとえば・・・
『ウォレスとグルミット』『ベルヴィル・ランデブー』
『ファンタスティック Mr.FOX』『メアリー&マックス』
『パリ猫ディノの夜』『しわ』
『レッドタートル』『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』
うーん、どれもこれも名作ばかりですね。
アニメ大国の日本で作られる作品とはまた違うバラエティ豊かなラインアップが並んでいます。
さて、今週上映するのはフランスと中国から届いた作品です。
比べるわけではないのですが、実写映画にはないアニメ映画の魅力は何かと考えた時、まず挙げられるのは、「途方もない時間や労力をかけて創られた1枚1枚の画の力」なのではないでしょうか。
登場人物の動きはどうする、背景は、色彩は・・・当たり前ですがまっさらな状態からすべて人の手で作り上げられるのです。だからこそ一口にアニメーションといっても千差万別。今回上映する3本もそれぞれ違った手法で作られています。
『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』は、淡い色彩と輪郭線のない優しい画風に魅了されます。北極の大自然を舞台に、シンプルなタッチながらどのシーンをとってもまるで絵本を見ているように美しくダイナミックで、丁寧に描き込まれているのがわかります。
『ディリリとパリの時間旅行』の背景は、なんと実際のパリの写真が使用されています。絵葉書になりそうな風光明媚なパリの景観が数々の場面を彩ります。そこで動き回る3Dで作成された登場人物たち。リアルでいて異世界に迷い込んだかのような気分になる不思議なアニメーションです。
『羅小黒戦記』はウェブアニメからスタートした作品。ウェブ版の第1話は、5分間の映像を監督がたった1人で半年かけて作り上げたそう。劇場版も長尺アニメとしてはかなり小規模で作られた作品ながら、躍動感に溢れた迫力のアクションシーンに圧倒されます。それに加えて魅力的なキャラクターたち。アニメの良いところをぎゅぎゅっと詰め込んだような作品です。
物語に夢中になるのはもちろんですが、「このシーンはどうやって作ったんだろう?」なんて考えながら観ると、よりアニメーションの世界にハマってしまうはず。才能溢れる海外のクリエイターたちによるオリジナルな作品たちを、劇場の大きなスクリーンで存分にお楽しみください!
ディリリとパリの時間旅行
Dilili in Paris
■監督・脚本 ミッシェル・オスロ
■製作 クリストフ・ロシニョン/ フィリップ・ボエファール
■音楽 ガブリエル・ヤレド
■声の出演 プリュネル・シャルル=アンブロン/エンゾ・ラツィト/ナタリー・デセイ/ブルーノ・パヴィオ
■声の出演(日本語吹替版) 新津ちせ/斎藤工
■2018年アヌシー国際アニメーション映画祭オープニング作品/第44回セザール賞最優秀アニメ作品賞受賞
© 2018 NORD-OUEST FILMS – STUDIO O – ARTE FRANCE CINEMA – MARS FILMS – WILD BUNCH – MAC GUFF LIGNE – ARTEMIS PRODUCTIONS – SENATOR FILM PRODUKTION
【2020年6月13日から6月19日まで上映】
ひとりぼっちのディリリがパリで出会った、たからもの。
ベル・エポックの時代のパリ。 ディリリは、どうしても外国に行ってみたくて、ニューカレドニアから密かに船に乗りパリにやってきた。開催中の博覧会に出席し、偶然出会った配達人のオレルとパリで初めてのバカンスを楽しむ約束をする。その頃、街の人々の話題は少女の誘拐事件で持ちきりだった。男性支配団と名乗る謎の集団が犯人だという。ディリリはオレルの紹介でパリの有名人たちに出会い、男性支配団について次々に質問していく。
ある日、男性支配団の強盗計画を知った二人は、待ち伏せして阻止することに成功する。しかし、その顛末は新聞で大きく報じられ、一躍有名になったディリリは男性支配団の標的となり誘拐されてしまう…。
美しいベル・エポックのパリへ至福のタイムトリップ 『キリクと魔女』ミッシェル・オスロ監督待望の最新作!
フランスの鬼才ミッシェル・オスロ監督の最新作はパリへの想いに溢れた宝石箱のような作品。ニューカレドニアからやってきた主人公ディリリは、最初の友人オレルとともに、この時代を彩った多くの天才たちと出会い誘拐事件の謎を解いていく。エッフェル塔、オペラ座、ヴァンドーム広場など美しいパリがたっぷりと描かれ、キュリー夫人やピカソ、モネ、プルーストなどこの時代を彩った著名人たちが登場する。
オスロ監督は一貫して性別や肌の色、年齢、宗教などで人を区別せず、様々な人種が登場する映画を作り続けてきた。この作品では女性の台頭が目覚しかった時代にあって、それを快く思わない悪者に虐げられる女性たちを描く。「人口の半分のどちらかが、もう一方を踏みにじるのは閉じた社会だ」と監督はいう。世界中でテロが頻発し、人々を不安にさせる今という時代だからこそ、自由で平等な文化を生み出しそれを享受することの重要性をこの作品は強く訴えかける。
音楽は『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞最優秀作曲賞を受賞したガブリエル・ヤレドが担当。劇中で何度も歌われる「太陽と雨」を始め美しい旋律を生み出した。また、現代世界最高のオペラ歌手の一人ナタリー・デセイがオペラ歌手エマ・カルヴェの声を担当し、その歌声が映画の美しさをさらに高めている。
ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん
Long Way North
■監督 レミ・シャイエ
■脚本 クレール・パオレッティ/パトリシア・バレイクス
■作画監督 リアン – チョー・ハン
■音楽 ジョナサン・モラリ
■声の出演 クリスタ・テレ/フェオドール・アトキン
■声の出演(日本語吹替版) 上原あかり/弦徳
■2015年アヌシー国際アニメーション映画祭観客賞/2016年東京アニメアワードフェスティバルグランプリ・東京都知事賞
© 2015 SACREBLEU PRODUCTIONS / MAYBE MOVIES / 2 MINUTES / FRANCE 3 CINEMA / NORLUM.
【2020年6月13日から6月19日まで上映】
少女は北極点を目指す――お祖父様の名誉のために。
舞台は19世紀ロシア、サンクトペテルブルグ。14才の貴族の子女サーシャには悩みがあった。大好きな祖父が1年前に北極航路の探検に出たきり帰ってこないのだ。探索船は出たものの未だ行方が分からず、祖父と家族の名誉は失われ、祖父の名を冠する予定だった科学アカデミーの図書館も開館が危ぶまれている。
一族の名誉を守るため、ロシア高官の父はローマ大使に任命されることを願うが、そのためには社交界デビューのサーシャが、皇帝の甥トムスキー王子に気に入られるしかないと考えていた。しかし社交界デビューの日、サーシャは祖父の部屋から捜索船と異なる航路のメモを見つけ、再捜索を王子に懇願したことで不興を買ってしまう。父からも叱責を受けたサーシャは、自ら祖父の居場所を突き止めようと決意する。サーシャが目指すものは、祖父との再会、それが叶わなくとも遭難した艦船ダバイ号の発見、そして何よりも真実を突き止める為の旅だった・・・。
あえて輪郭線を排した、そのシンプルな画風に込められた圧倒的な表現力。アヌシー国際アニメーション映画祭観客賞受賞作!
アヌシー国際アニメーション映画祭で観客賞を受賞、TAAF(東京アニメアワードフェスティバル)2016では見事グランプリを受賞した本作。単純化された画風と、高度に構成された構図によって紡がれる物語は、日本アニメの黎明期の作品を彷彿とさせる。
監督は、トム・ムーア監督作『ブレンダとケルズの秘密』の助監督兼ストーリーボードを担当したレミ・シャイエ。本作が初の長編作品である。細部のリアルさに拘ることよりも人物の感情描写に注力するため、あえて輪郭線を消し、フラットなベタ塗りに仕上げた。配色のイメージは1940年代のアメリカの鉄道会社のポスターを参考にしているという。
2016年のTAAF上映会で応援スピーチに登壇したスタジオジブリの故・高畑勲監督は、本作の“単純さ”を高く評価し、日本公開を切望していた。
【特別レイトショー】羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)/THE LEGEND OF HEI
【Late Show】The Legend of Hei
■監督・脚本 MTJJ
■声の出演 山新/郝祥海/劉明月
©北京寒木春華動画技術有限会社
★こちらのレイトショーのご鑑賞料金はどなた様も一律1300円となります。
★チケットは、連日朝の開場時間より受付にて販売いたします(当日券のみ)。
【2020年6月13日から6月19日まで上映】
君と未来へ
妖精はただの伝説ものだと思われるが、本当はこの世界に実在するものだ。妖精はすべてが怖くて悪いものではない。人間の格好をして人間社会に溶け込むものもいれば、山の奥に隠して暮らすものもいる。猫の妖精・羅小黒(ロシャオヘイ)は、森で楽しい日々を過ごしていたが、人類の開拓により、森を追われ、あちこちを放浪し、暮らせる場所を探す旅に立った。
旅の途中で妖精と人間の仲間たちと出会う。そこで出会ったのは、同類のフーシーと人類のムゲン。小黒(シャオヘイ)は二人と一緒に、信頼・理解・責任を学んでいき、ムゲンと深い師弟関係を築いた。果たして小黒は、安心して暮らせる所を見つけられるのだろうか?
中国動画サイトで3億回再生を誇るアニメシリーズ待望の映画化!
監督は、オリジナル漫画のキャラクター「羅小黒(ロシャオヘイ)」の原作者であるMTJJ。2009年から漫画の連載が始まり、2011年より中国の動画サイトでウェブ版アニメ「羅小黒戦記」を放送開始。その後、人気が上昇し続け中国アニメを代表する作品にまで成長した。
劇場版『羅小黒戦記』はすでに中国で3億人民元(約45億円)以上の興行収入を記録。日本では昨年9月に都内わずか1館で限定上映され、チケットは連日完売。アニメ業界内での評価も高く、その人気は口コミで一気に広がり、上映館が日本各地に拡大し続けている。