【スタッフコラム】へんてこコレクション byすみちゃん | 早稲田松竹 official web site | 高田馬場の名画座

2026.02.19

【スタッフコラム】へんてこコレクション byすみちゃん

へんてこ映画探しにいそしんでいる今日この頃。きっとここでならへんてこ映画に出会えるに違いないと思い、1/15(木)~2/8(日)まで国立映画アーカイブで開催されていた「アンソロジー・フィルムアーカイブス――アメリカ実験映画の地平へ」という特集へ足しげく通っておりました。

アンソロジー・フィルムアーカイブスとは、NYにあるアメリカの映像作家たちが中心となって設立したインディペンデントな組織で、映画史において見落とされがちな個人映画や実験的な映像作品を軸に保存・研究・上映を行う、世界的に見ても非常にユニークなフィルムアーカイブのことです。当館でも上映した『ウォールデン』『リトアニアへの旅の追憶』の監督であるジョナス・メカスは、インディペンデント映画の重要性を誰よりも提唱し、作品の保存・研究・上映を恒常的に行うこのアーカイブスを設立した中心人物でもあります。彼の作品も大大大好きなのですが、こうした取り組みをしてくれたおかげでかけがえのない素晴らしい作品たちに出会うことができているので、メカスに、そして設立した仲間たちに感謝!

その中でも今回の特集で最もへんてこ心をくすぐったのは、クッチャー兄弟作品集です! 双子の兄弟であるマイク&ジョージ・クッチャーは1960年代初頭、アンディ・ウォーホルらと並び、ニューヨークのアンダーグラウンド映画シーンを形作り、「8ミリのモーツァルト」なんて呼ばれていたとか。非常にユーモラスで人間味のある彼らの作品は、ジョン・ウォーターズなど多くの映画監督に影響を与えています。そんな2人がそれぞれに監督した3作品をご紹介したいと思います。

ジョージ・クッチャー監督作『裸のまま抱きしめて』(15分)は、ジョージが映画内で映画監督役をしているのですが、主演女優に愛想をつかされるというお話です。ジョージは自分の欲求が満たされないことにイライラしながらも、最後なぜか超ポジティブ発言で終わり、自己肯定感の高さに思わず感動してしまいます。こういう映画って内省的になってしまうものですが、違うんですよね! 彼のもう一つの監督作『私、女優』(10分)は、サンフランシスコ美術学院の講師時代に作られた短編で、俳優志望の女子学生のスクリーンテストを捉えた作品です。ジョージの全力演出があまりにも面白すぎて映画館内で笑いが起きていました。真剣な真っすぐさがへんてこになってしまう、愛すべき監督です! 

そしてマイク・クッチャー監督作『フレッシュアポイドの罪』(45分)は、核戦争から100万年後の未来という設定で、フレッシュアポイドと呼ばれるアンドロイドが怠惰な人間に抵抗するお話です。人間の住む部屋の美術はチープながらも手作り感があって微笑ましく、布や光を使うことで何とかSF世界を描こうとしています。また、未来的なお城を表現するのに、イラストで描かれた背景とお城の前に本物の草木を置いて撮影することで、平面なのにどこか奥行きを感じさせる工夫もありました。手作りへんてこ感満載の愛すべきSF世界となっています。

なかなか観る機会の少ないクッチャー兄弟の作品ではありますが、2人の作品は合わせるとなんと400作品以上(!?)あるようです。多すぎ! 特に見てみたいのが、ジョージの天気日記シリーズ。コロナ禍でデヴィッド・リンチ監督がYoutubeでただLAの天気を淡々と述べるだけの天気報告を行っていたのですが、もしかしてこの作品と何か繋がりがあるのではないか!? なんて勝手に考えたりしております(多分関係ない)。クッチャー兄弟のHPがあるので、気になる方は是非見てみてください☆(クッチャー兄弟のHP:https://www.kucharbrothers.org/

以前、このへんてこコラムでは、ブハーロフ兄弟(実際は兄弟ではないらしいけれど)を紹介しましたが、シネマトグラフを発明したリュミエール兄弟や、コーエン兄弟、ダルデンヌ兄弟などなど…一体なぜ兄弟で映画を作る人たちがこんなにもいるのでしょうか? これももしかしたらへんてこ現象なのかもしれません…。

(すみちゃん)