2025.11.06
【スタッフコラム】この推しスター! byパズー

今月の推し「サイモン・レックス」
先週まで当館で上映していた『レッド・ロケット』(21)、ご覧になられた方もいらっしゃるでしょうか。『アノーラ』で時の人となったショーン・ベイカー監督の前作ですが、個人的にはベイカーの作品で最もお気に入りの1作です。そこで今回の推しは、『レッド・ロケット』の超ナルシスティックで自己中な主人公・マイキーを演じたサイモン・レックスをご紹介いたします。
ベイカーの映画に出てくるキャラクターはお世辞にも「素晴らしい人間」とは言えない人物ばかりですが、その中でもマイキーは群を抜いて「ゲス野郎」でした。そんな最低な主人公を最高に演じきったサイモン・レックスは、当時すでに40代後半。それまで正直彼のことを知らなかったので、誰だこの面白い俳優は?!と驚きました。
実はキャリアは長く、10代でモデルデビュー後、MTVのビデオジョッキーを経て俳優デビュー。2000年代初期はいくつかのシットコムや人気ホラー映画「絶叫計画」シリーズに出演しイケメン俳優としてしっかりブレイクしていました。ところが、デビュー前に数本のゲイポルノに出演していたことがスクープされ、いわゆる“干され状態”に。そう、『レッド・ロケット』の内容を知っている方はお気づきかもしれません、マイキーも元ポルノ俳優という設定なのです。そのうえで役をオファーしたベイカーも、引き受けたサイモン・レックスもNICEですね。
また、実は2005年頃から「ダート・ナスティ」(“ヤベェクズ”みたいな最低なスラング(笑))名義でラッパーとしてデビューしています。俳優の仕事がなくなっていた時期でしたが、意外な才能を発揮し数枚のアルバムをリリース、なんとレッド・ホット・チリ・ペッパー
ズのヨーロッパツアーの前座を務めたこともあるそうです。しかし名前の通りしょうもないキャラクターを作りあげていただけに、徐々に行き詰まりを感じていた頃、『レッド・ロケット』のオファーがあったというわけです。
さてさて、衝撃の俳優復帰を果たした彼は一転して出演オファーがひっきりなし状態になっております! 日本公開作だとまだ『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』くらいですが、面白いインディーズ作品で役柄も変わり者が多く、ブレイクした頃よりもずっと味のある俳優になった感じがします(知らんけど)。
過去には元祖お騒がせセレブのパリス・ヒルトンとの交際報道があったり、LAの自宅のほかにモハーヴェ砂漠の真ん中の電気が通っていないコンテナハウスを所有して二拠点生活を送っていたりと、なかなかクセ強おじさんなのは間違いありません。山あり谷ありの人生で、人間味とユーモア増し増しになったサイモン・レックスという逸材、これからもスクリーンで会えるのが楽しみですね♪
(パズー)










