【スタッフコラム】踊りとえいがと byクララ | 早稲田松竹 official web site | 高田馬場の名画座

2026.03.26

【スタッフコラム】踊りとえいがと byクララ

「アワオドーリどこへゆく」

はじめまして、新人スタッフのクララです。

このコラムでは、映画と踊り(パフォーマンス)の話ができたらと思います。というのも私は、昔から身体を使って何かを表現することに興味があります。幼少期は、忌野清志郎のマントパフォーマンスを見ながら家で水泳用のタオル(マントのような形状のもの)で真似して踊っていました。

しかしそんな私にとっては、幼い時からやりたいけどできない踊りがありました。それが「阿波踊り」です。地元が高円寺なので何度も観る機会があったのですが、何度観ても「商店街の奥へと消えていく踊りの列がどこへいくのだろうか」と、踊りたい気持ちと消えた踊り手への恐怖心がありました。その結果、子供の頃から知っていながら、参加できないまま大人になってしまい、もはや積極的にやりたい気持ちも薄れていました。そんな「阿波踊り」なのですが、友人に誘われ、去年の夏に飛び入りで踊る機会がありました。そこでは、今までに囲まれたことのない大人数の声によって幼い時に抱いていた不安がかき消されるほどの興奮状態になり、無我夢中に身体を動かしていました。

三月の初めに『トゥギャザー』(2025)というホラー映画を観た時には、別の興奮状態になりました。倦怠期の男女が迷い込んだ洞窟で飲んだ水をきっかけに、二人の肉体がくっついてしまう話なのですが、男女が踊るシーンが特に印象に残っています。くっつき続ける身体に対抗する方法は、どちらかが死ぬしかないと気づいた二人は、「死」ではなく「くっつく」ことを選びます。出会いのきっかけとなったレコードの曲とともに踊る二人の身体は、徐々にめり込んでいきます。めりこんでいく気持ち悪さとともに、愛ゆえの踊りの結晶が一つの彫刻的なものとして表出されます。この映画の踊りの完成形は、ラストでさらなる形で登場するので、ぜひ見届けてみて欲しいです。私自身、怖さと気持ち悪さが影響したのか、作品の上映が終わると自分の左足が左に曲がっていて、しばらくかばいながら帰るほどでした。

映画を観た後、身体へもろに異変をきたすことがこれまでなかったのですが、自分にとっての映画は、そんな不思議な体験をどこかでさせてくれる存在です。また、映画館では、スマホのような手のひらに収まる画面では感じられない他人の息遣いや音響が、ある種の身体性を帯びて感じられる時があります。そう考えると、一緒の劇場にいる人それぞれが今しか感じられない素敵な時間を共有しているのかもしれません。これからも身体で感じたいろんな出来事についてコラムを書いていきます。よろしくおねがいします!

(クララ)