【スタッフコラム】へんてこコレクション byすみちゃん | 早稲田松竹 official web site | 高田馬場の名画座

2025.09.18

【スタッフコラム】へんてこコレクション byすみちゃん

先日、思わぬ買い物をしてしまいました。なんと、隕石を購入したのです。隕石って買えるの? と疑問に思う方がいらっしゃるかと思うのですが、買えるんです。買えてしまうのです!

新宿御苑へ植物を見に行き、休憩がてら喫茶店を探していたら、「宇宙村」という謎の店舗を発見しました。看板には、「古美術・骨董・仏像・願いが叶う隕石」と書かれてあります(願いが叶う…?)。へんてこ好きとしては、入る以外に選択肢はありませんね。いざ店内に入ると、看板通りにさまざまな骨董品が置いてあるのですが、巨大な隕石がお店の奥にあり、そして入り口近くには販売用の隕石が沢山並べてありました。早速お店の方に「初めてですか?」と声を掛けられ、「これがイミラックって言う隕石で…」と解説が始まり、なにやら聞いたことのない単語がたくさん出てきます。説明中に、人の顔ぐらいの大きさの隕石を持たせてもらったのですが、あまりの重さにびっくり! しかも「これで数億するんですよ~」などと言われて、ひえええええ~と思わず叫んでしまいました(数億円がいまここにあるですって…!?)。隕石はただ重いだけではなく、地球には存在しない鉱物が含まれており、その不思議な力に魅了され、パワーストーンのように購入している人たちがいるようです。

最近、わたくしはスピリチュアルな世界に興味津々でして、人生で初めて購入するパワーストーンが隕石だというのもなかなか乙だなと思い、お手頃価格の“カンポ・デル・シエロ”と言う名前のちいさな隕石を購入することにしました。これは、アルゼンチンのチャコ州で発見された鉄隕石で、1576年にスペイン総監が現地の住人から「空からたくさんの鉄が落ちてきた」という伝説を聞いて調査隊を派遣し、発見したとされています。

購入したからには隕石についてもっと知ろうではないか!と思い、ドイツのヴェルナー・ヘルツォーク監督による『ファイヤーボール:宇宙からの来訪者』というドキュメンタリーを鑑賞することにしました。映画では世界中で隕石が落ちていることが語られ、隕石が落ちたところを神聖な場所として考えて大切にしている人たちがいたり、宇宙の塵である流星塵(りゅうせいじん)を磁石で集めて顕微鏡で観察するジャズミュージシャンがいたりと、さまざまな人たちが登場します。隕石を身近なものとして捉えている人がこんなにもいることに驚きました。そして、隕石について語る人々はみな顔が生き生きとしているではありませんか! 

なるほど! 隕石の魅力はパワーだけではないのです。実物をカットした面を顕微鏡で見たときの、光を反射しキラキラと見える美しさには驚かされますし、未知なる成分が見つかるなど新たな発見をさせてくれ(どうやら糖やたんぱく質を作るものが発見されているのだとか)、わたしたち人間が生まれる何億年も前から存在するものへの敬意の念や、地球に落ちたことにより語り継がれる物語など、隕石にまつわる文化がこの地球に定着し、長い年月、人間が魅了されていることを知ることができました。

勢いで買った隕石ですが、こんなにも好奇心がそそられるとは思いませんでした。隕石は、地球で生きているという意識よりももっともっと大きく、わたしは宇宙の一部なんだ! と思わせてくれます。ちなみに映画内で紹介されているカール・セーガン説によると、わたしたちの身体はすべて隕石の小片で構成されているのだとか(もしかして、わたしって隕石なの!?)。なんて、まぁ飛躍しすぎたかもしれませんが、日常でひょいっと飛躍できるだなんて最高ではありませんか。隕石の魅力に早速わたしもハマってしまいそうです。

(すみちゃん)