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今週の早稲田松竹は『淵に立つ』と『怒り』の二本立て。

第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に初ノミネートで審査員賞を受賞した『淵に立つ』。
『悪人』から6年、吉田修一と李相日監督が再びタッグを組み、日本人の心の闇に挑む『怒り』。
この2つの物語はどちらも素性のはっきりとしない男を人々が招き入れるところから始まります。

世界的なテロの脅威の時代、外国人労働者や移民が流入するグローバリズムの時代、
2000年代頃に「キレる17歳」という言葉が流行したように、
理解できない動機で人が事件を犯す恐怖から、他者への不信感が露わになった時代。
他者を「招き入れる」ということはどういうことなのでしょうか。

「不信のとき ―他者を招き入れること―」と題してお届けします。 line

怒り
(2016年 日本 142分 DCP PG12 シネスコ)
pic 2017年4月1日から4月7日まで上映 ■監督・脚本 李相日
■原作 吉田修一「怒り」(中央公論新社刊)
■撮影 笠松則通
■編集 今井剛
■音楽 坂本龍一
■主題歌 坂本龍一 feat. 2CELLOS

■出演 渡辺謙/森山未來/松山ケンイチ/綾野剛/広瀬すず/佐久本宝/ピエール瀧/三浦貴大/高畑充希//原日出子/池脇千鶴/宮アあおい/妻夫木聡

■第40回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞(妻夫木聡)

©2016映画「怒り」製作委員会

愛した人は、殺人犯だったのか?
それでも、あなたを信じたい。

ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。 窓は閉め切られ、蒸し風呂状態の現場には、『怒』の血文字が残されていた。 犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず。

事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた――。

原作:吉田修一×監督・脚本:李相日
日本映画賞を総なめにした『悪人』タッグが再び!
豪華出演陣で贈る感動のヒューマンミステリー

人間の善悪に深く切り込んだ究極の人間ドラマ『悪人』から6年。原作:吉田修一×監督・脚本:李相日のタッグに音楽:坂本龍一が加わり挑む意欲作は、「怒り」。愛した人は、殺人犯なのか? 家族や友人、ときに愛する人でさえ、簡単に疑ってしまう不信の時代に、本作は“信じる”とは? という根源的な問いかけを、一つの殺人事件をきっかけに投げかける感動のヒューマンミステリーである。

「物語の登場人物には、映画『オーシャンズ11』のようなオールスターキャストを配してほしい。」映画化にあたり原作者・吉田修一からの要望の一つだった。これに応えるかのようにまさに夢のような7人の豪華俳優陣が集結した。主演は渡辺謙。米ハリウッドでの活躍はもちろんのこと、 昨年は「王様と私」でブロードウェイ・ミュージカルにも初挑戦し、世界から喝采を浴びる彼が本作では一転、千葉の漁村で娘と暮らすしがない父親を演じる。この他、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮アあおい、妻夫木聡といった人気・実力ともにトップクラスの俳優陣が魅せる迫真の演技は、重厚な人間ドラマを紡ぎ出す。

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淵に立つ
(2016年 日本/フランス 119分 DCP ビスタ) pic 2017年4月1日から4月7日まで上映 ■監督・脚本・編集 深田晃司
■小説 深田晃司「淵に立つ」(ポプラ社刊)
■撮影 根岸憲一
■音楽 小野川浩幸
■主題歌 HARUHI

■出演 浅野忠信/筒井真理子/古舘寛治/太賀/三浦貴大/篠川桃音/真広佳奈

■第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞

©2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMAS

あの男が現れるまで、私たちは家族だった

pic 郊外で小さな工場を営む夫婦とその一人娘。ある日、夫の旧い知人で前科を持つ男がやって来て、奇妙な共同生活が始まるが、やがて、男は残酷な爪痕を残して姿を消す。それから8年。夫婦は皮肉なめぐり合わせにより、男の消息の手がかりをつかむ。だが救いのように見えたそれは、夫婦にとって互いの心の奥底を覗き込む行為に他ならなかった…。

カンヌ映画祭、初ノミネートで初受賞の快挙! 
崩壊した家族に、光は射すのか――
圧倒的な人間描写で【家族】を問い直す

pic『歓待』、『ほとりの朔子』、平田オリザの戯曲映画化『さようなら』など、一作ごとに人間ドラマに新たな地平を切り拓き、30代の若さで世界の映画シーンにその名を刻み続ける深田晃司の最新作『淵に立つ』。昨年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、初参加ながら見事審査員賞に輝いた。

怪しくも魅力的な佇まいで家族を翻弄する男を演じるのは『私の男』『岸辺の旅』やマーティン・スコセッシ監督『沈黙』などに出演し、国際的に活躍する浅野忠信。夫婦役には、古館寛治が寡黙さの内に覚悟を秘めた夫役で新境地を見せ、筒井真理子が妻の心身の変化を凄まじいまでの説得力で体現する。

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