「悪人と善人」
この二種類は多くの映画を支える大切なキャラクタ―です。
しかし、実生活の中での私たちは両方の性質をもって人生を生きていると思います。
皆さんは、この二つの善悪で悩んだことや考えたことはあるでしょうか?
この「悪人と善人」というテーマに鋭い切り口で挑む二本の作品「悪人」と「ヒーローショー」が今回の二本立てです。
極限の状態、環境に置かれたときに滲みだしてくる人間の本質。その本質を受け入れられずに反抗し、生まれる葛藤。
さらに追い打ちをかけるように、周りの人間から自身の本質を肯定されたり否定され縛られていく心。
こんな息苦しい状態の中で新しいものを見つけて前に進まなければならない。
二本の作品では登場人物たちのうねるような心の動きがしっかりと見えてきます。
是非、早稲田松竹で体感してみてはいかがでしょうか。
(まつげ)
ヒーローショー
(2010年 日本 134分 シネスコ/SRD)
2011年4月2日から4月8日まで上映
■監督・脚本 井筒和幸
■脚本 吉田康弘/羽原大介
■撮影 木村信也
■音楽 藤野浩一
■出演 後藤淳平(ジャルジャル)/福徳秀介(ジャルジャル)/ちすん
何事も中途半端な日々を送る気弱なユウキ(福徳秀介)が新たに始めたアルバイトは、コドモ向けの戦隊ヒーローショーの悪役だった。ある日、バイト仲間のノボルが、ユウキの先輩である剛志の彼女と寝たことがバレ、ショーの最中に彼らはリアルな殴り合いを繰り広げる。ボコボコにされた剛志はユウキを含め悪友・鬼丸に頼んでノボルらをゆすろうとするが、ノボルたちも自衛隊上がりの勇気(後藤淳平)を引き入れ報復にでる。次第に彼らの暴走はエスカレートし、ついには決定的な犯罪が起きてしまう中、同じ「ゆうき」という名前の2人にはいつしか奇妙な友情が生まれ…。
『パッチギ!』『ゲロッパ』などの大ヒット作を生み出し、その愛のある毒舌と強烈なキャラクターでお茶の間の人気も高い井筒和幸監督。常に革新を求め続ける監督が自ら「とことんまでやりきった」と語る通り、あますところなく暴力性を描いた本作は堂々のR-15指定!
主役の2人の“ゆうき”には、人気急上昇のお笑いコンビ、ジャルジャルの後藤淳平と福徳秀介が抜擢。『ガキ帝国』の島田紳助、『岸和田少年愚連隊』のナインティナイン、『パッチギ!』の沢尻エリカなど、フレッシュなキャストを見出す手腕に定評がある井筒監督をして、「いまどきの俳優より圧倒的に上手い!」と言わしめた恐るべき才能に注目!
悪人
(2010年 日本 139分 ビスタ/SRD)
2011年4月2日から4月8日まで上映
■監督・脚本 李相日
■原作・脚本 吉田修一
■撮影 笠松則通
■音楽 久石譲
■出演 妻夫木聡/深津絵里/岡田将生/満島ひかり/柄本明/樹木希林
■日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(妻夫木聡)/最優秀主演女優賞(深津絵里)/最優秀助演男優賞(柄本明)/最優秀助演女優賞(樹木希林)/最優秀音楽賞(久石譲)/モントリオール世界映画祭最優秀女優賞/報知映画賞作品賞・主演女優賞/日刊スポーツ映画大賞作品賞・主演男優賞・主演女優賞/毎日映画コンクール日本映画大賞
土木作業員の清水祐一は、恋人も友人もなく、祖父母の面倒をみながら暮らしていた。馬込光代は、妹と2人で暮らすアパートと職場の往復だけの退屈な毎日を送っていた。孤独な魂を抱えた2人は偶然出会い、刹那的な愛にその身を焦がす。しかし、祐一は連日ニュースを賑わせていた殺人事件の犯人だった――。
光代はそんな祐一の自首を引き止め、祐一と共に絶望的な逃避行へと向かう。やがてその逃避行の波紋は被害者の家族、加害者の家族の人生をも飲み込んでいく。なぜ祐一は人を殺したのか? なぜ光代は殺人者を愛したのか? 引き裂かれた家族の運命はどうなるのか? そして、いったい誰が本当の“悪人”なのか?
芥川賞作家・吉田修一の最高傑作「悪人」は、毎日出版文化賞、大佛次郎賞をダブル受賞したベストセラー傑作。悪意にまみれたこの現代の中で、ひとは何にすがって生きれば良いのか…。この究極のヒューマンドラマに胸を打たれた日本を代表する10人の映画監督が映画化を熱望し、20社以上に亘る映画化権争奪戦となった。
監督の座は務めたのは『フラガール』で日本アカデミー賞最優秀作品賞など各賞を総ナメにした李相日。また、原作者である吉田修一自身が、李監督と共に初めて脚本を手掛け、音楽には、巨匠・久石譲が参加。主演は『ジョゼと虎と魚たち』大河ドラマ「天地人」などに主演し今や国民的俳優となった妻夫木聡。ヒロイン役に、年齢・性別を超えた人気を誇る演技派女優の深津絵里。その他、岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林といった実力派豪華キャストが集結している。