是枝監督からのメッセージ 直筆原稿文へ

是枝裕和監督特集に寄せて、監督から早稲田松竹宛に
直筆メッセージが届きました(是枝監督ありがとうございます!)。
2006年9/23(土)〜9/29(金)まで、早稲田松竹では最新作の『花よりもなほ』と、
お客様からのリクエストでいつも上位にあがる『誰も知らない』を二本立で上映いたします。
ステキに読みやすく意外とかわいらしい文字の是枝監督の手書きメッセージは、こちらからどうぞ。

混み合った山手線に揺られ、高田馬場の駅で降りる。今ならまだ出席票だけは提出できるか…。そう思いながらどうしても目の前のバスに乗る気がしない。古本屋をニ、三軒ひやかして、結局は映画館へ…。そんな、十代のぜいたくな、忘れられない時間。

当時はACTミニシアターをはじめ、駅前のビルに東映パラス、反対側にパール座があって、これに真打ちの早稲田松竹を加えた映画街を、僕は大学の教室を移動するように歩き回っていたわけです。そんな青春の場所で、今回僕の近作『誰も知らない』と『花よりもなほ』を上映していただけるとのこと。本当に感慨深いです。映画は映画館で出会うものだという実感は当時も今も変わりません。その出会いの場を今も提供し続けてくれる早稲田松竹さんに心からのエールを送ります。そして、この劇場に足を運んでいただいた映画ファンのみなさん。ありがとうございます。楽しんでください。

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是枝裕和(これえだ ひろかず) 映画監督

pic 1962年東京生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出、現在に至る。1995年、初監督した映画『幻の光』が第52回ヴェネツィア国際映画祭で金のオゼッラ賞等を受賞。2作目の『ワンダフルライフ』(99)は、各国で高い評価を受け、世界30ヶ国、全米200館での公開と、日本のインディペンデント映画としては異例のヒットとなった。2001年にはカルト教団による殺人事件をモチーフに、加害者遺族の「その後の生」を描いた野心作『ディスタンス』を発表。2004年、監督第4作目の『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭にて映画祭史上最年少の最優秀男優賞(柳楽優弥)を受賞、国内外で大きな話題を呼んだ。


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