ムーラン・ルージュ
MOULIN ROUGE!
(2001年 アメリカ 128分)
2005年9月3日から9月9日まで上映
■監督・脚本・製作 バズ・ラーマン(『ロミオ&ジュリエット』)
■脚本 クレイグ・ピアース(『ロミオ&ジュリエット』)
■歌 デヴィッド・ボウイ
■出演 ニコール・キッドマン(『めぐりあう時間たち』)/ユアン・マクレガー(『ビッグ・フィッシュ』)/ジョン・レグイザモ(『サマー・オブ・サム』)/ジム・ブロードベント/リチャード・ロクスバーグ
■2001年アカデミー賞2部門受賞(美術賞・衣装デザイン賞)・6部門ノミネート(作品・主演女優ほか)/カンヌ国際映画祭パルムドールノミネート
■オフィシャルサイト http://www.foxjapan.com/movies/moulinrouge/
How wonderful life is Now you’re in the world!
バズ・ラーマンがまたやってくれた。煌びやかな装飾、躍動感あふれるダンス、随所にちりばめられた笑いと、メロドラマの王道を行く悲恋。そして、赤・赤・赤。
1900年のパリ。屋根裏部屋でタイプライターに向かう一人の青年・クリスチャン。悲痛な面持ちでキーを叩く。「これは僕が心から愛した女の物語だ」。
1年前、ボヘミアンに憧れ、放浪のはてにパリにたどりついたクリスチャンの部屋に、天井を突き破って一人の男が落ちてくる。気を失ったアルゼンチン人!?階上ではロートレック(そうあの、ロートレック!!)達がクラブ『ムーラン・ルージュ』にかける為の新しいショーのリハーサルをしており、落ちてきたアルゼンチン人は、その仲間だった。
あれよあれよというまにクリクチャンは階上に。そしてリハーサルに参加する。行き詰ったロートレック達の前でクリスチャンが歌いだすのは、
♪The hills are alive with the sound of music〜♪
??????
sound of music?
そう。サウンド・オブ・ミュージック。才能を見込まれたクリクチャンはロートレック達のショーを書くことになる。「愛は酸素と同じ」と語るクリスチャン、これぞ100%ボヘミアン。一味はムーラン・ルージュのオーナー、ジドラーに会うために店内へ。
資金繰りの為に公爵に近づこうとするジドラー。クラブの一番人気、本物の女優を夢見る高級娼婦のサティーン。サティーンを自分の物にしようとする公爵。それぞれの思惑が、劇的な出会いを演出し、そして悲恋の幕を引く。
冒頭のサウンド・オブ・ミュージックの引用や、ユアン・マクレガーが切なく歌うエルトン・ジョンの『ユア・ソング』。マドンナの『ライク・ア・バージン』をむさくるしい男が軽やかに歌い踊るかと思えば、ポリスの『ロクサーン』はラテン調にアレンジされ情熱と悲壮のコントラストを浮き立たせる。ニルバーナの『スメルズ・ライク・ア・ティーン・スピリット』さえバズ・ラーマンの手にかかれば饗宴へのアペリティフだ。
主演二人が吹き替えなしに歌い、踊り、オリジナル曲は王道を行く重厚な出来で、派手な物語をきっちりと引き締める。それにしても、物語にあふれる赤。赤。赤。ビロード、サテン、電飾、ハート。しかし何にも勝るのはニコール・キッドマンとユアン・マクレガーの頬にさす幸福の赤である。
...I'm not one of those who can easily hide...
(Sicky)
オペラ座の怪人
THE PHANTOM OF THE OPERA
(2004年 アメリカ/イギリス 143分)
2005年9月3日から9月9日まで上映
■監督・脚本 ジョエル・シュマッカー(『依頼人』『評決のとき』)
■製作・音楽・脚本 アンドリュー・ロイド=ウェバー
■原作 ガストン・ルルー
■出演 ジェラルド・バトラー/エミー・ロッサム/パトリック・ウィルソン/ミニー・ドライヴァー/ミランダ・リチャードソン
■2004年アカデミー賞3部門ノミネート(撮影賞/歌曲賞/美術賞)
(C)GAGA-HUMAX廃墟となった劇場で静かにおこなわれているオークション。かつての栄華を偲ぶ品々。謎の惨劇に関わったとされるシャンデリアが紹介され、そのベールが取り払われた時、悲劇の幕開けとなった時代へとさかのぼってゆく――。
1870年代、パリのオペラ座では“ファントム”(オペラ座の怪人)の仕業とされる謎の事件が続いていた。そんな中、バレエダンサーのクリスティーヌは、リハーサル中の事故で降板したプリマドンナの代役を務めることとなった。初主演のステージで喝采を浴びた彼女は、幼馴染みのラウルと再会する。だが、その喜びも束の間、仮面をかぶった謎の怪人・ファントムにオペラ座の地下深くへと連れ去られてしまう。
ファントムを亡き父が授けてくれた“音楽の天使”だと信じているクリスティーヌ。しかし、仮面をはぎ、その正体を知った時、そこに隠されていた憎しみと哀しみを垣間見る。
印象深い音楽が耳の奥に残っている。きっと誰もが一度は聞いたことがあるのではないだろうか。それもそのはず。音楽を手がけたのは、ミュージカル『キャッツ』『エビータ』などの作曲家としても有名なアンドリュー・ロイド=ウェバーである。
1986年にロンドンで初演された、舞台『オペラ座の怪人』。20年近い時を経ての映画化となった。しかし、映画であるからといってミュージカル=音楽という底の部分を変えてしまっているわけではない。
主演3人は吹替えなし、その歌唱力で、豊かで深い感情を表現している。今まで舞台を観にいったことのない方でも、映画としてなら違和感なく、この世界観を感じ取れるのではないだろうか。また、舞台を以前ご覧になられた方は、映画と舞台との違いを比較してみるのも楽しいのではないかと思う。
(ロバ)