リトル・ダンサー
BILLY ELLIOT
(2000年 イギリス 111分)
2005年3月5日から3月11日まで上映
■監督 スティーヴン・ダルドリー(『めぐりあう時間たち』)
■脚本 リー・ホール
■出演 ジェイミー・ベル/ジュリー・ウォルターズ/ゲアリー・ルイス/ジェイミー・ドレイヴン/ジーン・ヘイウッド
■特別出演 アダム・クーパー
■2000年アカデミー賞監督賞・脚本賞・助演女優賞ノミネート
(C)日本ヘラルド映画男の子が、バレエ・ダンサーになりたいなんて!と炭坑ストライキで、失業中のパパは猛反対した。パパは11歳のビリーにボクシングやフットボールで強い男になってほしかった。
1984年。イングラド北部、炭坑町に住む少年ビリーは、去年の暮れにママを亡くしたばかり。パパと兄のトニーは炭坑労働者で、今はストライキ中のため生活は苦しい。その上おばあちゃんは物忘れがひどくなり、目を離すとすぐに迷子になってしまう。ビリーは強い男になるため、ボクシング教室に通っているが、試合には負けてばかりいた。
そんなある日、ビリーは、ボクシングの練習に通っている地元のホールで、ウィルキンソン夫人のバレエ教室を偶然目にする。ひょんなことから、バレエのレッスンに飛び入り参加することになったビリーは、ダンスの魅力に強く惹かれ、パパには内緒でボクシングの代わりに、バレエを習い始めた。女の子に混じって練習をするのは恥ずかしかったが、お風呂に入るときも、学校へ行くときも、もっと上手に踊りたいと、練習を重ねていった。
そんなビリーの、ぎこちない動きの中にもダンサーとしての天性の素質があると見抜いたウィルキンソン先生は、熱心に彼を教え、彼のひたむきさを見て、バレエ教師としての情熱を取り戻してゆく。しかし、家族の大事なお金を、バレエに使っていたことを知ったパパは激怒。バレエ教室に通うことを禁じられてしまうビリーだったが、ダンスへの気持ちを抑えられない彼は、パパに理解されない悔しさを込めて、ひとり踊り続けていた。見かねたウィルキンソン先生は、ロンドンの名門、ロイヤル・バレエ学校のオーディションを受けさせようと、無料で個人レッスンを始めるが…。
ウィルキンソン先生役のジュリー・ウォルターズは、主人公ビリーについてこう語っている。「彼は男の世界で生まれ育ったから、急いで大人にならなくてはいけない。彼がダンスを必要としている理由はそこにあるの。ダンスはすべてから解き放ってくれる─怒りや悲しみを表す声なのよ。」
主人公ビリー役には2000人を超えるオーディションから、13歳のジェイミー・ベルが選ばれた。6歳からダンスを習っていたジェイミーも、ビリーと同様にクラスメイトには内緒でダンスを習い続けていたという。
(ロバ)
バレエ・カンパニー
THE COMPANY
(2003年 アメリカ/ドイツ 112分)
2005年3月5日から3月11日まで上映
■監督・製作 ロバート・アルトマン
■製作・原案・出演 ネーヴ・キャンベル
■原案・脚本 バーバラ・ターナー
■出演 マルコム・マクダウェル/ジェームズ・フランコ/バーバラ・ロバートソン/スージー・キューザック/ウィリアム・ディック/マリリン・ドッズ・フランク
(C)2003 THE COMPANY PRODUCTIONS AG&CO.KG (C)2003 SONY PICTURES ENTERTAINMENT INC.『ナッシュビル』(75)ではカントリー&ウェスタン界、『ザ・プレイヤー』(92)ではハリウッド映画界、そして『プレタポルテ』(94)ではファッション界と、様々な業界の光と影をフィルムに焼き付けてきた巨匠ロバート・アルトマン監督。彼の新たな題材は“バレエ”だった。
躍動感溢れる華麗なるステージ、ダンサーたちの素顔、そして繊細で表情豊かな肉体が奏でる究極の美〈バレエ〉を追求する人々がアルトマンの創作意欲を大いに刺激し、今までにないバレエ映画を完成させた。
公私にわたってのパートナーに裏切られたダンサー。他のダンサーの家に居候し、キッチンに寝袋で転がる新人。資金難に頭を抱える芸術監督等、『バレエ・カンパニー』に関わる全ての人間が、公演を成功させるために日々格闘する。その姿を、ひとりに焦点を絞るのではなく、所謂“アルトマン風群像劇”としてとらえていく。
主演は、本作の企画を自ら製作会社へ持ち込んだネーヴ・キャンベル。かつてバレエ・ダンサーとして活躍したネーヴは、全てのダンスシーンを代役なしで踊りこなしたという。撮影前に厳しいレッスンを受け、カンパニーの一員らしく見えるように体を作ったという彼女のダンスは、何の予備知識も持たずに観ると、本物のバレエダンサーと信じて疑えないほど本格的である。
そして影の主役とでもいうべきなのが、ネーヴ・キャンベル以外の全てのバレエダンサーとして出演した、「ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ」の現役メンバー。ラー・ルボヴィッチ、ロベール・デロジエ等の国際的な振付家も出演し、アルトマンの手腕とあいまって、臨場感あふれるドキュメンタリー感覚の作劇が展開されている。
又、「アルトマンに出演をオファーされたら、断る役者はいない」といわれる程、俳優から絶大なる信頼を得ているアルトマンらしく、『時計じかけのオレンジ』のマルコム・マクダウェルや、『スパイダーマン』シリーズで今最も旬な俳優ジェームズ・フランコ等、脇役陣の顔ぶれも豪華である。
『バレエ・カンパニー』…泣いても笑っても、舞台に立つことがすべて。本作はおよそ半世紀、映画作家として飽くなき挑戦を続けてきた“異端児ロバート・アルトマン”の芸術論とアイデンティティの結晶である。
(マコト)