【2022/9/10(土)~9/16(金)】『洲崎パラダイス 赤信号』『わが町』『青べか物語』『貸間あり』+イベント上映『幕末太陽傳』

洲崎パラダイス 赤信号
Suzaki Paradise: Red Light District

川島雄三監督作品/1956年/日本/81分/35㎜/スタンダード/MONO

■監督 川島雄三
■原作 芝木好子(講談社「州崎パラダイス」より)
■脚本 井手俊郎/寺田信義
■撮影 高村倉太郎
■編集 中村正
■音楽 真鍋理一郎
■助監督 今村昌平

■出演 新珠三千代/轟夕起子/河津清三郎/三橋達也/芦川いづみ/牧真介/桂典子/田中筆子/植村謙二郎/冬木京三/小沢昭一

©日活

【2022年9月10日から9月13日まで上映】

切っても切れない男と女のくされ縁。

両親に結婚を反対されたため、連れ立って栃木から上京した義治と蔦枝は、どこへ行くアテもなく夕暮の浅草吾妻橋附近を歩いていた。以前廓にいた好みで洲崎遊廓へ入り込んだ蔦枝は、一杯のみ屋“千草”の女将お徳に二人の職探しを頼み、蔦枝はお徳の店で働くことになる。義治の方も、千草に近いソバ屋で働くことになるが覇気のない彼は失敗続き。だが女店員の玉子はいつも義治をかばってくれた。ある日、蔦枝は田舎へ送金したいからと義治に給料前借を頼むが、返事に渋る彼を歯がゆがり、千草の馴染客落合に頼み込む。当にしていた以上の融通を受けて落合に惚れ込んだ蔦枝は行方不明になった義治のことも意に介せず、落合の探してくれたアパートに引越すが…。

川島映画の一つの到達点であるのみならず、日本のメロドラマ映画史上に燦然と輝く傑作。芝木好子の小説を原作に、歓楽街"洲崎パラダイス"に流れ着いた男女の離れるに離れられない関係が、歓楽街へ出入りする人物たちとの関わりの中で詩情豊かに描かれる。50年代半ばの社会風俗を背景に、登場人物たちの感情の機微を見事に捉えた無駄のない演出に加え、腐れ縁の男女を演じた三橋達也と新珠三千代が素晴らしい演技を見せている。(第12回フィルメックス特集ページより抜粋)

わが町
Our Town

川島雄三監督作品/1956年/日本/98分/Blu-ray/スタンダード

■監督 川島雄三
■原作 織田作之助
■脚本 八住利雄
■撮影 高村倉太郎
■音楽 真鍋理一郎
■助監督 松尾昭典/今村昌平

■出演 辰巳柳太郎/南田洋子/高友子/三橋達也/大坂志郎/北林谷栄/殿山泰司/小沢昭一/大倉万智子

©日活

【2022年9月10日から9月13日まで上映】

泣いて笑って意気で生きぬく男一匹!!

明治の末、フィリピンのベンゲット道路開拓現場で働いていた、血気盛んな一本気の若者“ベンゲットのたぁやん”こと佐度島他吉が、生まれ故郷の大阪天王寺の裏長屋に、人力車と風呂敷包み一つで戻って来た。出航前夜、情を交したお鶴が、四つになる初枝を抱え苦労していると聞いた他吉は、お鶴に代って夜店を手伝うことに。やがてお鶴は急病で倒れ息を引取る。二十年後、梶捧一筋に他吉の丹精の甲斐あり、初枝も立派に成長し若者新太郎と結婚。だが、新婚早々新居が出火し焼け出され…。

「夫婦善哉」の作者織田作之助不朽の名作の映画化。明治末、フィリピンでどしょっ骨を鍛えた男“ベンゲットのたぁやん”が、人力車の梶棒を握り、娘と孫娘を意地と正義の一徹さで育てあげた涙の男一代記。東京の撮影所オープンセットに大阪の長屋を再現し、織田作品の世界観を忠実に作り上げている。主演は“たぁやん”こと佐渡島他吉を辰巳柳太郎。その妻と孫娘の一人二役を南田洋子が演じている。

青べか物語
The Tale of the Blue Beka Boat

川島雄三監督/1962年/日本/101分/35mm/シネスコ/MONO

■監督 川島雄三
■原作 山本周五郎
■脚本 新藤兼人
■撮影 岡崎宏三
■音楽 池野成

■出演 森繁久弥/池内淳子/左幸子/乙羽信子/山茶花究/園井啓介/東野英治郎/フランキー堺

© TOHO CO., LTD.

【2022年9月14日から9月16日まで上映】

青べかとは浮世に漂う青い舟…

東京と川を挟んだ場所にある浦粕。そこへ「先生」と呼ばれる三文文士が住み着くことになった。小さな漁村だが刺激に満ちているため、小説のネタになりそうだと踏んだのだ。小料理屋の澄川には威勢の良い女たちが働いている。向かいの雑貨店の息子・五郎は妻に逃げられ「不能」と噂されている。その他にも芳爺、わに久、勘六夫婦など、個性的な人々が暮らしていた。人間観察は楽しいものの、煩わしい人間関係をさけるため、先生は売りつけられた青べか舟で釣りに出かけていた。しかし澄川で働くおせいに惚れられたことから、先生は思わぬトラブルに巻き込まれていくのだった。

山本周五郎の同名小説を映画化した群像ドラマ。都会の生活に疲れ、とある漁師町に住みついた小説家と、人間的であり過ぎる地元の人々との交流を軽妙なタッチで描いた風俗喜劇。脚本は新藤兼人が担当。森繁久彌、池内淳子らが共演。

貸間あり
A Room for Rent

川島雄三監督/1959年/日本/112分/35mm/シネスコ/MONO

■監督 川島雄三
■原作 井伏鱒二
■脚本 川島雄三/藤本義一
■撮影 岡崎宏三
■編集 庵原周一
■音楽 真鍋理一郎
■助監督 辻村光慶

■出演 フランキー堺/淡島千景/乙羽信子/浪花千栄子/清川虹子/桂小金治/山茶花究/藤木悠/小沢昭一

©1959 東宝

【2022年9月14日から9月16日まで上映】

四畳半一間、貸間あり――

アパートの2階に住む与田五郎は4ヵ国語に堪能で、小説、論文、翻訳などの代作を中心によろず引き受け業を営んでいた。そこへ、学生の江藤が受験の身代わりを申し込んできた。ついでに、1つ空いているアパートの空き室を借りようとするが、そこは一足先に陶芸一筋の三十娘、ユミ子が借りることに…。

大阪は通天閣近辺の風変わりなアパートを舞台に、ひと癖もふた癖もある住人たちの自由奔放な人間模様が描かれる。井伏鱒二の同名原作を川島雄三と藤本義一が大胆にアレンジし、喜劇映画の鬼才と称される川島雄三ならではの、おもしろ哀しさが十二分に発揮された代表作。監督の座右の銘ともいえる「花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラだけが人生だ」が劇中でも使用され、深く鋭い人間洞察に溢れた作品。

【イベント上映】「名画座噺 立川談笑」映画『幕末太陽傳 デジタル修復版』上映+落語『居残り佐平次』上演
【Special screening】 Meiga-za Banashi

<開催日時>
2022年9月10日(土)

<タイムテーブル>
17:30 開場
18:00(~終映19:50) 映画『幕末太陽傳』上映
休憩 25分
20:15(~終演21:05予定) 落語『居残り佐平次』(立川談笑)

<チケット>
料金 3,000円 
○全席指定
○当劇場受付窓口のみにて販売
(販売開始:7/30(土)10:00~)※チケットは完売いたしました。何卒ご了承ください。
○お電話での予約は受け付けておりません。
○座席の変更はできません。
○イベントの中止・延期の場合を除き、払い戻しはできません。
○チケットの再発行はできません。無くさずにお持ちください。
○定員に達し次第販売終了となります。前日までに売り切れた場合は、当日の販売はございませんのでご注意ください。
○新型コロナウイルス感染拡大防止のため、チケットご購入の際、お客様の氏名・連絡先等を確認させていただきます。

☆そのほかイベント内容の詳細はこちらのページをご覧ください。

「映画」+「落語」の二本立て!名画座噺のはじまりはじまり~。

早稲田松竹では開館70周年特別企画として、川島雄三監督作『幕末太陽傳』上映と立川談笑『居残り佐平次』落語公演のコラボレーション二本立て特別興行を行います。

鬼才・川島雄三監督の代表作『幕末太陽傳』は『居残り佐平次』を中心に、『品川心中』『三枚起請』『お見立て』などの古典落語を題材に取り、実在した品川の遊郭・相模屋を舞台に起こる様々な人間模様を軽妙なタッチで描いた名作です。今回は立川流四天王の1人と称される立川談笑師匠をお招きして、題材になった古典落語の中から『居残り佐平次』を演じて頂きます。映画鑑賞からいわば原案の落語鑑賞へとつながる未体験の面白さを是非この機会に。今宵、名画座・早稲田松竹が寄席へと変わる。「名画座噺(ばなし)」のはじまりはじまり~。

<立川談笑 プロフィール>

1965年東京都江東区出まれ。早稲田大学法学部卒業後、93年に立川談志に入門、談生を名乗る。96年、二つ目昇進。2003年に六代目立川談笑を襲名。2005年に真打昇進。古典落語を度肝を抜く視点で解体、再構築した改作落語や、奇想天外な新作落語で頭角を現し人気を得る。平成26年度彩の国落語大賞受賞。出囃子は「佃」「野球拳」

映画『幕末太陽傳 デジタル修復版』

1957年/日本/110分/DCP/スタンダード
■監督 川島雄三
■脚本 川島雄三/田中啓一/今村昌平
■撮影 高村倉太郎
■出演 フランキー堺/左幸子/南田洋子/石原裕次郎/芦川いづみ/市村俊幸/金子信雄/山岡久乃/梅野泰清/織田政雄/岡田眞澄

時は幕末、文久2(1862)年。東海道品川宿の相模屋という遊郭へわらじを脱いだ佐平次は、勘定を気にする仲間を尻目に、呑めや歌えの大尽騒ぎを始める。しかしこの男、なんと懐には、一銭も持ち合わせていなかった…。居残りと称して、相模屋に居ついてしまった佐平次は、持ち前の機転で女郎や客たちのトラブルを次々と解決していく。遊郭に出入りする攘夷派の高杉晋作らとも交友を紡ぎ、乱世を軽やかに渡り歩くのだった。

『洲崎パラダイス 赤信号』や『しとやかな獣』など人間の性をシニカルかつ客観的に描き、全51作品を世に送り出し、45歳という若さでこの世を去った川島雄三監督。その中で、川島雄三代表作との呼び声も高いのが『幕末太陽傳』である。古典落語 「居残り佐平次」をベースに、「品川心中」などの噺を随所に挿入し、幕末の騒乱の中を軽快に泳ぐ自由人・佐平次をテンポ良く描いている。50年代のオールスター・キャストが織り成す、笑いあり涙ありの江戸の“粋”なこころに、生きることの喜びを感じられる傑作時代劇が、日活創立100周年を記念して、デジタル修復版として生まれ変わった。

©日活