【2022/7/9(土)~7/15(金)】『THE BATMAN-ザ・バットマン-』『ジョーカー』

まつげ

子どもの頃にかじりつくように見ていた子供向けヒーローモノには、いつだってキラキラした正義のヒーローがいて、闇に生きる敵のヴィランがいました。

その頃の記憶を振り返ると、暗黒の騎士“バットマン”はそれらとは毛色が異なり、揺れ動く自分自身の心の葛藤に苦しむ姿が、子供心に強く刻まれています。また、ジョーカーの強烈な狂気や真黒なバットスーツやバットモービルのビジュアルも大好きでした。(私が初めてバットマンに出会ったのは1989製作・ティムバートン監督『バットマン』でした。)

バットマンはディテクティブ・コミックス(DCコミックス)で1939年に登場して以来80年間、悪と戦う姿がその時々の時代に合わせた形でコミックスや映像で作品が作られています。そして、今週の早稲田松竹はバットマン10年ぶりの単体主役映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』と、バットマンの最大のライバル・ジョーカーの誕生に焦点をあてた『ジョーカー』の二本立てです。どちらの作品も新たなバットマンとジョーカーの像を生み出しています。

この二本立て、正直に言ってかなりヘヴィーで心をざわつかせます。

私たちが今生きる現実世界は、貧富の差・多様性・権力の腐敗・医療のひっ迫など沢山の問題を抱えています。もしもこのまま悪い方向に行ってしまえば、両作品が描くゴッサム・シティが、私たちの住む街になってしまうのではないかと思うほど現代的な物語で描かれています。

そして、数々の名優たちが挑んだブルース・ウェイン/バットマンとアーサー・フレック/ジョーカーですが、今作のロバート・パティンソンとホアキン・フェニックスの熱演は必見です。あんな腐敗した世界でこのような人生を歩んだら、観ている自分も同じように苦しんでしまうのではないかと考えてしまうのです。時には、スクリーンから目を背けたいと思う生々しさがあります。

バットマンもジョーカーも元々は心優しい人間です。ブルースはどのようにしてバットマンになったのか。アーサーはどうしてジョーカーになってしまったのか。もしかしたらバットマンはジョーカーになったかもしれない、あるいはジョーカーはバットマンになれたかもと考えてしまうのです。

今週の二本立て、どうぞ心してご覧ください。

ジョーカー
Joker

トッド・フィリップス監督作品/2019年/アメリカ/122分/DCP/R15+/ビスタ

■監督 トッド・フィリップス
■脚本 トッド・フィリップス/スコット・シルヴァー
■製作 トッド・フィリップス/ブラッドリー・クーパー/エマ・ティリンジャー・コスコフ
■製作総指揮 マイケル・E・ウスラン/ウォルター・ハマダ/アーロン・L・ギルバート/ジョセフ・ガーナー/リチャード・バラッタ/ブルース・バーマン
■撮影 ローレンス・シャー
■編集 ジェフ・グロス
■音楽 ヒドゥル・グドナドッティル

■出演 ホアキン・フェニックス/ロバート・デ・ニーロ/ザジー・ビーツ/フランセス・コンロイ/ビル・キャンプ/シェー・ウィガム/ブレット・カレン/グレン・フレシュラー/リー・ギル

■第92回アカデミー賞主演男優賞・作曲賞受賞/
第77回 ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞・最優秀作曲賞受賞/第76回 ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞 ほか多数受賞・ノミネート

©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM &©DC Comics

【2022年7月9日から7月15日まで上映】

本当の悪は笑顔の中にある

「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、どん底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気あふれる<悪のカリスマ>ジョーカーに変貌したのか?

最も強く、最も残酷なヴィラン、ジョーカーの誕生を描く衝撃作!

DC作品内において最も有名なヴィランと言えば"バットマン"のライバル、"ジョーカー"。本作はジョーカー誕生の理由に焦点を当てた完全オリジナルストーリー。監督は『ハングオーバー!』シリーズのトッド・フィリップス。弱者に無関心な社会に見捨てられた男の内面を描きだす。第76回ヴェネツィア国際映画祭でアメコミ作品史上初の金獅子賞(最高賞)を受賞する快挙を成し遂げた。

ヒース・レジャー、ジャック・ニコルソン、ジャレット・レト、これまで歴代アカデミー賞俳優が演じてきた悪のカリスマ――"ジョーカー”役に挑戦したのは『ドント・ウォーリー』『インヒアレント・ヴァイス』のホアキン・フェニックス。本作では見事、アカデミー賞主演男優賞を受賞した。共演は『キング・オブ・コメディ』『タクシードライバー』の名優ロバート・デ・ニーロ。『デッドプール2』『ルーシー・イン・ザ・スカイ』のザジー・ビーツ、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『メイド・イン・マンハッタン』のフランセス・コンロイらが名を連ねる。

THE BATMAN-ザ・バットマン-
The Batman

マット・リーヴス監督作品/2022年/アメリカ/176分/DCP/シネスコ

■監督 マット・リーヴス
■脚本 マット・リーヴス/ピーター・クレイグ
■製作 ディラン・クラーク/マット・リーヴス
■製作総指揮 マイケル・E・ウスラン/ウォルター・ハマダ/シャンタル・ノン・ヴォ/サイモン・エマニュエル
■撮影 グレイグ・フレイザー 
■編集 ウィリアム・ホイ/タイラー・ネルソン
■音楽 マイケル・ジアッキノ

■出演 ロバート・パティンソン/ゾーイ・クラヴィッツ/ポール・ダノ/コリン・ファレル/ジェフリー・ライト/ジョン・タトゥーロ/ピーター・サースガード/アンディ・サーキス

©2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC

【2022年7月9日から7月15日まで上映】

マスクに隠された「嘘」を暴け。

優しくもミステリアスな青年ブルース。両親殺害の復讐を誓い、悪と敵対する存在”バットマン”になって2年が過ぎた。ある日、権力者を標的とした連続殺人事件が発生。犯人を名乗るリドラーは、犯行の際に必ず“なぞなぞ”を残していく。警察や世界一の名探偵でもあるブルースを挑発する史上最狂の知能犯リドラーが残した最後のメッセージは――「次の犠牲者はバットマン」。

狂気と感情が爆発する謎解きサスペンス・アクション! DCのダークヒーロー バットマンの新たな物語が幕を開ける!

クリストファー・ノーラン監督が手掛けた『ダークナイト』トリロジーなどで知られるDCの人気キャラクターのバットマンを主役に描くサスペンスアクション。青年ブルース・ウェインがバットマンになろうとしていく姿と、社会に蔓延する嘘を暴いていく知能犯リドラーによってブルースの人間としての本性がむき出しにされていく様を描く。

『TENET テネット』のロバート・パティンソンが新たにブルース・ウェイン/バットマンを演じ、キャット・ウーマン役にゾーイ・クラヴィッツ、リドラー役にポール・ダノ、ペンギン役にコリン・ファレルなど、豪華キャストが集結。メガホンをとるのは『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』『モールス』などのマット・リーヴス監督。「これまでのバットマンの中でも最もエモーショナルになる」と語るリーヴス監督が最大スケールのアクションと最高危険度の謎解きゲームで世界の嘘をあぶりだす。