【2022/6/25(土)~7/1(金)】『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』

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すみちゃん

今週は、ジャック・ドゥミ監督作品の~上映ですよ~♪と思わず歌いたくなるような、色鮮やかな世界で人々を魅了するミュージカル映画です♪

ジャック・ドゥミ監督はフランスのナントという港町に生まれ育ちました。小さい頃から人形劇に夢中になり、段ボールで人形を作っては1コマ1コマ撮影してアニメを作っていました。わたしが『シェルブールの雨傘』を初めて観た時に驚き、そして感動した、最初のセリフからすべて歌うところは、歌うことが好きなドゥミの母親の影響があり、彼にとって歌やお芝居は身近な存在だったのです。悲しいことも嬉しいことも、歌いながら生活できたらどんなに良いだろうかと常に思っている私にとって、まさに憧れる世界をドゥミは作ってくれました。

一方で、彼の映画には現実的な描写も多くあります。『シェルブールの雨傘』では冒頭から1957年11月という具体的な年代と月が表示され、アルジェリア戦争が激化していった時代のフランスを描き、『ロシュフォールの恋人たち』では、軍港として栄えた街でもあるロシュフォールを舞台に、戦車や兵隊が行進をしているシーンが何度も登場するなど、華やかなダンスや音楽とともに、常に戦争の影が潜んでいるのです。それは、彼の生まれ育ったナントでも第二次世界大戦の影響が及び、空襲が激しかった日々を過ごした、ドゥミの体験が反映されています。

それだけではありません。『シェルブールの雨傘』では、フランスで結婚をしていない女性が男性との子供を身ごもることが許されなかった時代、カトリーヌ・ドヌーヴ演じる傘屋の少女ジュヌヴィエーヴが、戦争で引き離された恋人のギイとの子供を身ごもる葛藤が描かれています。また、『ロシュフォールの恋人たち』ではカトリーヌ・ドヌーヴと本当の姉妹であるフランソワーズ・ドルレアックが双子役で登場し、その双子であるソランジュとデルフィーヌが「私たちは双子座の下に生まれた双子の姉妹。父親は誰だかわからないけど、ママが一人で育ててくれた」と歌うなど、女性が一人で子どもを産み、育てて生きることが困難だったフランス社会にも目を向けています。

『ジャック・ドゥミの少年期』を監督した、ドゥミの妻であるアニエス・ヴァルダは、「私が未婚の母であったことが、彼の作品の人物像に影響を与えているのではないかと思う」とも語っていて(Taboulay1996:23)、ドゥミの映画は、彼の人生そのものであり、喜びも悲しみも、そして関わってきた人々のこともすべて映画に詰め込まれているようです。だからこそ、彼の映画は少年の時のときめきや、きらめきとともに、とても現実的で、困難な日々を生きている私たちにも響くのだろうと思います。

さぁ、ドゥミの映画を観た後は、みなさんカラフルな服装をして、踊って歌いましょう!明日も仕事だし上手くいかないこともたくさんあるし、世界の戦争はなくなりはしないけれど、誰かが歌い始めたら、みんなでその歌声に耳を傾け、嬉しいことがあったらお互いに喜びあい、街中の人々が踊る。そんな世界で生きていけたら、素敵だなぁ、そうなったらいいのになぁ♪と思います。

ロシュフォールの恋人たち
The Young Girls of Rochefort

開映時間 12:40 / 17:15
ジャック・ドゥミ監督作品/1966年/フランス/127分/DCP/シネスコ

■監督・脚本・作詞 ジャック・ドゥミ
■音楽・作曲 ミシェル・ルグラン
■製作 マグ・ボダール
■撮影 ギスラン・クロケ
■美術 ベルナール・エヴァン
■衣装 ジャクリーヌ・モロー/マリー・クロード・フーケ
■振付 ノーマン・ミーン

■出演 フランソワーズ・ドルレアック/カトリーヌ・ドヌーヴ/ジーン・ケリー/ジョージ・チャキリス/ダニエル・ダリュー/ジャック・ペラン/ミシェル・ピコリ/グローヴァー・デイル

■1968年米アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞ノミネート

ã Ciné-Tamaris 1996

【2022年6月25日から7月1日まで上映】

恋は、歌って踊ってつかむもの!

軍港の町ロシュフォールにめぐってきたお祭りの季節。旅芸人のエチエンヌとビルのコンビが到着しショウの準備を始めた。美しい双子の姉妹ソランジュとデルフィーヌも、新しい恋の予感を感じ思わず歌い出す。作曲家の卵の姉とダンサー志望の妹は、パリに出て実力を試したいと考えていた。駐屯している水兵マクサンス、彼が訪ねたカフェのマダムで姉妹の母であるイヴォンヌ、彼女のかつての恋人シモン・ダム、その友達の著名な作曲家アンディ。 町中が沸き立つ週末の3日間に、彼等の出会いが交錯しては新たな恋が生まれ、かつての恋が再燃する――。

色彩とサウンドに酔いしれる最高にHAPPYな人生賛歌

全世界を感動の涙で濡らした『シェルブールの傘』から3年、“オールスター・キャストによる本格ミュージカル”を目指して製作されたのが本作『ロシュフォールの恋人たち』。高額な予算にも関わらず、前作の大成功によりクレーンを縦横無尽に使うダイナミックな撮影ができる港町ロシュフォールを見つけ、ドゥミが思い描いていた映画創りが可能になった。

主役の双子の姉妹役は、カトリーヌ・ドヌーヴと同じく新進スターだったフランソワーズ・ドルレアックという実際の姉妹が演じ、息の合った共演ぶりをみせた。また、ミュージカルの本場アメリカから大スター『雨に唄えば』のジーン・ケリーと、『ウエスト・サイド物語』で人気絶頂のジョージ・チャキリスを招聘。その他『ニュー・シネマ・パラダイス』のジャック・ペラン、ドヌーヴとともに『8人の女たち』に出演した戦前からの大女優ダニエル・ダリュー、当時から名脇役として大活躍だったミシェル・ピコリら豪華出演者が揃った。

シェルブールの雨傘
The Umbrellas of Cherbourg

開映時間 10:40 / 15:15 / 19:50(~終映21:25)
ジャック・ドゥミ作品/1963年/フランス/91分/DCP/ビスタ

■監督・脚本・作詞 ジャック・ドゥミ
■音楽・作曲 ミシェル・ルグラン
■製作 マグ・ボダール
■撮影 ジャン・ラビエ
■美術 ベルナール・エヴァン
■衣装 ジャクリーヌ・モロー
■編集 アンヌ=マリー・トコレ

■出演 カトリーヌ・ドヌーヴ/ニーノ・カステルヌオーヴォ/マルク・ミシェル/アンヌ・ヴェルノン/エレン・ファルナー/ミレイユ・ペレー

■1964年カンヌ国際映画祭グランプリ・国際カトリック映画事務局賞・フランス映画高等技術委員会賞受賞/1963年ル・デリュック賞受賞/1964年米アカデミー賞外国映画賞ノミネート

ã Ciné-Tamaris 1993

【2022年6月25日から7月1日まで上映】

恋は、儚く褪せてしまうもの?

港町シェルブールで、ささやかだけど美しい恋を育むふたり――自動車修理工のギイと傘屋の少女ジュヌヴィエーヴ。しかしアルジェリア戦争の影は、ふたりに着々と近づいていた。ギイに届いた徴集礼状。彼の不在はジュヌヴィエーヴにとってしだいに耐え難いものになってゆく。だが、彼女はギイとの子供をお腹に宿していた。
そんな折、ギイの出兵前から店の窮地を助けてきた宝石商のカサールが、ジュヌヴィエーヴの妊娠も意に介せず求婚してきて…。

美しくも切ないラストに涙する不朽の名作

〈フレンチミュージカルの名匠〉ジャック・ドゥミ監督と〈マエストロ〉ミシェル・ルグラン、〈フランス映画界の至宝〉カトリーヌ・ドヌーヴ、ゴールデントリオと謳われるコラボレーションで贈る記念すべき第1作目。製作当時の政治的背景を物語に盛り込みつつ、市井の人々の現実の生活を描きながら、台詞は全て歌にするという斬新なスタイルで、1964年のカンヌ国際映画祭でグランプリ(現在のパルムドール)を受賞した傑作ミュージカル。

ドゥミ監督はまだ無名時代のカトリーヌ・ドヌーヴを見て、本作の主演にと心に決め、『ローラ』のプレミアに招待し直接交渉した。ドヌーヴは、ドゥミ監督に抜擢され本作に出演したことが女優として目覚めるきっかけになったと現在でも公言している。ミシェル・ルグランのスコアは傑作揃いだが、中でも本作から生まれた「I Will Wait For You」や「Watch What Happens」は多くのアーティストにカヴァーされ、スタンダードとなった。