2025.02.13
【スタッフコラム】馬場・オブ・ザ・デッド by牛
昨年の夏頃からふと思い立ち、登山をはじめました。近場の高尾山から挑戦してすっかりハマってしまい、大体月1ペースでどこかしらの山に登っています。今まで趣味という趣味がなかった人間なので、毎回新しい発見があり楽しいのですが、山に行けば行くほど、登山ってなんてクレイジーなんだ…とも思います。というのも、いくら低山でも常に滑落、遭難の危険があり、熊と遭遇する可能性だってあるからです。命を懸けてまでやることなのか? という気持ちもありつつ、それでも登頂した時の感動と達成感を味わいたくて、次はどこの山に行こうかなんて考えてしまうのですよね…。
さて、そんな登山初心者の私が今気になっているのは山映画です。たくさんの危険が潜む山は恐怖映画の題材にもってこいなのでは? ということで、「山ってコワイ!」。登山のお供におすすめな作品をご紹介します。
まず、森谷司郎監督『八甲田山』(1977)は実際に起きた雪山遭難を描いた作品です。日本陸軍による雪山訓練への参加者210名中199名が死亡するという類を見ない規模の痛ましい山岳事故なのですが、映画で描かれるのは雪山で遭難することの過酷さと、いかにして彼らが遭難したのかということ。一言で言ってしまえば、「雪山を舐めていたから」なのですが、「まあ大丈夫だろう」というような甘い考えは痛いほど分かるし、果たして自分だったらこの状況で何ができるか…ということを考え落ち込んでしまいました。CGのない時代、実際の雪山で撮影された映像は迫力満点で観ているこちらも凍えてしまいそうになるほど。特に印象に残っているシーンといえば中盤、猛烈な吹雪の中を彷徨った挙句、寒さと疲労で突然発狂する隊員が続出するシーン。「絶対に雪山になんか行かない」…。心の底からそう思わされる名作です。
近藤亮太監督の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(2025)はつい先日鑑賞した激コワ山映画です。過去に山で失踪し、いまだ行方不明の弟を持つ主人公・敬太。ある日、敬太の元に不気味なビデオテープが送られてきて…というこちらは正真正銘のホラー作品です。送られてきたビデオテープには、弟が山中の廃墟で失踪する瞬間が映し出されるのですが、粗い映像が不気味で非常にコワイ。のちに、弟失踪の真相を突き止めるために現場となった山に足を踏み入れることになるのですが、この山がどうやらいわくつきのようなのです。作中では「摩白山」という架空の山として描かれていましたが、実際にどこかにあるんだろうな…と思わされる妙なリアリティにゾクっとしてしまいました。どんどんこの山の謎が明かされていく中で、自分が今度行く山が「摩白山」のように何かがおかしい山だったらどうしよう…と嫌でも想像してしまうのです。
みなさまも、山へ行く際はくれぐれも下調べや装備に不備が無いよう、そして何かがおかしいなと思ったときに引き返す勇気を持てるように、山コワ映画から学んでみてはいかがでしょうか。
(牛)