2025.02.06

【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田

二十四節気:立春(りっしゅん)、初候:東風解凍(はるかぜこおりをとく)

暦の上では立春を過ぎましたが、まだまだ寒いですね。折しもこの冬一番の大寒波がやってきている最中で、列島に大雪を降らせる“最強&最長寒波”と驚くような見出しのニュースを目にします。「警戒して損なし」という雰囲気で、いつからか自然災害に備えるためのこうした大見出しを読むことが多くなったような気がしますが、東京では雪が降る知らせはあったものの、このまま雪も積もることなく春を迎えることになるのでしょうか。

「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」は暖かい春風が川や湖の氷を解かし始める頃のこと言います。二十四節気の始まりである「立春」、そして72候の第一候なので一年の始まりでもあります。約ひと月遅れの旧暦では、立春の近くに元日(旧正月)がめぐってきますが必ずしも立春=旧正月にならないのは、二十四節気は太陽の動き、元日は月の動きで決められているからです。ただ何十年かに一度、立春が「朔(新月)」と重なり、旧暦1月1日になる年があります。これを「朔旦立春 (さくたんりっしゅん)」または「立春正月」といい大変めでたい日とされてきたそうです。ちなみに前回は1992年、次回は2038年だそう。まだまだ先ですね。

菅原道真が詠んだ有名な短歌に「東風(こち)吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」とありますが、東風(こち)とは春風のこと。菅原道真が京都から左遷されて大宰府に移るときに幼少の頃から親しんだ梅の木に「春になり東風が吹いたら、香りを風に乗せて送って欲しい、自分がいなくなっても春を忘れるな」と詠んだ翌日には、この梅の一枝が主人を慕って大宰府まで飛び、そのまま根をおろしたのだとか。現在は十五代目の木が「飛梅」と呼ばれ毎年花を咲かせているそうです。太宰府天満宮と言えば、ちょうど先日文化庁から日本で初めて「日本遺産」認定を取り消されたというニュースを聞いて驚きました。福岡県と佐賀県の文化財で構成される「古代日本の『西の都』」。日本遺産というよりは、観光資源としての取り組みが足りないと評価されたようですが地元民としては大ショック。「令和」の元号発祥の地(※1)だと盛り上がっていたのに、1300年前の古代国際都市も現代のオーバーツーリズムにはついていけないのでしょうか。幼い頃から慣れ親しんで思い出いっぱいの太宰府天満宮、このままずっと元気に栄えていて欲しいものですが。

※1…出典:福岡県太宰府市公式ホームページ「新元号「令和」発祥の都 太宰府市」より
「令和」の典拠は、1200年余り前に編纂された日本最古の歌集『万葉集』に収められた「梅花の歌三十二首 序文」にある、「初春の令月にして(しょしゅんのれいげつにして)、気淑く風和ぎ(きよくかぜやわらぎ)、梅は鏡前の粉を披き(うめはきょうぜんのこをひらき)、蘭は珮後の香を薫ず(らんは はいごのこうをくんず)。」の文言を引用したもので、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められた元号となっています。

(上田)