2025.01.23
【スタッフコラム】へんてこコレクション byすみちゃん
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1/25(土)から「ファンタジック・ゴシック・ホラーの館~みんな好きだったマリオ・バーヴァ~」という特集が早稲田松竹で始まります! ティム・バートン監督の最新作である『ビートルジュース ビートルジュース』と一緒に観るとより楽しめる旧作との上映になっていて、ワクワクが止まりません! その中でも『ドラキュラ』と『血ぬられた墓標』は、どちらも吸血鬼が出てくる作品で、コウモリや十字架、間取りが謎で不気味なお城が出てくるなど共通点も多いです。
吸血鬼たちはこの世に怨念や心残りがあり、なおかつ復讐を果たすためには生き血が必要になるので、必ず犠牲者が出てしまうところも物悲しいですね。そうした不遇の運命にある吸血鬼にみな心のどこかで惹かれ、これまでに吸血鬼を題材とする映画はたくさん作られています。吸血鬼映画というのは一大ジャンルにもなっていて、IMDb(映画のデータベース)で調べると、なんと約700以上もの長編映画が世界で作られているようです。
わたしも吸血鬼に魅了され、ここ最近連続して吸血鬼映画を観ております。その中でも特にへんてこな映画『エル・サント対吸血鬼女』(1962)と出会ったのです! 1950年代以降、メキシコ映画の一大ジャンルとなった「ルチャ・リブレ(プロレス)」ものの一本で、当時メキシコで大人気だったプロレスラー、エル・サントが、曲者たちと戦う映画が何本も作られました。『エル・サント対吸血鬼女』では、エル・サントは吸血鬼女に狙われてしまったある女性を守らなければいけないのに、襲われそうな時間にはプロレスの試合で助けに行けないという事態が勃発! 敵の都合に合わせない、自分の仕事を優先する新しいヒーローであることに驚きました。しかも狙われた女性の父親も警察も、それは仕方ないという雰囲気で、娘の命が狙われているのにいいの!? と思わずにはいられません。また、吸血鬼との対決よりももしかしたらプロレスの試合のほうが長いのではないかと思えるくらい、エル・サントのプロレス試合のシーンが長く、ここだけドキュメンタリー性も強いので、吸血鬼というゴシックホラーの世界と現実的なプロレスラーの世界が交わるようで交わらない世界線が観られるのが、まさにへんてこ映画だなと思います。
エル・サントは他にも、ゾンビや狼女、火星人となかなかの曲者たちと戦っていて、どの対戦も気になるところです。ちなみに、『エル・サント対吸血鬼女』は国立映画アーカイブでの「メキシコ映画の大回顧」という特集で上映があります! 映画館で観られる貴重な機会ですね。また、ゾンビとの戦いを繰り広げているであろう『サントVSゾンビ』はアマゾンプライムでも観ることができるので、気になった方は是非チェックしてみて下さい。そして、早稲田松竹のファンタジック・ゴシック・ホラー特集にもぜひいらしてくださいね!
(すみちゃん)
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