2024.09.12
【スタッフコラム】日々是好日(ときどき鉱石) byちゅんこ
日本では生産者が少なく、「幻の桃」とも呼ばれる「蟠桃(ばんとう)」。平たくつぶれたようなかたちをした桃は、その見た目から平桃(ぴんたお)や座禅桃とも呼ばれています。中国では古くから、桃は神聖な食べ物として言い伝えられてきました。『三国志演義』、『水滸伝』、『金瓶梅』と並んで、中国四大奇書のひとつとして数えられる『西遊記』の中でも、西王母の誕生を祝う蟠桃会(ばんとうえ)で、孫悟空は九千年に一度実ると言われる蟠桃を盗み食いしてしまい、不老長寿になったというエピソードがあります。
日本ではほとんど栽培されていない蟠桃、当然スーパーなどで見かけることもなく、どうやら一年の間でもほんの短い期間だけ、通販などで予約販売をしているようです。調べてみると、日本の繊細な桃とは異なり、果肉はしっかりとしていてもっちり感があり、甘味酸味のバランスがよく美味。品種によってはアーモンドの風味を感じ、ライチやマンゴスチンに似た深みのあるエキゾチックな味わいを感じられるとあります。桃なのに、ライチやマンゴスチンに似た味わい? しかもアーモンドの風味って? と頭の中は疑問符でいっぱい。希少性からか値段もそこそこして、私にとってはちょっと勇気がいる買い物です。どうしようか迷っているうちにいつの間にか完売…。いつか食べてみたいと思いながら数年が経過していたのですが、今年の夏、ついに「幻の桃」蟠桃を買いました!
私が今回購入してみたのは、「黄蟠桃」と呼ばれる黄色い桃です。段ボールの中に平たい桃が8玉並び、触ってみるとやや固い印象です。正直、食べるにはまだ早い気もするのですが、せっかく届いたので食べたいという思いと、ちょうどいい固さがわからないので、待っているうちに熟しすぎたらどうしようという言い訳が勝り、さっそく冷蔵庫で冷やして食べてみました。初めて食べた蟠桃は、思ったよりも固く甘味が少なくて、楽しみにしていただけショックも大きいです。やっぱりまだ熟していなかったかと、私の蟠桃との初めての出会いはトホホ…の苦い思い出に終わりました(後日、食べごろを迎えた蟠桃はしっかり甘くておいしかったです)。いまはまだなかなか食べる機会が少ない蟠桃ですが、いつかもう少し気軽に食べられるようになればいいなと思うのでした。
(ちゅんこ)