2020.04.01

【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

『ライオン・キング』の「The Lion Sleeps Tonight(ライオンは寝ている)」

ジョン・ファヴローが監督した最新作、実写版『ライオン・キング』。フルCGで作成された本物のようにみえる動物たちが、大自然の中で一喜一憂しながら物語は進みます。音楽はもちろんお馴染みのものが使われていたのですが、私が実写版の中で心奪われたのは、イボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンが歌う「The Lion Sleeps Tonight」のシーンです。ジャングルを闊歩するプンバァが、ドッタドッタという足音と、低い声で同じフレーズ(Wimowehといっているらしい)を繰り返すことでリズムを刻み、彼の上に乗るティモンが高い声でメロディを歌うというシンプルな構成から始まります。それが次第に森の動物たちが集まり始めそれぞれの音を鳴らし、歩調を合わせ参加してくるのです。プンバァの声を演じているセス・ローゲンが途中フレーズを歌うのに引っ掛かり半笑いになってしまうところや、曲が盛り上がってきたところでライオンに襲われるという終わり方も含め、音楽の原初的なものを感じ、とても素敵だなと思いました。

さて歌詞を確認してみると、そのまんま「ジャングルでライオンが寝ている」という意味だと思うのですが、ここで「おや?」と思うことがありました。実はこの曲、私が早稲田松竹で聞くのは2回目で、最初に聞いたのは諏訪敦彦監督の『ライオンは今夜死ぬ』という映画です。撮影中の映画で死を演じるのに困惑するジャン=ピエール・レオが、ひょんなことから子供たちの自主映画の制作に参加していくという映画で、こちらでも子供たちがこの曲を歌っていました。フランス語で歌われていたのですが、その時の日本語訳は映画のタイトル通り「ライオンが死んだから森は静かだ」といったニュアンスです。今まで考えなかったけど“Sleep”ってそういう意味なの!? と驚き、複雑な気持ちになりました。

調べてみると、「The Lion Sleeps Tonight」という曲自体、英語歌詞を付けたカバー曲で、オリジナルは南アフリカで大ヒットした「Mbube」という曲でした(WimowehはMbubeを聞
き間違えたものらしい)。そしてフランス語で「The Lion Sleeps Tonight」をさらにカバーしたヴァージョンでは歌詞も変わっており、はっきりと「ライオンが死んだから森は静かだ」となっているようです。少しほっとしました。しかし私の無知と勘違いだったとはいえ、文章は受け取り側次第で様々に解釈できるのだなあと、当たり前のことを改めて考えました。すばらしい音楽とシンプルな歌詞だからこそ、一つの言葉に妄想が膨らむのかもしれません。

(ジャック)