2020.02.13
【スタッフコラム】しかまる。の暮らしメモ byしかまる。
第12回「自分を救えるのは自分自身」
立春が過ぎ、春はまだ先な気もしますが、そろそろ新生活が始まる季節ですね。映画館のスタッフとして充実した環境に浸かっている今となっては、学生の頃のような著しい環境の変化も遠い昔のことのように思えます。そんな私がいまでも、学生時代を思い出し胸が熱くなる言葉があります。
大学3年の夏、インターンシップで単身大阪へ向かった時のこと。初めて親元を離れ、知らない土地に一ヶ月も滞在するという大きな決断をしたものの不安が募ってきて、深夜バスでの移動中はよく眠れなかったのを覚えています。都市を東から西へ移動しただけとはいえ、慣れない交通に戸惑い私は同じ道を行ったり来たり。下手に動かない方が安全と判断し、ひとまず心休まる場所、映画館で次の予定までの時間を過ごすことにしました。そこで出会ったのがインド映画『マダム・イン・ニューヨーク』(当館では2015年1月に上映)です。
主人公のシャシは、料理が得意なごく普通の主婦。彼女の悩みは、家族の中で自分だけ英語ができないこと。ある日、姪の結婚式の手伝いで一人NYへ旅立つことになり、ゆく先々で英語ができず打ちひしがれてしまいます。
いま思えば、シャシが直面する言語や文化の壁に比べると、私が抱える問題などはとてもちっぽけなものですが、この時はシャシがNYで右往左往する姿に自分がいま置かれている状況が重なり、思わず感情移入。そして英語ができない自分を変えるべく英会話教室に通い始め、次第に上達していく彼女の姿に感動し、終始涙腺が緩みっぱなしでした。
“Nobody can help you better than you.
(自分以上に自分を助けられる人はいない。)”
これは映画の終盤、英語で日常会話ができるレベルにまで成長したシャシが姪の結婚式でスピーチをした時の言葉です。困難に直面した時、周りのせいにするのではなく、自分の決断次第で良い方向に変えられる。彼女がNYで一歩を踏み出し、次第に自信を取り戻す過程は、見知らぬ土地で不安になる私の背中をそっと押してくれました。そして苦しい時や辛い時、私はこの言葉を思い出し、彼女のように自分の選択に責任を持つ生き方をしていたいと思うのです。
(しかまる。)