2023.12.21
【スタッフコラム】この推しスター! byパズー
今月の推し「フランツ・ロゴフスキ」
この人が出ているなら、何はともあれ観てみよう♪ な俳優パート2!(パート1はフローレンス・ピューでした)。面白い作品にしか出ていないと自信を持って言える、ドイツ出身のフランツ・ロゴフスキをご紹介します。ドイツ人のスターは意外にも初めてのセレクトです!
現在37歳のロゴフスキ氏は、ドイツ南西部のフライブルク生まれ。彼のお祖父さんはドイツ産業連盟の会長を務めた著名人で、裕福な家に育ちました。キャリア初期は舞台俳優やダンサー、振付師としても活動していましたが、1カット撮影で話題になった『ヴィクトリア』(15)や、名匠ミヒャエル・ハネケの『ハッピーエンド』(17)で注目を浴び、気づけば映画祭で見ないことはない売れっ子に。
澄んだ瞳でカメラに映るロゴフスキは、イノセントであり全て見据えているようにも見えるどこか浮世離れした存在感があります。どんな役柄でも独特の軽やかさがあって、地上から浮いていそうな感じもします(ダンサーだったというのを知って納得)。また、出生時の口唇口蓋裂の手術痕があり、喋り方も少しくぐもった感じなのですが、そこが唯一無二の魅力だと思います。当館でも上映したクリスティアン・ペッツォルト監督の『未来を乗り換えた男』と『水を抱く女』は個人的おススメ作品。現代のおとぎ話のような寓話的雰囲気がまさにぴったりです。
最近では、『ポルトガル、夏の終わり』のアイラ・サックス監督の新作『Passages』が最高でした。ベン・ウィショーとアデル・エグザルホプロスとの間で三角関係に陥る映画監督役で、映画史上最高レベルの自己中クズ男なのに、ロゴフスキが演じているとなんだか憎みきれない…。すでに主演俳優賞にいくつもノミネートされていて代表作になりそうです。日本ではいまのところ先日の東京国際映画祭で上映しただけなので絶対に劇場公開してほしいですね…!
世界中の作家から引っ張りだこのロゴフスキ。ここのところイタリアの作品にいくつか出演していますが、今後は『アニマル・キングダム』のデヴィッド・ミショッド監督や、『アメリカン・ハニー』のアンドレア・アーノルド監督の新作など、ハリウッドスターと共演するアメリカ映画への出演が相次いでいるよう。オスカー俳優になる日も近い予感です!
(パズー)
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