2016.04.14
【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田
二十四節気:清明(せいめい)、末候:虹始見(にじはじめてあらわる)
日本人は季節にうるさいと思う。今自分が感じている季節を信頼していて、ゆずらない。暦や季語なんかの文化的な季節感を例に出しても、自分が感じてなきゃ埒があかない。早めにスプリングコートを着て春を自慢気に纏う女性もいれば、スカーフの色だけ変えて、その待春感を露わにさせるオシャレな男子なんかも。それを見て「まだ違う」なんてソワソワする人だっているはずだ。みんな季節を狙って、旬の食べ物を狙ってる、季節ハンター。でもそれってすごくいい。皆で季節を作ってるんだな、これが日本人の季節感を育ててきたんだな、と私は思う。俳句や連歌で扱うところの「季語」は「日本人の思い出だ」と我が兄(俳人)も言ってたっけ。つまり、私たちは季節を大いに感ずるべきだし、それを人に譲らず表現すべきだ。そこで、私は映画館で働いているから、映画のことを中心に(たぶん他のことも)、季節とまぜこぜに話してみたいと思う。え? 映画と季節なんて関係ない? いやいや、これは止めることなんてできませんよ。だって、日本人はそういうところあるからね。
二十四節気七十二候。昔の人は、1年を24つの節気に分けて、さらにそれを天候の変化で3つに解いた。明日(4/15)からの暦は、24節気(Season):清明(せいめい)、72候(Weather):虹始見(にじはじめてあらわる)。寒さを感じなくなって久しくなり、生き物や植物の気配ビンビン、爽やかさ全開。一年で最も過ごしやすい時期と言っても過言じゃない。そんな春の空気もどこか潤いを帯びてきて、雨が降れば、薄い虹がわずかに見える。初虹だ。虹は、いつもあるかどうかわからないし、春の虹は消えやすい。そんな虹は夢に例えられることが多く、虹を追いかける話は古今東西数知れず。映画関係のタイトルにもたくさんある。『虹をつかむ男』『虹の女神』『真夜中の虹』『君とボクの虹色の世界』そのなかでも、誰でも知っているのは『オズの魔法使い』の名曲「虹の彼方に」(Over the Rainbow)。どこか遠くの世界に自由に飛んで行きたい、全世界の少年少女たちの夢と願いがこもった歌。でも、越える虹なら消えやすい春ではなくて、夏を選びましょう。途中で見失うといけないから。
(上田)