小学生の時、下校する前に「帰りの会」というものがありました。一日のまとめや連絡事項、明日の持ち物の確認をするだけでなく、私の学校ではなぜかクラスみんなで歌を歌うという項目があり、ピアノを弾ける生徒の伴奏もしくはCDに合わせて歌を歌うのが習慣でした。大抵は小学生向けの合唱曲などが多かったのですが、3年生の時の担任教師が急にギターを弾き始め、井上陽水の『夢の中へ』などの歌謡曲を歌おうと言ったのです。今思えば、音楽への興味はここからスタートしたのかもしれません。中でも強烈に覚えているのはフォーククルセイダーズの『帰って来たヨッパライ』を歌ったことです。「オラは死んじまっただ～ヨッパライ運転で～」とクラスみんなで合唱した思い出は忘れられません（おかげで飲酒運転は良くないというのが幼心に植え付けられました。でも歌詞の最後のほうで天国を追い出されて現世に戻って来るのですが）。

私のフェイバリットグループ「たま」と出会ったのもこのときです。帰りの会で歌った彼らの曲『さよなら人類』に衝撃を受け、一体どんな人たちがこの曲を歌っているのだろうと思いを馳せていました。そんな時、玩具をいっぱい持っているＭ君がCDを買ったとの噂を聞きつけ、皆で遊びに行こうということになり、初めてジャケットを眺める機会に恵まれました。その個性的な風貌に二度目の衝撃を受けたのも懐かしく思います。

さて、去年、あるスタッフが泣いたという『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』という映画が神保町シアターで上映するという話を聞いたので、観に行きました。何の気なしに観に行ったのですが、劇中で『星を食べる』というたまの曲が流れ、大人になってからわかるアンニュイさと懐かしさに私も静かに涙。それからというもの、「たま」に対する思いがふつふつとよみがえってきたのでした。

（ジャック）