2016.06.09
【スタッフコラム】ドラマばかり見ている。 byかわうそ
こんにちは。ドラマ「ラヴソング」「ゆとりですがなにか」を毎週楽しみに観ている、かわうそです。7月からスタートするドラマも発表になりましたね。夏は在宅率が低く(みんな遊びに出かけてしまうから)、そもそも視聴率が取りづらいので「それならいっちょ冒険してやろう!」と思い切った作品が多くなると言われています。
今回わたしが注目しているのは、脚本家・遊川和彦がオリジナル脚本で挑む「はじめまして、愛しています。」です。視聴率40%超えのバケモノドラマ「家政婦のミタ」(2011)を書いた人ですね。まさに冒険心の塊のような人で、賛否両論を巻き起こした朝ドラ「純と愛」(2012)、怖すぎる女教師が主人公の「女王の教室」(2005)など、エッジの効きまくった作品を発表し続けています。今回はどんなドラマを見せてくれるのでしょうか?
彼はいわゆるホームランバッタータイプなので、大ヒットもあれば大ハズレもあります。なかでも個人的に印象深いのが「リミット-刑事の現場2-」(2009)。主演は森山未來、共演に武田鉄矢。パート1、2とあって、遊川和彦はパート2の方を担当しています。
森山未來演じる若手刑事・加藤と、武田鉄矢扮するベテラン刑事・梅木がメインの刑事ドラマなのですが、事件を通し、この二人が刑事として、人間として抱える闇が次第に噴出してくるさまが、すさまじい迫力をもって描かれます。
脚本の持つ言葉の力は圧倒的です。例えば第1話。犯人逮捕のためなら手段を問わず、その憎しみの感情をあらわにする梅木が、取り調べ室で、通り魔殺人犯に放つセリフ。
「人間は生きているうちに殺したいほど憎い奴に出会うことがある。だが普通の人は、殺さない、殺せない。親がいる、こいつにも惚れた男か女がいる、そう思うと、そいつが人間に見えて、だから、人間は人間を殺さない。そして、殺せない。だがこいつは違う! こいつは憎くもない人を、弱い人を選んで刺し殺した。なぜ、そんなことができたか? それは、こいつが人間じゃないからだ。おめぇもしっかり踏みとどまって戦え! 人間なら!」
この破壊力。それも武田鉄矢がドスの効いた声で言うのです。ああ、怖い。そして森山未來演じる若手刑事・加藤もまた、梅木に引っ張られるように次第に狂気を帯びていきます。
全5話。観始めたら完全にひきつけられてやめられなくなります。わたしは放送当時、出かけようとしていたのに、第1話の冒頭を観て釘付けになり、結局そのまま最後まで観てしまいました。いい思い出です。
(かわうそ)