2023.09.14

【スタッフコラム】馬場・オブ・ザ・デッド by 牛

現在、早稲田松竹で上映している『ザ・ホエール』という作品は、体重272キロの男の最期の日々を描いた物語です。特殊メイクでつくられた巨体は、米アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したこともあり、かなりの迫力。シーンによっては恐怖を覚えたほどでした。自分よりも大きな存在って、怖いかもしれない…。そんなことを考えていたら、ふと思い出した作品がありました。今回は、「圧倒的な力」を持つパワフルな恐怖映画2作品をご紹介します。

まず1本目『マングラー』は、ホラーの帝王・スティーブン・キングの短編小説「人間圧搾機」(すごいタイトルですね)の映画化作品。監督は『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパー。舞台となるのは、クリーニング工場・ブルーリボン。この素敵な名前からは想像もつかない劣悪な経営者と労働環境の中、まるで悪の象徴のように鎮座しているのは、超巨大なプレス機。このプレス機に悪魔が憑りついてしまう! というお話です。察しのいい方はお気づきかもしれませんが、ひょんなことから従業員がこの悪魔のプレス機の餌食になっちゃいます! 機械を止めようにも彼(?)の暴走は止まらず、じわじわと巻き込まれていく凄惨なシーンはトラウマ必須。機械の持つ無慈悲なパワー、そしてトビー・フーパー監督の腕が光る生々しい描写に肝が冷えまくります。自分の身にも起こる可能性、無きにしも非ず。注意力が高まる作品です。

そして2本目『地獄の警備員』は、Jホラーの巨匠・黒沢清監督の初期作品。舞台は、バブル真っ只中の総合商社。主人公・秋子と同じ日に入社した警備員は、殺人歴のある危険人物だった! というお話。この警備員、演じているのはなんとまだ新人の松重豊さん。なぜか「元力士」という設定の難しい役どころなのですが、190cm近い高身長を活かした不気味な風体はかなりインパクトがあります。この作品の見どころは、そんな地獄の警備員が社内の人間を次々に殺害していくところ。中でも衝撃的な殺し方が、女性社員をロッカーに閉じ込め、その巨体でタックルしまくるという力技。スチール製のロッカーはみるみるうちにペシャンコに! そして、ロッカーから大量に溢れ出る鮮血は、中の人間を嫌でも想像してしまいます…。

ちなみに、『マングラー』を観てからというもの、私は大きな機械の横に立つのが怖いです。自分の身近なものでいうと、まさに35mm映写機なのですが、悪魔が憑りついてしまわぬよう丁寧に扱うことを心がけています。皆さまも、災難に巻き込まれぬよう、どうかご安全に一日をお過ごしください。

(牛)

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