2023.08.17

【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

『マインド・ゲーム』やっぱり好き

只今上映中の『マインド・ゲーム』。2017年にも当館で湯浅政明監督特集の一本として上映しているのですが、そこで拝見して以来、私のお気に入りの映画の一つです。前回上映時にも幸せなことに試写を担当したのですが、今回の上映でもまさかの試写担当に。鑑賞後には気持ちが高揚し、誰かとこの映画の良さを共有せねば! と思ってしまうほどです。ということで(?)実はこのコラムで『マインド・ゲーム』を取り上げるのは二度目なのですが、紹介せずにはいられません。

『マインド・ゲーム』は、映像はもちろんのこと音楽がとても素晴らしいと思っています。この作品で音楽を担当しているのは、羅針盤、ROVOなど数々のユニットで活動を行っている関西アンダーグラウンドの重鎮、山本精一さんというミュージシャンで、「山本精一と不思議ロボット」という名義でクレジットされています。「MINDGAME」というタイトル曲のエキゾチックな魅力、ボサノバ調の曲、どこか冷ややかな印象を受けるサンバなど様々な曲が散りばめられていて、どうしても聞き入ってしまいます(余談ですが、矢口史靖監督の初期作『アドレナリン・ドライブ』(1999)でも山本精一さんが音楽を担当しています)。

その中でもやはり印象的なのは本編クライマックスで聞こえてくるドラムソロなのではないでしょうか。登場人物たちの覚悟と昂りを表現しているかのように炸裂する乱打。そこから登場人物たちが走りだすとともに刻まれ始まるリズム。その一打一打から全力を尽くすようなエモーションが感じられます。生きてきた道筋をたどる走馬灯のような映像とともに流れるあの熱量。本当に格好良いです。映像も相まって、ドラムのビートがこんなにも色鮮やかなのかと驚いてしまいます。

『マインド・ゲーム』のサウンドトラックCDではドラムソロは乱打の部分とリズムの部分とで、別のトラックに分けられています。乱打の部分は「Startin’」という曲に、リズムの部分は「Braves~Free-Fall」という曲の後半です。もちろんサウンドトラックも素晴らしいのですが、やはり、あのクライマックスシーンのドラムソロを一連の流れで体験するには映画館で見なければ、ですね。私ももう一度見たいです。

「Mind Game Original Soundtrack」山本精一と不思議ロボット

(ジャック)

©2004 MIND GAME Project