2023.07.15

【スタッフコラム】うどん粉デザインばなし byうどん粉くん

今年の夏も全く手加減なしの暑さで、早くもギブアップ寸前。こんなときはエアコンの効いた映画館で、ゴリゴリのホラー映画を観たりして涼みたいものです。でも映画は好きでもホラーはちょっと…という方は少なくないですよね。わざわざ映画館に足を運んでまで、怖い気持ちになる意味が分からないと友達に言われたこともあります。自分でもこんなにホラー映画を好きになるなんて思いませんでした。

小さい頃は一人でお風呂に入れないし、夜中に目が覚めては毎晩のように親の寝室に侵入しちゃうし、紛れもなくトップ・オブ・ビビリでした。そんな怖がりで大変だったのが、レンタルビデオ屋さんに連れて行ってもらったときです。観たいビデオを選んでおいでとお店に放たれ、ジャンルごとに分けられた棚の間をぐるぐる散策していると、明らかに不穏な空気漂うスペースが。そう、ホラーゾーンです。遠くからぱっと見でも、なんとなく黒っぽいパッケージがずらっと並んでいてなんだか不気味。その棚の前を通るのが、自分にとってはめちゃめちゃハードだったんです。できるだけ目線をまっすぐ先に置いて、視界にホラーゾーンが入らないよう歩くのに必死でした。それでも油断して目にしてしまったときの衝撃は、子供にはトラウマものです。前髪ぱっつんの日本人形とか、血まみれになった真っ白の顔がこっちを見つめてきたり、いちいちビデオパッケージがショッキング。ホラー映画のパッケージデザインってこちらに訴えかけてくる独特のパワーがありますよね。それらが棚にずらっと静かに並んでいるだけなのに、妙な圧を感じるんです。家に帰っても恐怖のビデオパッケージが脳裏に焼き付いて、2週間くらいは生活に支障をきたしてました。

一番苦手だったのは、『チャイルド・プレイ』のチャッキー。ナイフを持ってこっちを睨むチャッキーが忘れられません。チャッキーの目ん玉って吸い込まれそうになるというか、怖いのに目が離せなくなるんです。しかも『チャイルド・プレイ』はシリーズもの。ご丁寧にもきれいに並べられて棚はチャッキーだらけです。特に『チャイルド・プレイ3』のパッケージはチャッキーの顔がどアップなので、棚に並んでいても一番に目を引くんです。しかもチャッキーの目の奥が赤く光っていて、ヤバさが倍増。あ~見たくないのに見てしまう。

そんな怖がりな自分がいつからホラー映画好きになったのか。それは高校卒業後、上京してからだと思います。地方から東京に来てみると、膨大な数とジャンルの映画が上映されていることに圧倒されつつ、せっかくなら何でも観てみようと思えたんです(大学生ということで時間だけはありました笑)。その頃に観た『遊星からの物体X』『悪魔のいけにえ』が衝撃的で、怖いって感情はこんなにも面白いんだと思えたし、可笑しみや悲しみ、美しさも一緒に存在していることに気づきました。そんな懐の広いホラー映画というジャンルが大好きになって、今ではつい映画館に足が向いてしまいます。

ちなみに僕はまだ『チャイルド・プレイ』を一本も観たことがありません。心のどこかで彼を敬遠しているんですかね。トップ・オブ・ビビリがホラー映画好きになった今こそ、観るべきなのかもしれないと心に誓う、うどん粉なのでした。

(うどん粉くん)