2023.04.27

【スタッフコラム】馬場・オブ・ザ・デッド by 牛

暖かくなってきましたね。この季節になると増えてくるのが虫さんたちです。早稲田松竹の事務所内でも、どこからともなくハエがブーンと飛んできて空中を飛び回っては、スタッフ総出で追い出すということが度々起こります。映写室に入ってしまったり、スクリーンに張り付いてしまったら大変なので、私たちも必死です。私事ですが、予測不能な動きや見た目など…虫はどうしても苦手です。けれどもオバケたちと同じで、怖いけど興味深い存在でもあります。恐ろしいものほど、嫌とわかりつつ見てしまうんですよね。虫さんたちと仲良くしたい…ということで、今回はこれからの季節を共にする虫さんたちにまつわる恐怖映画をご紹介します。

ゴードン・ダグラス監督『放射能X』(1954)は、放射能実験により突然変異で巨大化してしまったアリと人類の存続を描いた特撮サスペンス作品です。まず驚くのはアリの大きさ。3メートルほどの巨大なアリが登場しますが、CGがない時代の作品なので、もちろん手作りです。かの有名な『ゴジラ』と同年の作品ですが、あそこまでの巨大生物ではなく、絶妙なサイズ感がたまりません。巨大化したフサフサした触覚がゾワゾワポイントで、更にアリのチャームポイントである強靭なアゴはちょうど人間がスッポリと挟まれてしまうサイズ感で観ていてヒヤヒヤしてしまいます。(実際に挟まれます!)凶暴ながらどこか愛嬌のある表情のアリたちなのですが、駆除のために火炎放射器で容赦なくガンガン燃やされてしまうのも切なくて泣けてしまいます。

そして、10年ぶりとなる新作『ダークグラス』が現在公開中のホラーの帝王ダリオ・アルジェント監督『フェノミナ』(1985)は、お気に入りの虫映画です。少女ばかりを狙った連続殺人事件が起きている町に転校してきてしまった主人公。なんと、虫と交信できるという特殊な能力を持っていて、その力を駆使して犯人を突き止めていくというサスペンスホラー作品です。冒頭の猟奇的なシーンに唖然としてしまいますが、この後も衝撃映像の連続で、恐怖が全く失速せずむしろ加速していくのがアルジェント監督のすごいところ。虫にまつわる能力があるということで、本物の虫がたくさん登場します。中でも、死体はもちろん、石鹸やタオルや手袋といった日用品に付着しているうじ虫が見どころ。そして何より、主人公の少女が持つ謎の虫パワーで大量のハエを呼び寄せピンチを切り抜けるシーンは本当にかっこいい! 建物ひとつ覆い隠すほどのおびただしいハエたちの力に圧倒される作品です。

虫のことを知れば知るほど、彼らはそれほど怖いものではないのでは? と思いつつ、いざ対面してしまうとやっぱり驚いてしまいます。私と虫さんが仲良くできるのはまだ少し先かなと感じている今日この頃です。(おすすめの虫映画があればぜひ教えてください♪)

(牛)