2023.03.16

【スタッフコラム】馬場・オブ・ザ・デッド by 牛

第11回「デスタワー」

春の訪れを感じるこの頃。脳内がピクニックやお花見のことで頭がいっぱいになった私は、日課となっていた恐怖映画ウォッチングから足が遠のき、その反動からハッピーな映画ばかり観ていました。そんなハッピーな状態の私がハッピーな気持ちのまま観た結果、あまりの恐怖で大ダメージを受けた映画に出会いました。今回ご紹介するのは、地上600mの鉄塔の頂上に取り残されてしまうサバイバル映画『FALL/フォール』です。

突然ですが、皆さんが一番怖いものって何でしょうか。オバケや殺人鬼のようなホラーっぽいもの、地震や火事といった災害も怖いですし、結局生身の人間が一番怖いっていう話もよく聞きますよね。私はというと、実は大の高所恐怖症。どのくらいダメかといいますと、子供の頃はジャングルジムのせいぜい3段目くらいで足がすくみ、学校行事のスキー教室ではリフトに乗れず号泣した人生でした。オバケも怖いですが、高所に比べたら100倍マシということを痛感した作品であります。

登場人物はフリークライミングが趣味のベッキーとハンター。クライミング中の事故でベッキーは旦那ダンを亡くしてしまいます。悲しみに暮れ、自暴自棄な生活をしていたベッキーの元に、ある日親友のハンターがやってきて言うのでした。「地上600mの鉄塔に登ってダンの遺灰を撒くぞ!」と…。「???」となりますが、2人は亡きダンへの熱い思い(と好奇心)を胸に、超モンスター級の鉄塔の頂上を目指して旅立つのでした。

この作品の恐怖ポイントは、鉄塔を登っている最中の細かな演出。彼女たちが登るこの鉄塔は、使われなくなったテレビ塔というボロボロの廃鉄塔。登る手段は今にも崩れ落ちそうな錆びたハシゴのみ。フリークライミングで鍛え上げた強靭な身体と精神をもってしてもベッキーは途中、恐怖でリタイアしかけます。一方でフォロワー6万人を誇る人気インフルエンサーのハンターは余裕な表情でわざとハシゴをガンガン揺らしたりする始末。私がベッキーならブチ切れている瞬間ですが、そんな中でもハシゴは登るたびにギシギシ軋み、挙句の果てにはネジが緩んで落下…。手に汗握る意地悪な演出が観ている私たちに襲い掛かります。この時点で恐怖度はMAXですが、実はまだまだ冒頭部分。本当の地獄は頂上に着いてからはじまるのです…。

観終わるころには恐怖で疲弊しますが、主人公たちの生命力に不思議と勇気づけられる感動作です。是非スクリーンで鑑賞することをおすすめいたします! ちなみに、作中に登場するテレビ塔は観ている最中は「そんな細長い鉄塔があるかいな」とツッコミをいれてしまうのですが、アメリカ・カルフォルニア州に実在する「サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワー」がモデルになっているそうで、検索してみると劇中の鉄塔と瓜二つではありませんか。この塔に登りたくてたまらない! というベッキーやハンターのような人がいないことを心から願うこの頃です。

(牛)