2023.03.09
【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック
ロバート・ダウニー・シニアと謎のミュージシャン
1月半ばに上映しました『パトニー・スウォープ』(1969)。とても奇抜で斬新なこの映画にかなり衝撃を受けました。広告会社での出来事を過激なユーモアと皮肉で描き、笑うべきなのか、それとも真剣に考えるべきなのか、誇張(と思いたい)された描き方の中に、何か肝心なことが映し出されているような、でも自分の考えすぎなのかもしれないといったどうとも取りえる含みのある表現が妙に後を引いています。
この作品で使われていた音楽がとても良く、予告編でも使われていたロック調の曲、ファンキーな曲、にきび薬のシーンで流れていた清涼感(?)ある曲、エンドロールでの民族的な曲など、様々な曲が散りばめられていたように思います。この音楽を担当したのはCharley Cuvaという人で、ロバート・ダウニー・シニア監督作ではこの作品の他に『Pound』(1970)という作品でもオリジナル音楽を担当しています。
このCharley Cuvaという人について、『パトニー・スウォープ』と『Pound』で音楽を担当したこと以外の情報を、私はみつけることができませんでした。あれだけのクオリティと多様な曲を作り出すことができる人物の情報がないとは! どなたかご存じないですか? しかしこの映画のハチャメチャさのことを考えると、もしかしたら、Charley Cuvaという名前は偽名で、実はロバート・ダウニー・シニアや別の有名なミュージシャンが作っているのかも、なんて妄想が私の中で渦巻いています。
さて、同じくロバート・ダウニー・シニア監督の『Greaser’sPalace』(1972)という作品ではJack Nitzscheという人が音楽を担当しています。このミュージシャンは「ウォール・オブ・サウンド」という手法で有名な音楽プロデューサーであるフィル・スペクターの右腕としてアレンジを担当、『愛と青春の旅だち』や『カッコーの巣の上で』などの映画音楽も手掛けています。どうやら監督と彼は当時かなり仲が良かったらしく、作詞ロバート・ダウニー・シニア、作曲JackNitzscheでアルバムも作成していたようです。経歴を考えると、Jack Nitzscheなら多種多様な曲を高クオリティで作成できるはず。Charley Cuvaってもしかしてこの人なのか…? と何の根拠もない妄想はさらに続くのでした。
Charley Cuva 『Putney Swope (Original Soundtrack)』(2006)
Jack Nitzsche 『Three Piece Suite: The Reprise Recordings 1971-1974』(2001)
(ジャック)