2019.02.22

【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

「寒い国の熱い音楽」

音楽を求め、ふらっと立ち寄ったお店でついつい手に取ってしまうものがあります。大抵はジャケットデザインの印象で手に取るのですが、中にはアルバムのタイトルに興味をそそられて買ってしまうものもあります。

その中でも私が一番素敵だと思っているタイトルに『Why Not Samba – Hot Cocktail Of Tropical Grooves From Cold War Poland』というアルバムがあります。どこかちぐはぐな感じがするタイトルですが、窓越しに雪が降る小さな小部屋でサンバを演奏する、ポーランドのミュージシャンたちが想像でき、なんてエキゾチックなんだ! と思っています。かつ、まるでジャマイカ出身のボブスレーチームの映画『クール・ランニング』を思い出すようなユーモアも感じる一方で、Cold Warという強烈な単語の存在がシビアな現実感を与えています。

このアルバムは70年代前後のポーランドのミュージシャンたちのオムニバス・アルバムであり、ジャズやラテンな雰囲気満載の音楽が集められています。どの曲もノリが良く、トロピカルな感じなのですが、ほんのりポーランドの匂いもするところが魅力的です。Soul Service DJ Teamというポーランドのファンク、ソウルなどを発掘しているDJたちが紹介してくれた、すばらしい音楽だと思います。

さてこのアルバムの8曲目にNovi Singersというグループが収録されていますが、どうやらこのグループはポーランド出身の巨匠・イエジー・スコリモフスキ監督の『バリエラ』の音楽を担当したクリストフ・コメダの曲にコーラスで参加しているようです。映画の冒頭から流れる曲にコーラスが入っていますが、おそらく彼らの声なのではないでしょうか。オープニングにもNoviとクレジットされていました。

別々の経緯で知った作品たちの、ひょんなつながりを探し出すのは楽しいことです。あの人とあの人が一緒に何かをやっていたんだという事実は、私のミーハーな妄想を掻き立てます。

『Why Not Samba – Hot Cocktail Of Tropical Grooves From Cold War Poland』(2008)

(ジャック)