2022.12.29

【スタッフコラム】わたしのランチ byもっさ

わたしのランチ番外編 ~早稲田通りの向こう側~

通りの木々たちは風に吹かれ、すっかり寒そうな装いになりました。もうすぐ2022年も終わりますね~。年の瀬になると、「またこうして時が過ぎてゆくのだな~」となんだか無性に寂しい気持ちになります。実は先日、前任の支配人が20年の勤務を終え、引退されました。一昨年に現・支配人へバトンタッチした後、しばらくは相談役として勤務されていて、私たちスタッフのことを見守ってくださいました。まるで母のような存在だったので、胸にぽっかり穴が開いたような気持ちです。

そんな寂しい気持ちに追い打ちをかけるように、悲しいニュースが飛び込んできました。前・支配人の行きつけのお店「エスペラント」が、閉店することになったというのです。そういえば、以前(10年も前!)メルマガを担当していた先輩スタッフもエスペラントの常連で、当時お店の方との会話で「50年くらい続いている~」と紹介していました(2010/2/18号no.094早稲田松竹日和より)。そのエピソードからすると、今年71年目を迎えた早稲田松竹とは、少なくとも60年のお付き合いです。私が通っていたのなんて、その歴史からすると本当に些細なものですが、それでもやはり、閉店のニュースはとても衝撃的で悲しいものでした。

私のお気に入りメニューはナポリタン。当コラムでは記念すべき第一回目にご紹介しました。当初はこのランチコラムがこんなに続くと思っておらず、一回目にヘビロテ&スぺオキのお店を紹介してしまったおかげで、新規開拓に明け暮れる羽目になりました。いや、そのおかげで今の私があるのかもしれません。最近ご無沙汰しておりましたが、閉店のニュースを聞きつけて早速行ってきました。実はまだ食べたことのなかったケーキセットを注文。自家製ケーキはチョコ、チーズ、月変わりの3種類。私はチーズケーキをいただきました。これがまたコーヒーと良く合うんだなぁ~。いつもランチメニューにくぎ付けで気がつきませんでしたが、ピザトーストや、ホットケーキ、自家製プリン、フロートなどなど…喫茶店ならではのメニューがずらり。これからラスト営業まで、エスペラントを満喫したいと思います。

早稲田松竹の受付から見える店構えはどこか心のよりどころでもありました。気ままなランチタイムにはもちろんですが、最終的に私にとって「エスペラント」のランチは勝負飯。当館で監督をお招きしたトークショーを開催する際、私はだいたい司会進行を務めることが多く、当日は信じられないくらいに緊張するんです。そんな時、一番近くにあって、落ち着いた雰囲気で、座り慣れた座席で、馴染みの景色を眺めながらいただく、“いつものランチ”が、なによりも活力になりました。時には緊張しすぎて食事が喉を通らないなんて時も、一杯のホットコーヒーをいただくだけで、心がほっと落ち着いたものです。コロナ禍になってトークショーはめっきり減ってしまいましたが、もしまたイベントがあるとき、私は一体どうすればいいのでしょう…。勝負飯迷子です(泣)。

そんなエスペラントの思い出に浸りつつお会計に進むと、小さなマッチ箱が目に入りました。近くのポップには「一箱50円」の文字。いつの間にエスペラントグッズが! と、嬉しさ半分、寂しさ半分の気持ちで、もちろん即購入。渋いゴールドに濃いめの紺色というシンプルなデザインの小さなマッチ箱。クルっと横を見ると住所…の代わりに『高田馬場早稲田松竹前』の文字。思わず目頭が熱くなりました。早稲田通りを挟んで、互いに見つめ合うような位置にあって、行き交う人たちを何年も何年も見届けてきたんだろうなぁ。何度もしつこいですが、やっぱり、とっても寂しいです。

閉店は来年の1/14(土)。なんとか延長してくれないかな~、誰か引き継いでくれないかな~などと、エスペラントラバーの早稲田松竹スタッフたちは皆、嘆いております。年末は営業終了しており、年始は1/4(水)から営業開始とのこと。さよならの代わりに、ありがとうと、ごちそうさまを、たくさん言いに行きたいと思います。

(もっさ)