2018.04.05

【スタッフコラム】☆☆☆に憧れて(最終回) byスタンド

こんにちは! スタンドです。4/7(土)から早稲田松竹ではトム・フォード監督の最新作『ノクターナル・アニマルズ』の上映が始まります。トム・フォード…その名前だけで胸がときめきます。私が彼を初めて知ったのは、映画監督ではなくファッションデザイナーとしてのトム・フォードでした。

高校生の時、お金がないので服を買えずにVOGUEやファッション通信を書店や古本屋で買って満足していた私。その中で1990年代後半(特に1999年の秋冬コレクションが好き)に彼がデザインしたGUCCIの広告と出会いました。トム・フォードのコンセプトである「力強く、タフでしかもセクシーであるべき」を体現した洋服の数々は、10代の私にとって凄くセンセーショナルで、ファッションデザイナーという職業を尊敬するきっかけのひとつになりました。

「タフでセクシーに憧れて」

大人になった今でもトム・フォードの洋服は高くて買えませんが、映画なら彼の才能に様々な視点で触れることができます。前作『シングルマン』ではコリン・ファースとニコラス・ホルトの衣装を監督業の傍ら担当し、彼らの魅力を爆発させていました。しかし『ノクターナル~』では衣装のアリアンヌ・フィリップスに全て任せています。彼女はインタビューで「本作では、ファッションデザイナーのトム・フォードではなく、映画監督トム・フォードと仕事をした」と語っています。

実は、最新作では彼がデザインした洋服を一着も使用していません。映画は服を売るための宣伝ではない、という監督の考えのもとに作られたのです。その事で、より衣装は単に服を着ることではなく、登場人物を作り出すこと、物語を動かすものだという映画に対する彼ならではのアプローチが感じられ、公開前から早く観たい! と興奮を抑えられませんでした。トム・フォードの枯れる事のないマルチな才能とバイタリティーに憧れて、タフでセクシーな人間になれるよう邁進していくぞ! と襟を正す今日この頃です。

さて、早稲田松竹日和の読者の皆さまとは、早いもので4年のお付き合いになります。2015年の冒頭コラムから始まり、この私の憧れを語るコラムの最終回まで読んで下さってありがとうございました。当初は、まさか敬愛するトム・フォードで締めくくる事になるとは夢にも思いませんでした。このコラムを書くたびに、自分の好奇心を形にして皆さまと共有できる事がとっても嬉しかったです。退職後も、溢れる知識欲を胸に頑張っていこうと思います。皆さま、どうかお元気で、さようなら~!

(スタンド)