2018.09.27

【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

「ルー・リードとアドヴェンチャーランド」

今週上映しております、デヴィッド・リンチ監督の『ロスト・ハイウェイ』(1997)ではニューヨーク出身のロック・ミュージシャン、ルー・リードが歌う「This Magic Moment」という曲が印象的に使われています。パトリシア・アークエットと修理工役のバルサザール・ゲティが視線を交わすシーンで流れていて、とても良いシーンだなあ、と改めて思いました。それからというもの、ルー・リード熱が高まっています。

ルー・リードの曲は『ロスト・ハイウェイ』だけではなく、たくさんの映画に使われていますが、『宇宙人ポール』(2010)の監督、グレッグ・モットーラの『アドベンチャーランドへようこそ』(2009・未公開)が私の印象に残っています。1987年、アメリカの地方の遊園地が舞台の、ジェシー・アイゼンバーグとクリステン・スチュワートが出演している青春映画です。いじらしくほろ苦い恋が繰り広げられるのですが、その時間の流れ方がゆったりとしていて、田舎町の雰囲気を上手に切り取っていると思っています(アメリカの田舎町に行ったことはありませんが)。何より驚いたのは登場人物のほとんどが、ルー・リードファンなのです。「ルー・リードと一緒にライブをしたことがある」というのが女性への口説き文句になっているあたり、町中に愛されています。劇中での、やさしく、臆病だからこそ、どこかぎこちなくなってしまうジェシー・アイゼンバーグと、どこか冷めていて虚ろなクリステン・スチュワートの組み合わせは、ルー・リードの曲のイメージに重なるように私には思えます。彼らが最終的に地方を飛び出し、ニューヨークに向かうのもなんだかジンとしてしまいます。

「Walk On The Wild Side」や劇中でも使われている「Satellite of Love」などルー・リードの有名曲が収録されているアルバム『Transformer』も大好きなのですが、私は80年代末に発表された『New York』というアルバムをよく聞いています。語りかけるような歌い方とミニマルだけど印象的なギターサウンドを軸とした曲はいつ聞いてもかっこいいのです。初期のころにあった退廃的なイメージとは異なり、どこか大人の余裕と覚悟を感じます。しかも相変わらず彼にしかできない独自の歌い方は、色っぽいのです。すべてのソロアルバムを持っているわけではないので、ただいまの私の目標は、彼のアルバムをとりあえず網羅してみることです。

『Transformer』Lou Reed(1972)
『New York』Lou Reed(1989)

(ジャック)