2022.09.08
【スタッフコラム】しかまる。の暮らしメモ byしかまる。
第24回「ドラマチックな椅子たち」
新居に引っ越してからあっという間に1年が過ぎようとしており、年々時の流れが速く感じている、しかまる。です。殺風景だった広いリビングも、今ではソファの他にもう一つくつろぎスペースができて、コーヒータイムを楽しむ場所になっています。
カフェスペースを作る際に私が譲れなかったのは、イームズシェルサイドチェアを置くこと。アメリカのオフィス家具メーカーであるHerman Miller(ハーマンミラー)からのオファーにより、数多くの家具を手掛けたチャールズ&レイ・イームズ夫妻によるデザインで、ミッドセンチュリーを代表する名作椅子のひとつです。座るという機能のほかに、置いてあるだけで美しいアートにもなる名作椅子たちは正規品を購入しようと思うとなかなか手が出せません…。散々悩んだ末に購入したリプロダクト品(意匠権の期限が切れた製品を、オリジナルデザインを元に復刻生産した製品のこと)は少しガタガタする気がしますが、そこはご愛敬。あの空間を想像するだけで「あぁ、はやく家に帰ってゆっくりしたい…。」と思えるのです。
そんなインテリア好きな私の心をくすぐるドラマをご紹介いたします。大の椅子好きを公言する、お笑い芸人で作家の又吉直樹さんが脚本を担当した、その名も『椅子』。WOWOWオリジナルドラマとして製作されたこの作品は、名作椅子をテーマにした全8話の短篇オムニバスで、吉岡里帆さん、モトーラ世理奈さん、石橋菜津美さん、黒木華さんの4人が2話ずつまったく異なる主人公を演じています。どんなにお洒落で素敵な物語が待っているのか、ワクワクした気持ちで視聴しました。
第1話「電球を替えたい」の主演は吉岡里帆さん。登場する名作椅子はミヒャエル・トーネットがデザインした「No.14」です。物語は恋人に激しくなじられ、うなだれている菜奈(吉岡里帆)に、通りがかった進(岩崎う大)が思わず声をかけるところから始まります。部屋の電球を替えるための椅子がないと言う菜奈に、進は自分の椅子を貸そうと親切にするのですが、彼らはそれぞれ人に言えない秘密を抱えていて…。
最初ぎこちない会話を続けながら並んで歩く二人のショットが続くので、てっきりほろ苦い恋愛ドラマなのかと思いきや、ラストが近づくにつれてホラーな展開となりびっくり(吉岡里帆さんの狂気が滲む笑顔はTBSドラマ「カルテット」が思い出されます)! 寝る前にゆったりまったりするつもりが、かえって眠れなくなってしまいました。
余談ですが、上野の東京都美術館では「フィン・ユールとデンマークの椅子」(~10/9)、江東区の東京都現代美術館では「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」(~10/16)が現在開催中です。ドラマにこれらの椅子は登場していないのですが、この椅子だったらどんなストーリーが生まれるだろうか…と想像しながら鑑賞できるのが今からとても楽しみです。
(しかまる。)