2019.06.20

【スタッフコラム】このイケメン!  byパズー

vol.32 今月のイケメン「ケイシー・アフレック」

往々にして、兄弟、姉妹ともに活躍する俳優が多いハリウッドで、おそらく一、二を争うくらいに有名なのがアフレック兄弟ではないでしょうか。今回は、(完全な私の好みにより)お兄さんのベンを差し置いて、弟ケイシー・アフレックをご紹介いたします。

ヒット作品に多く出演し若い頃からスター俳優だった兄に対して、どこか影の存在であったケイシー。そんな彼が『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したのは2016年。ガス・ヴァン・サント監督の『誘う女』(95)で映画デビューしてから実に20年以上経ってのことでした。

とはいえ早くから演技派として認められてきたケイシー。その魅力はなんといっても“弱虫系演技”です。捨て犬のごとく哀愁を帯びた表情や、覇気がないのに妙に耳に残る声は唯一無二の演技スタイル。心に傷を負った役をやらせたらピカ一なので、その集大成的な『マンチェスター~』でオスカーに輝いたのは納得ですね。もっとも、兄のベンが監督した『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(07)やブラッド・ピット主演の『ジェシー・ジェームズの暗殺』(07)の頃からそれは確立されていて、当時は「なんだこの演技!」と衝撃を受けたのを覚えています。

いっぽうでプライベートはやや難あり。「#metoo」運動ではケイシーも過去のセクハラ疑惑でやり玉に挙げられてしまい、先のアカデミー賞授賞式ではプレゼンターのブリー・ラーソンが拍手を拒否。ほぼ同タイミングで奥さんのサマー・フェニックス(リバー&ホアキン・フェニックスの実妹)と離婚してしまったりと、キャリア最高のタイミングなのにちょっと気の毒でした。

でもここ最近は、ケイシー自身が過去の問題についてきちんと認めたこともあり、やっと本当の映画人生が始まった感があります。アメリカ映画界の期待の星デヴィッド・ロウリー監督(『ア・ゴースト・ストーリー』)とはもう3本もタッグを組んでいて、いずれも傑作です。ちなみにその1本目となる『セインツ -約束の果て-』(13)を今週末より当館でも特別上映! 70年代のテキサスの大地に生きるはぐれ者を、お得意の“弱み”たっぷりに演じていて胸キュンですよ。

今年のヴェネチア映画祭に出品された監督・主演作『Light of My Life』もなかなかの高評価で、今後は監督としても期待。さらに新ガールフレンド情報が! TVシリーズで活躍する女優フロリアナ・リマさんという方で、SNSを見るとすごく良い人そうです(独断)。仕事もプライベートもうまくいっているようで一安心ですね♪

(パズー)